毎年8月15日、山梨県南部町で行われる「南部の火祭り」。名前のとおり火が主役のお祭りですが、実際に行ってみると、そのスケールは想像以上でした!
降り注ぐ火の粉に、読経のなか燃えあがる大松明、富士川沿い約2kmに連なる炎。そして、色とりどりの花火。さらに約60店もの出店が並び、祭りを支える町の人たちの姿もあちこちに。
この南部の火祭りの魅力を、写真とともに紹介します!
PROFILE
フリー編集者・ライター クシダユリ
南山梨の情報を発信するフリーペーパー『南山梨 HuMaN』の制作を手掛け、早川町の広報誌などにも関わっています。地域に密着したコンテンツ制作を通じて、地元の魅力を広めることに情熱を注いでいます。
南部の火祭りってどんな祭り?
南部の火祭りとは、毎年8月15日に山梨県南部町の富士川河川敷で開催される、お盆の送り火と川供養のお祭りです。まずは開催日時や会場、アクセス、駐車場など、お出かけ前に知っておきたい基本情報から紹介します。
ここでは2026年の情報をもとにまとめています。年によって変更される場合もあるので、お出かけ前には南部町役場のウェブサイトで最新情報を確認してくださいね。
INFO
◎基本情報
・開催日:毎年8月15日(荒天時は中止、花火大会のみ延期予定)
・開催時間:15:00~21:00ごろ(出店は21:00まで)
・会場:富士川河川敷(南部橋付近/山梨県南巨摩郡南部町)
・入場料:無料
・主な催し:ステージイベント、出店、南部火祭り太鼓、投げ松明、灯籠流し、大松明、
百八たい、花火
・主催・問い合わせ:
南部町火祭り実行委員会 TEL 0556-66-2111
南部町役場ウェブサイト https://www.town.nanbu.yamanashi.jp/kankou/omatsuri/himatsuri2026.html
◎アクセス
・車でのアクセス:中部横断自動車道を利用。南部ICは大変混雑するため、身延山ICや
富沢ICの利用がおすすめ
・電車でのアクセス:JR身延線・内船駅から徒歩約20分
「2026年南部の火祭り 駐車場・交通規制マップ」(出典:南部町役場ウェブサイト)
駐車場と交通規制
車で行くなら、事前にチェックしておきたいのが駐車場と交通規制の情報。駐車場は場所によって開場時間が異なり、当日は周辺道路の交通規制も行われます。
詳しい情報は毎年8月に南部町役場のウェブサイトで案内されるので、出発前の確認をオススメします!
INFO
◎駐車場
・駐車台数:約2,000台
・駐車料金:500円(現金)
・混雑のピーク:16~17時ごろ
・会場に近い駐車場:南部医療センター、南部中学校周辺など
・富士川河川敷:花火打ち上げのため、中央会場以外は立入禁止
役場の方によると、18時前までに到着すると比較的スムーズに駐車しやすいとのこと。会場と対岸になる内船駅側に駐車すると、花火の時間帯は南部橋を渡れなくなるため、早めに帰りたい人などは注意が必要です。
INFO
◎交通規制
・南部橋:19:45~21:00 通行止め
・中央会場沿いの道路:19:00~22:00 車両通行止め
・その他の規制区間:17:00~22:00 車両通行止めまたは一方通行
・富士川河川敷:花火打ち上げのため、中央会場以外は立入禁止
タイムスケジュール
南部の火祭りは15時からスタート!会場にはたくさんの出店が並び、ステージイベントも行われます。そして日が暮れてくると、いよいよ投げ松明や灯籠流し、大松明など、火祭りならではの催しが次々と始まります。
当日の流れがわかるように、2026年のタイムスケジュールをまとめました。時間や内容は年によって変わる場合があるので、お出かけ前には最新情報もチェックしてくださいね。
・15:00 出店販売開始・ステージイベント
・17:00 灯籠販売受付開始
・18:30 開会式・南部火祭り太鼓
・18:40 投げ松明
・19:30 灯籠流し
・19:45 大松明・読経
・20:00ごろ 百八たい(サイレンを合図に一斉点火)
・20:15 花火
・21:00 出店販売終了
南部の火祭りの由来や意味とは
南部の火祭りの起源は定かではありませんが、富士川の舟運が盛んになった元禄時代頃から始まったといわれています。仏教のお盆の行事と結びつき、盆の送り火や川で亡くなった人を供養する行事として行われてきました。かつては富士川下流の各地で同じような行事が行われていましたが、次第に開催するところが減ってきて、現在では南部の火祭りが大規模な形で残っています。
また、投げ松明には、稲につく害虫を火で追い払う「虫送り」の意味もあったとのこと。南部の火祭りには、お盆の供養だけでなく、暮らしの中から生まれたさまざまな願いが込められているようです。
一夜で心つかまれる、南部の火祭り3つの魅力
南部の火祭りを訪れるのは、実は今回が初めて。行ってみると想像以上に見どころが多く、これはぜひたくさんの人に知ってほしい!と思いました。
私が感じたこの火祭りの魅力は、大きくこの3つ。
(1)夜を彩る火の共演
(2)約60店!目移り必至の出店めぐり
(3)町の人からにじみ出る、火祭りへの愛
ここからは、写真をたっぷり使いながら、一つずつ紹介していきます!
(1)夜を彩る火の共演
南部の火祭りで、まず圧倒されたのが、次々と繰り広げられる火の催し。
広い河川敷を移動しながら見ていると、あちらで火が上がったと思ったら、今度はこちらでまた別の火が灯り、それぞれまったく違う光景が広がります。
華やかな火の光景だけでなく、僧侶の読経が響く場面もあり、お盆の行事らしく厳かな雰囲気も感じました。
ここからは、それぞれの火の催しを写真とともに詳しく紹介していきます。
投げ松明|降り注ぐ火の粉で幕開け
火の催しの最初は、地元の子どもたちが主役の「投げ松明」。運動会の玉入れのようにして、火をつけた玉を子どもたちがぶんぶんと大きく回し、高い竿の先にある、麦わらで作られた「蜂の巣」をめがけて投げ入れます。
火のついた玉を大きく回しながら、竿の周りを歩く子どもたち。写真に撮ると、こんな不思議な景色になるのもおもしろいですよね。
火の玉を投げ始めると、これがなかなか入らない!何度も挑戦し、ようやく「蜂の巣」に火がつくと、見守っていた人たちから一斉に歓声があがります。
そして燃え上がった「蜂の巣」を下ろすときには、火の粉が一気に降り注ぎます。ハラハラと落ちる無数の火の粉も、投げ松明の大きな見どころ!
灯籠流し|願いを乗せて富士川へ
続いて、願いごとや供養の言葉を書いた灯籠を富士川へ流す「灯籠流し」。
灯籠は1基1,000円、50基限定で当日会場で販売されます。先着順で、販売が始まるとあっという間に列ができ、そのまま完売!購入した人は、その場で灯籠に思い思いの願いや絵を描きます。
暗くなり、灯籠流しの時間になったら富士川へ。灯籠は職員さんが一つずつ預かり、川に流してくれます。
灯籠の紙には水に溶ける素材が使われているとのこと。願いをのせた小さな明かりが、富士川をゆっくりと流れていきます。
大松明|読経と炎が織りなす荘厳な光景
続いて「大松明」。身延山久遠寺や町内のお寺から集めた、役目を終えた古い塔婆を高く積み上げ、一つの大きな松明として燃やします。塔婆とは、お墓などに立てて故人を供養する細長い木の板のこと。塔婆は役場の職員さんがお寺を回って集め、河川敷で大きな三角錐を組み上げます。
時間になると、いよいよ大松明に点火。点火には、地元の中学生も参加します。火がつくと、僧侶の読経が響くなか、大松明がどんどん大きな炎に包まれていきます。
目の前で燃え盛る大松明はものすごい迫力で、思わず見入ってしまいました。
百八たい|富士川に連なる、約2kmの炎
富士川の両岸約2kmにわたって108基の炎が並ぶ「百八たい」。108という数は、仏教の「百八煩悩」に由来するといわれています。
百八たいは、木材を円錐形に組んだ高さ3~4mほどのもので、当日の早朝から、町内の地区ごとに地域の人たちが集まり、一基ずつ河原に作っていきます。
そして夜20時ごろ、サイレンを合図に一斉に点火。108基もの炎が富士川沿いにずらりと連なる光景は、圧巻でした!
朝から組み立てられた百八たい。昼間はこんな姿で夜になると一斉に火が灯ります。
花火|燃え続ける炎と、華やかなフィナーレ
そして火祭りのフィナーレを飾るのが花火です。
夜空に色とりどりの花火が次々と打ち上がるなか、河原では百八たいが燃え続け、大松明からも大きな炎があがります。
いくつもの炎が燃え盛り、その向こうに花火が上がる景色は、南部の火祭りならでは。華やかな花火と、燃え続ける炎。その両方を一度に見られるのも、この祭りのおもしろさです。
最後を締めくくったのはスターマイン。打ち上げが終わると、MCの方の呼びかけで、みんなでスマートフォンのライトを灯し、花火師さんに向かって振って「ありがとう」を伝えました。
河原いっぱいに小さな光が揺れる様子もなんだか温かくて、最後までいいお祭りだなあと感じました。
(2)約60店!目移り必至の出店めぐり
火祭りのもう一つの楽しみが、ずらりと並ぶ出店です。今回2026年は、なんと約60店舗でした!
焼きそばやたこ焼き、串焼き、お肉、鮎の塩焼きなどの食事系から、かき氷やフルーツを使ったスイーツ、ジュースやお酒などのドリンクまで、とにかく種類が豊富!どれにしようか迷いながら歩いているだけでも楽しくなります。
なかでも目を引いたのが、山梨らしい食べ物。南山梨らしいメニューとしては、麺に塩を練り込んだご当地グルメ「富士川塩焼きそば」も出店していました。
さらにシャインマスカットやいちごなど、フルーツをたっぷり使ったかき氷やドリンクも。地元ならではの味がいろいろ楽しめるのもうれしいところです。
また、南部町森林組合のブースでは、ヒノキの小さな椅子を作るワークショップも行われていました。毎年恒例とのことで、先着順の受付はあっという間に終了する人気ぶり!
子どもから大人まで一緒になって椅子を作り、完成したらその椅子を持って好きな場所で花火を見に行くのだそう。
自分で作った椅子に座って火祭りの花火を見るというのも、なんだかいいですよね。
(3)町の人からにじみ出る、火祭りへの愛
南部の火祭りを歩いていてもう一つ印象に残ったのが、祭りに関わる町の人たちの姿でした。
朝、河原で百八たいを作ったという方にお話を聞くと、南部町で生まれ育ち、子どもの頃からこの火祭りに親しんできたとのこと。今年もごく自然に祭りの準備をしている様子を見ていると、火祭りがこの町でとても長く続いてきたことを感じます。
ステージでは地元の人たちによる南部火祭り太鼓が披露され、力いっぱい太鼓を打つ姿がとてもかっこよかったです。
夜には盆踊りも行われ、踊り手の皆さんを中心に、町の人たちも加わって一緒に踊ります。見ているだけではなく、自然と輪の中に人が加わっていく雰囲気も素敵でした。
そして一日会場にいると、こうした表に見える場面だけでなく、祭りのあちこちに人の手があることにも気づきます。
大松明に使う塔婆を提供するお寺があり、役場の職員さんたちは事前の準備から当日の運営まで、朝から晩まで会場を動き回っています。投げ松明で使う火の玉は子どもたちが自分たちで作り、「蜂の巣」も地域の人たちの手作り。消防団をはじめ、本当にたくさんの人が祭りを支えています。
こうして町のいろいろな人が関わりながら、南部の火祭りは毎年作られているんですね。
まとめ
夜空に弧を描く火の玉や、川を流れる灯籠、読経とともに燃え上がる大松明、約2kmに連なる百八たい、そして花火。初めて訪れた南部の火祭りは、次から次へと見どころが続いて、最後まで目が離せないお祭りでした。
こうした火の催しはもちろん、たくさんの出店や祭りを支える町の人たちの姿まで、半日を通して楽しめるのもこのお祭りの魅力です。
写真:上田和弥
写真だけではなかなか伝わらない、炎の大きさやその場の空気も、ぜひ実際に会場で味わってみてください。
毎年8月15日、山梨県南部町で行われる「南部の火祭り」。名前のとおり火が主役のお祭りですが、実際に行ってみると、そのスケールは想像以上でした!
降り注ぐ火の粉に、読経のなか燃えあがる大松明、富士川沿い約2kmに連なる炎。そして、色とりどりの花火。さらに約60店もの出店が並び、祭りを支える町の人たちの姿もあちこちに。
この南部の火祭りの魅力を、写真とともに紹介します!