市川三郷町の「二藍」で味わうコーヒーは、ただの飲み物じゃない。
澤谷岳さんが生み出したこのカフェは、地域のコミュニティが集まる場所としても愛されている。
ガラス張りの窓から差し込む光、モノトーンの落ち着いた空間で、
豆本来の味を楽しむ一杯と、手作りスイーツが心を和ませてくれる。
街の喧騒を忘れて、ゆっくり流れる時間に身を任せてみよう。
FEATURING

二藍
それぞれの豆がもつ酸味、フルーティな味わいを大切にした浅煎りから、苦味やコクのバランスがいい深煎り、ミルクとの相性が抜群のエスプレッソ、そしてディカフェまで、好みや気分に合ったコーヒーが揃う。コーヒーやスイーツはテイクアウトでドライブのお供にも。
地域のハブとして愛される、二藍のコーヒーと温かな空間
JR身延線市川大門駅からすぐの場所にある「二藍」は、甲府でNAVYespressoを経営する澤谷岳さんが、故郷の市川三郷町にオープンしたカフェ。二藍とは、紅と藍と紅を染め重ねた紫系の伝統色のことで、紅や藍の色の濃さによって幅広い色合いをもつ。その二藍のように、カフェの空間がコーヒーを通じてさまざまな文化が入り混じる地域のコミュニティになることを願ってこの空間をつくったという。モノトーンを基調にした店内は、広いイートインスペースにゆったりとテーブルが配されている。エントランスはガラス張りで、大きく取られた窓から降り注ぐ光が心地よく、新聞を持ち込んで一杯のコーヒーを味わう常連の姿や、学校帰りにスイーツを楽しむ高校生を見ているとすっかり二藍が地域の人たちにとって大切なコミュニティの場となっていることがわかる。

このカフェは、コーヒーを通じて
地域の文化が交わる場所を目指しています。
本格コーヒーとスイーツの
ラインナップ
スペシャルティコーヒーは季節によって豆の種類が異なるが、現在はブラジルやエチオピア、タンザニアといったシングルオリジンの豆が中心。系列のロースタリーであるCOFFEE LAB GRAYからフレッシュな自家焙煎の豆が届けられる。ブラックコーヒーと一緒に店内で焼き上げたスイーツを頬張るのが、二藍の定番スタイル。クリームたっぷりのドーナッツやカヌレ、クロワッサン生地のワッフル「クロッフル」などのオリジナルスイーツのほか、ミートパイやホットサンドも月替わりで並ぶという。スタッフの木村さんのおすすめは、「朝なら、深煎りのグアテマラのコーヒーを目覚めに一杯。ラテがお好きな方にはエスプレッソ用により深く焙煎した豆でお出しします。菓子製造のスタッフがつくるフォンダンショコラといった生菓子もあるので、お好きなタイミングでコーヒーとスイーツをお楽しみください」

季節のコーヒーと手作りスイーツで、至福のひとときを。
地元の人々に愛される、ゆったりとした時間が流れるカフェ
現在は、平日は12時オープン、週末は10時オープンでクローズは21時。定休日をつくらず、町に暮らす人々にいつでもほっと一息できる場を提供している。「30年くらい前までここには喫茶店があったと、地元の常連の方から教えてもらいました。今は喫茶店だけでなく飲食店自体がとても少なくなっているので、二藍ができて喜んでくださっているのが嬉しいですね」。二藍では20代の若手スタッフが活躍していて、そのほとんどが山梨出身。木村さんも甲府の出身で、現在も甲府から通っている。小さい頃には、二藍から車で5分ほどの距離にある大門碑林公園に家族で遊びに行った記憶があるという。「この辺りは甲府から車で20分ほどとそれほど遠くないのですが、流れる時間がゆっくりしていて、人も温かい。四尾連湖のように美しい自然も多く残っているので、甲府や他のエリアに行ったことがある方でも、他とは違う山梨の魅力を感じていただけると思います」。コーヒーと共に、ゆったりと流れる時間を味わいに行こう。
Hello!
(Morning!)

地域密着型のカフェ。すぐ近くに高校があり、学校帰りの高校生が立ち寄る姿が見られる

ゆったりとテーブルが配置された居心地のいいイートインスペース

ドリップコーヒーもエスプレッソも一杯一杯丁寧に淹れられる

キャラメルドーナツ

カヌレ

シナモンクロッフル

パウダーシュガークロッフル

ラテは、深めに焙煎したエスプレッソ用の豆で。ラテアートも楽しめる

2面に大きく取られた窓は店と街をシームレスにつなぐ

スタッフはほとんどが山梨出身。山梨県民は、ブラック&ホットでコーヒーを飲む割合が全国1なのだとか。スペシャルティコーヒー文化が根付くのも頷ける

PROFILE
二藍