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観光のその先には、何があるのだろうか。

観光のその先には、何があるのだろうか。

訪れて、消費して、帰る。それだけでは生まれないものがある。
地域と向き合い、人と関わり、時間を共有するなかで初めて芽生える関係がある。
私は今回、南山梨の観光資源を紹介してほしいと依頼を受けた。
しかし筆を進めるうちに、まず書くべきは「訪れてもらうまで」の物語なのではないかと思うようになった。

PROFILE

青木 志保(あおき しほ)
1975年3月生まれ。山梨県市川三郷町出身、甲府市在住。2004年に介護福祉施設を開設。
長年の現場経験から、人の幸福度向上には「食べる・動く・コミュニケートする」の3要素が重要であると考え、2023年にそれらを一体化した施設「食と運動の複合施設 LaLa mizunosato」を開設。地域の健康づくりと交流の場づくりに取り組んでいる。

2025年11月29日、山梨県市川三郷町で女性限定アドベンチャーレース「JEANNE市川三郷」が開催された。
主催は北海道・ニセコを拠点とする一般社団法人EXPEDITION STYLE。
開催地や季節によって名称や種目は変わるが、その理念は一貫している。
自然地形を最大限に活かし、人の挑戦を通して地域と結びつけることだ。

アドベンチャーレースは一人では参加できない。
必ずチームを組み、地図を読み、判断し、助け合いながら進む。
リスク管理の意識を持ち、セルフレスキューを習得したうえで臨む競技である。
自然の中では自己責任と相互連携が前提となる。走力だけでは完走できない。
信頼がなければ前に進めない競技だ。

種目は地図読み、MTB、パックラフト、トレッキング。
開催地によっては乗馬やスノースキー、バックカントリーへと広がる。
まさにその土地、その自然、その地形を最大限に活かした設計である。
市川三郷の山道や里道がフィールドとなったとき、日常の風景は挑戦の舞台へと変わった。

JEANNE市川三郷 自然地形を活かしたMTBセクション(2025年11月29日)

地図読みと連携を確認する参加者たち

しかし、このイベントの本質はレースだけではない。

ゴール後には、スタッフと選手がともに集うアフターパーティが開かれた。
地元の食材を使い、地元の人たちで構成された、その日その瞬間だけの空間。
私はフードコーディネートとしてその場に参加した。

市川三郷で出会った人たちとの交流は、イベント当日で終わらなかった。その継続のなかで、ふと投げかけられた一言がある。

「ニセコにきます?」

その一言から、私の北海道訪問が始まった。

2026年2月28日、「NISEKO EXPEDITION WHITE」。白銀の世界で行われる冬のアドベンチャーレースに足を運んだ。

NISEKO EXPEDITION WHITE 雪中での集中の瞬間(2026年2月28日)

白銀のフィールドを進む。挑戦は次の土地へと続く。

2026年の秋、北海道から市川三郷を訪れる人は、間違いなく増える。そしてその交流は、北海道だけにとどまらない。ほかの土地へも同じように広がり、静かに続いていく。

来てもらう努力と、おとずれる勇気。その両方が重なったとき、観光は消費ではなく関係になる。

観光のその先へ。

そこにはきっと、人の温度がある。

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