THEME:

人と人を繋ぐお茶

AREA:

南部町に広がる鮮やかな緑の茶畑でお茶を作る、まるわ茶園。太陽の日差しをたっぷり浴び、少しずつ栄養を蓄えた茶葉にはうまみがぎゅっと詰まっている。二代目を務める一瀬さんのこだわりは、茶葉を手で摘むこと。丹精込めて作られたお茶は、こころもからだもじんわり温めてくれる。父から代々続く、まるわ茶園の魅力とは──。

Featuring

まるわ茶園

大の緑茶好きだったという一瀬さんの父が創業。南部町内に8ヶ所ある畑で茶葉を生産し、加工から販売までを一貫して行う。手摘みで丁寧に収穫される茶葉の豊かな香りを活かし、煎茶やほうじ茶、和紅茶などを展開。富士川町の特産品である柚子を使ったお茶も手がけている。

住所: 山梨県南巨摩郡南部町万沢5734-1
電話番号:090-7854-1585
営業時間:9:00-17:00
定休日:なし

HISTORY

緑茶好きな父から受け継いで始めたお茶作り

きれいな山々に囲まれ、富士川が町の真ん中を悠々と流れる南部町。そんな南部町のあちこちに広がる鮮やかな緑のカーペットは、一瀬さんが営むまるわ茶園の茶畑だった。もともとは林業で生計を立てていた一瀬さん一家だったが、働く人たちの高齢化などにより衰退が進み、農業への転換を決断。自分でお茶作りを始めてしまうほど緑茶が大好きだった一瀬さんの父がまるわ茶園を創業し、今は一瀬さんが二代目を務めている。

わたしが中学生の頃、父が怪我をしてしまって。ちょうど茶葉の収穫が終わったばかりで工場での加工作業を止めるわけにもいかず、見よう見まねで手伝ったことがありました。いつからか父と一緒にお茶を作りたいと思うようになり、高校を卒業した後に静岡県の農林大学校で茶業を学び、就農しました。

南部町内に構えるお店にはお茶がずらりと並ぶ。さまざまな種類のものがあるが、どれも同じ茶葉から作られるんだとか。

手軽に飲めるティーバッグタイプのお茶も。

お茶に合わせて美味しい入れ方を教えてくれる。そんなおもてなしにも温もりを感じる。

SPIRIT

じっくり丁寧に、それが唯一のこだわり

「小さい頃からお茶を作る父の姿を見ていたとはいえ、いざ自分でやるとなると頭を悩ませることも多かった」という一瀬さん。どんなお茶を作るか、どこで販売するか。お客さんにおいしいお茶を届けるために、試行錯誤を重ねながら、日々お茶と向き合っている。一瀬さんのお茶作りにおけるこだわりは、手で摘むこと。昔は当たり前だった手摘みも、今では人手不足などを理由に機械に頼らざるを得ない茶園も増えている。それでも手摘みにこだわるのは、お茶の味わいに妥協したくないから。機械で摘むと古い茶葉や未熟な芽が混ざってしまうことも多いが、手摘みであれば新芽だけを厳選して摘むことができ、香り高く味わい深い茶葉になる。「新茶の収穫の季節には地元の人にも手伝ってもらって、みんなで茶摘みをします。機械で摘むのに比べると時間はかかりますが、その分おいしいお茶になるんです。いつも手伝ってくださるみなさんには本当に感謝しています」。

山と山に囲まれた南部町は一日の寒暖差が大きく、ここで育つお茶は芳醇な香りが特徴です。また、富士川の影響で霧が発生し、それが日光を遮ることで茶葉の苦味や渋みが抑えられているのも南部茶ならではかなと。気温や降水量など、その年の気候によってお茶の味が変わるのはこの仕事の難しさ。ただ、同じ味わいがないというのはお茶作りの魅力でもありますね。

茶摘みが終わると、摘まれた葉はそのまま工場へ。加工作業も一瀬さん自らが行う。

工場の中には、加工作業に使われる機械が所狭しと並ぶ。

HELLO

(Future)

みんなで過ごすお茶の時間を届けたい

こうして手間ひまかけて収穫された茶葉は、さまざまな味へと生まれ変わる。甘味と渋みの絶妙なバランスとスッキリとした味わいが特徴の「なごみ」、やわらかな旨味を感じられる「かえで」はまるわ茶園を代表するお茶。さらに、富士川町の特産品である柚子を使った「ゆず煎茶」も。フレッシュな柚子の香りがお茶の旨味をいっそう引き立て、スッキリとした煎茶だ。一瀬さんには、ひそかに楽しみにしていることがあるという。「息子が東京でお茶の勉強をしていて。家に帰ってくると、あのお茶がおいしかったとかそんな話をしています。いつかそんな息子と一緒に、緑茶を使ったカフェを始められたらなと」。最近では近所のカフェやチーズ工房との交流もあり、煎茶やほうじ茶のパウダーを使って、なにか新しいことが出来ないかとアイディアを練っているそう。お茶をきっかけに、人と人が繋がり、新しい何かが芽吹いていく。一瀬さんは、お茶とともにそんな未来も育てているのかもしれない。

お茶を通してみんなで分かち合う時間を届けたい、そう思っています。わたし自身も毎朝妻が入れてくれたお茶を飲んで、ホッと一息つくのがルーティーンになっていて。大切な家族や仲間とお茶を囲んで、他愛もない話で笑ったり、時には真剣に語り合ったり。そんな心あたたまる時間を作れたら嬉しいですね。

体の芯までぽかぽかにしてくれる煎茶。生姜ほうじ煎茶や梅くき煎茶など珍しいお茶も。

富士川町のゆずを使った「ゆず煎茶」は、シャープな味わい。

お茶を入れる前に湯呑を温める。そうすることでお茶が冷めにくくなるんだそう。

心を込めて、一つひとつ丁寧に注がれるお茶。

南部町に広がる鮮やかな緑の茶畑でお茶を作る、まるわ茶園。太陽の日差しをたっぷり浴び、少しずつ栄養を蓄えた茶葉にはうまみがぎゅっと詰まっている。二代目を務める一瀬さんのこだわりは、茶葉を手で摘むこと。丹精込めて作られたお茶は、こころもからだもじんわり温めてくれる。父から代々続く、まるわ茶園の魅力とは──。

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