「ようこそ、お帰りなさい」と迎えてくれる鈴木ケイタさん・ミキさんのご夫婦と、ミキさんの母・勇子さん。そんな言葉に思わず「ただいま」といいたくなるのは、市川三郷の山奥に佇む古民家一棟貸しの宿・ちかはぎ空の家だ。もともとは勇子さんが暮らしていた場所を改装してオープンしたこの宿では、里山ならではの体験を五感を通して楽しむことができる。温もり溢れる空間には、この場所を目当てに旅へ出たくなる理由があった。
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ちかはぎ空の家
築185年の古民家を改装し、鈴木ケイタさん・ミキさんご夫婦と母・勇子さんの3人が協力して営む一棟貸しの宿。養蚕業を営むために建てられたというこの家は、実家に帰ったような安心感がそっと心を解きほぐしてくれる。農業や囲炉裏など、山里での暮らしを体験できるのもこの宿ならでは。
市川三郷の山奥にひっそりと佇む「ちかはぎ空の家」。玄関に優しく灯されたあかりが出迎えてくれる。
母が暮らしていた場所を守りたかった
「ちかはぎ空の家」の鈴木ミキさんは、母・勇子さんが暮らしていた古民家を守りたいという思いで、一棟貸切の古民家宿をオープンした。はじめ勇子さんが里山で暮らしたいと言い出したときには、一度は反対したという美樹さん。しかし、勇子さんのもとを訪れ、豊かな自然に触れるたびに里山での暮らしに惹かれていったという。
母がこの場所に住み始めてしばらくした頃、膝の手術をきっかけにこの家を離れて暮らすことになって。どうにかしてこの場所を守りたいと、宿の オープンを思い立ちました。夫も賛成してくれて、私たちもそれまで約20 年間暮らしていた八ヶ岳を離れて、このちかはぎ空の家をオープンしまし た。(ミキさん)
鈴木ケイタさん・ミキさんのご夫婦とミキさんの母・勇子さん。3人が包み込むような温かさでおもてなししてくれる。
壁には、宿の名前の由来にもなった勇子さんの愛犬・くうのイラストが。
今は愛猫・ぷうも3人と一緒にお客さんをおもてなし。
実家のような心地よさ
築185年の建物は、もともと養蚕業を営むための場所だったそう。入り口の扉を開けて中へ入ると、そこに広がるのはなんだか懐かしさを感じる空間。今では目にする機会が減ってしまった囲炉裏や鳥や風の声が聞こえる縁側のせいだろうか。部屋のあちらこちらには、勇子さんが集めたというアジアのアンティーク家具や雑貨も。一見するとユニークなこれらのアイテムも、空間に自然と溶け込み、実家に帰ったかのような心地よさを生み出している。奥には最大8名がゆったり寝られる広々としたベッドルームがあり、家族や友人と訪れても気兼ねなくくつろげそうだ。
分厚い布団の大きなこたつに潜り込んだり、やわらかなソファに体を預けたり。時間を忘れて、思い思いのひとときを過ごしてもらえたら。(ケイタさん)
勇子さんが生けたという花々。一輪一輪に宿る静かな美しさが宿のあたたかい雰囲気に品格と奥行きを与えている。
勇子さんのセンスで集められたアジアの国々の雑貨。それぞれに宿る物語を丁寧に教えてくれた。
広々としたベッドルーム。ベッドや布団など、寝具の質にもちゃんとこだわりが。
また、別棟のはなれも自由に使える。勇子さんが水彩画のアトリエとして使用していたこの場所は、お客さんからの人気も高く、中にはこの部屋に住みたいという方もいるとか。
文豪の書斎をイメージしたというはなれ。
本棚にはずらりと本が並ぶ。たまにはスマホから離れて、本にふけるなんて過ごし方もいい。
泊まるだけじゃない
里山ならではの体験ができる宿
ちかはぎ空の家では、旅のスタイルに合わせて選べる充実したプランが揃っている。「こどもが真ん中。2泊3日の家族旅行」には、無農薬野菜の収穫やうどん作りなどが盛り込まれ、子供と一緒に里山の暮らしを体験できる。繰り返しの日々に飽きたら、「友人と、仕事仲間と囲炉裏を囲む時間。」を選んで、クラフトビールやワインを片手に心ゆくまで語り明かすのもいいかも。
歴史ある建物の佇まいや充実した滞在プランなど隅々にまでこだわりが光るが、一番の自慢は勇子さんの手料理だ。旬の野菜に加え、鹿肉やイノシシ肉のジビエ、ヤマメやアカネマスなどの魚料理も食卓を彩る。さらに山菜の季節には、お客さんと一緒に周辺を散策して収穫したてのものを天ぷらや佃煮にして振る舞うこともあるとか。
地元の新鮮な食材をたっぷり使って、心を込めて作っています。例えば、野菜は近所のおばあちゃんたちが丹精込めて作る無農薬野菜が中心。野菜の味がちゃんとするから、味付けはシンプルにしています。(勇子さん)
お盆やお正月には、この家に集まってみんなで囲炉裏を囲みました。母がこだわって選んだ骨董食器に盛り付けた野菜を、囲炉裏でわいわい焼きながら楽しんでほしいです。(ミキさん)
バーベキューもできるという大きな囲炉裏。みんなの顔を眺めながら食べるご飯は、いつもの何倍もおいしいはず。
地元で採れた色とりどりの野菜。時には日光に当てたり、甘さが増すように工夫して食卓へ並べる。
日々の喧騒を忘れて過ごす時間、里山暮らしの体験、勇子さんお手製の料理──。訪れる度に、また来たいと思う理由が増える場所。大切な家族や友人と一緒に、一度足を運んでみるのはどうだろう?
「ようこそ、お帰りなさい」と迎えてくれる鈴木ケイタさん・ミキさんのご夫婦と、ミキさんの母・勇子さん。そんな言葉に思わず「ただいま」といいたくなるのは、市川三郷の山奥に佇む古民家一棟貸しの宿・ちかはぎ空の家だ。もともとは勇子さんが暮らしていた場所を改装してオープンしたこの宿では、里山ならではの体験を五感を通して楽しむことができる。温もり溢れる空間には、この場所を目当てに旅へ出たくなる理由があった。