「アクティブに楽しむだけがSUP(スタンドアップパドルボート)じゃないんです」と話すのは、
NATIVE SUP を手がける河野夫妻。
山梨の静かな湖・四尾連湖で、SUPを通して自然と向き合う時間を届けている。
ボードの上でのんびり寝転がるもよし、漕いで湖を巡るもよし。
春は桜、夏はエメラルドグリーンの水面、秋は紅葉の鏡張り――季節ごとに違った景色が広がる。
湖畔のカフェでは、自家栽培の野菜や果物を使った料理も楽しめる。
自然の中で深呼吸。そんな贅沢な時間が、ここにはある。
FEATURING

NATIVE SUP
四尾連湖でSUPツアーを展開するショップ。初心者向けにインストラクターのついた半日体験コースのほか、機材のみのレンタルも行っている。カフェのみの利用ももちろん可能。 NATIVE GARDEN+の畑の野菜を使ったランチメニューや自家製スイーツを(12月〜2月は休業)。
「県内でSUPに適した湖を探し
歩いて、 ようやくたどり着いた
のが四尾連湖でした」
甲府でサーフショップnative surfを経営する河野ジュンさん、牧子さん夫妻は日本で取り扱いが始まった十数年ほど前からSUPの魅力を伝える活動を続けている。「私たちはSUPをブームにしたいわけではなく、SUPを通して自然を大切にする気持ちや自然とともに楽しむ部分をしっかり伝えたかったので、 未開拓で俗化されていない湖を探していました。四尾連湖は山梨県民にもそれほど知られいない小さな 湖ですが、ここしかないと思える環境でした」
はじめは甲府のショップや県外のゲストをアテンドして四尾連湖でSUPを楽しんでもらっていたが、 SUPだけでなく朝から夕方くらいまで長く四尾連湖に滞在していろいろな景色を見てほしいと思うようになり湖畔に、NATIVE SUPの拠点と食事やデザートが楽しめるカフェをオープンした。

SUPはただのブームじゃない! 自然と向き合う時間を。
その季節でしか味わえない
SUPと食体験を
SUPは、初心者でも指導を受ければすぐに楽しめるようになる。ツアー は半日の体験コースから用意。濡れてもいい動きやすい格好であれば手ぶらで参加できるのも嬉しい。 湖畔にはキャンプサイトやロッヂがあり、宿泊者を対象に早朝からボードをレンタルできるサービスも行っている。「季節ごとの景色がまったく違うので、リピーターの方も多くいらっしゃいます。春は桜が咲いて、SUPクルーズでお花見が楽しめる季節。夏は、新緑が湖上に映り込んで、水がエメラルドグリーンに見えます。秋は湖が360度紅葉に染まる様子を楽しんでいただけます」と牧子さん。併設のカフェでは、南アルプスで代々農業を営む牧子さんの実家で栽培した、旬の野菜や果物を使ったメニューをいただける。四尾連湖は周囲1.2kmほどの小さな湖。歩いて20分ほどでぐるりと一周できる。古くは富士内八海の霊場のひとつ。尾崎龍王という龍神がまつられ、4つの尾を連ねた竜が住んでいる湖ということで四尾連湖という名がついたと伝えられる。県内でもありのままの自然が多く残るエリアで、神秘的な雰囲気が漂っている。「SUPというと、アクティブなアウトドアというイメージがあるかもしれませんが、 パドルを漕がずにボードの上に横になっているだけでも本当に気持ちのいいものです。朝の誰もいない湖上に浮かんでいると、聞こえてくるのは鳥のさえずりだけということもあります。体を動かして得られる気持ちの良さと、自然に癒される感覚の両方を味わっていただければ」

湖の上で季節を感じる。漕がずに浮かぶだけでも最高です。
SUPから広がる、自然と生きる力
「自然と共生」をテーマにサーフィンやSUPの取り組みを行っている河野さん夫妻。四尾連湖でSUPとメディテーションをからめた体験ツアーを開催するだけでなく、県外の人に南アルプスの魅力を体感してもらうコンテンツを多く手がけている。伊奈ヶ湖畔の森で行ったのは、森の中を歩き、水を飲料水に変えて、火を囲むアウトドアイベント。自然を満喫するだけでなく、災害時に役立つスキルやキャンプ道具の使い方を伝える内容も盛り込まれたもので、環境変化や防災に対する知識や、自然とともに生きていく力を身につけることができるという。
ジュンさんが「故郷を大切にする、そして故郷を大切にしている人たちのサーフショップ」という気持ちをこめて名付けたnative surf。その思いは、サーフィンだけでなくSUPをツールにする人たちにもつながり、山梨を、そして日本を愛する人たちへと広がっている。
Hello!
(Morning!)

四尾連湖のほとりに佇むNATIVE SUP。カフェのみの利用ももちろんOK

雪景色も美しい四尾連湖だが、12月〜2月は冬季休業

四季折々の姿を見せる四尾連湖。県内でも有数の景勝地ながらひっそりとした 落ち着いた雰囲気の穴場

オーナーの河野ジュンさん、牧子さん夫妻

SUPの機材はすべてレンタルできる。濡れてもいい格好と足元で参加しよう

カフェでは、牧子さんの実家の畑で育てた野菜や果物を中心に、タコライスやピザといったランチやデザートで提供

干し柿や桃のコンポートなど、フルーツを自家製の瓶詰めにして保存。さまざまなスイーツにアレンジ

ジュンさんは甲府、牧子さんは南アルプスの出身。甲府のサーフショップnative surfではサーフィンやSUPのほかにスノーサーフなどのギアも扱う

PROFILE
NATIVE SUP