みなさん、ゆば、好きですか?
正直私は、特に好きもキライもなく、ゆばへの関心は低めでした。高級なイメージがあってハードルが高く、和食のコース料理に少し添えられているものといった程度の認識。あまり進んで食べる食材ではありませんでした。
でも身延町のゆばに出会って、目からウロコ。ゆばに対する認識が激変しました。刺身だけでなく、揚げたり、煮たり、甘くしたり。食べ方も味わいも想像以上に幅があって、驚きました。ゆばは身延町の特産の一つ。町内には、ゆばを扱うお店が点在し、それぞれに工夫が凝らされています。この記事では、南山梨の地域メディア編集者・クシダユリが、個人的視点で特におすすめのお店や商品を紹介します。
バラエティ豊かなゆばの世界に触れ、身延町を訪れるきっかけになったらうれしいです。
そもそもゆばとは?
ゆばは、炊いた大豆を絞ってできる豆乳を熱し、その表面にできる薄い皮膜をすくったもの。大豆と水だけで作られる、シンプルで繊細な食べものです。ゆばの味の決め手は、まず良い素材。さらに、作り方のわずかな違いも味わいや食感などを大きく左右するのだと、直売所の方々に教えてもらいました。例えば、膜を引き上げるとき、豆乳をたっぷり含ませたままにするか、水気をしっかり切るかで、とろり感や歯切れが変わります。また、ゆばをすくうとき、手ですくうか竹串を使うか、さらにすくったゆばを重ねる際に豆乳を挟むかどうかなども影響するとのこと。違いを知ると、ゆばを味わう楽しさがぐっと広がりますよ。
なぜゆばが身延町の特産品なのか
ゆばは、約1200年前に中国から伝わったとされる食べもの。肉食を禁じられていた僧侶にとって、貴重な植物性たんぱく源として、精進料理の中で大切に受け継がれてきました。
身延町には、日蓮宗の総本山である身延山久遠寺があり、約750年前、日蓮聖人の体を気づかい、弟子たちが栄養源としてゆばを供したという話が伝わっています。そうした由来から、身延町では「みのぶゆば」として、伝統の味覚が親しまれてきました。
身延町のゆば、5つの驚きポイント
身延町のゆばに出会ったら、きっと新しい食の扉が開くはず。楽しい驚きポイントを5つ紹介します。
食べ方や調理方法の幅が広い!
ゆばというと刺身のイメージが強いかもしれませんが、揚げる、煮るなどの調理も可能。温かい料理にも冷たい料理にも使われ、ゆばはさまざまな料理の素材になります。
作り方の違いで食感や味わいが全然違う!
同じゆばでも、製法の違いで驚くほど印象が変わります。例えば、豆乳をたっぷり含ませたとろりとしたもの。何枚も重ねて、厚くもっちりしたもの。それぞれの違いを知ると、食べ比べがより楽しくなります。
食べ歩きメニューもある!
精進料理や定食だけでなく、身延町には、食べ歩きを楽しめるメニューもあります。参詣や町歩きの途中に立ち寄ってゆばを気軽に味わえるのは、意外じゃないですか?
スイーツにもなっている!
ゆばは、おかずだけではありません。なんとスイーツもあります。ここならではの珍しいメニューは、おいしい上に話のネタにもなり楽しいですよ。
淡白なだけじゃない!
刺身で食べることが多いからか、ゆばは淡白というイメージを持っている人は多いのではないでしょうか?あっさりした味で、物足りないと思っている人もいませんか?例えば、ゆば工房五大では、中華風やペペロンチーノ風に味付けされたゆば商品があります。またゆばの里の食事処のメニューのような揚げたゆばは、風味に厚みが出て、満足感のある一品になります。身延町では、それぞれのお店で趣向を凝らしたゆばを提供しているところが多いので、初めてのゆばの味に出会えるかもしれませんよ。
身延、ゆば道楽のすすめ
食べる・買う・体験するなど、身延町でのゆばの楽しみ方を紹介します。
身延町に来る人は
実際に身延町に来られるなら、以下のように、ゆばに触れる入口がいくつもあります。このあと紹介するお店やメニューもぜひ参考にしてください。
⚫︎飲食店でゆば料理を味わう
⚫︎食べ歩きで気軽にゆばに触れる
⚫︎おみやげでゆば商品を買う
⚫︎ゆば作りを体験する
身延町にすぐ来られない人は
身延のゆばに興味があるけど、「現地まで行けない」という人もいるでしょう。そういう人は、ゆばのオンラインショップを覗いてみてください。さまざまな商品があるので、見ているだけでも楽しいですよ。記事で紹介する2つの直売所『ゆば工房 五大』『ゆばの里』は、オンライン販売をしているので、ぜひ見てみてください。
身延町内おすすめのゆばの直売所
身延町内にはゆばを製造して販売する直売所があるので、おすすめのお店を紹介します。
ゆばの里
食べる・買う・体験する!ゆば道楽の入口
「〇〇の里」という特産品名を掲げた町のお店、地方へ行くとよく見かけますが、「はいはい、ありがち」なんて侮るなかれ。ゆばの里は、ゆばを製造している直売所です。原料の大豆はすべて国産のもので、もちろん遺伝子組み換えではありません。店内には持ち帰り用のゆば商品や地元の野菜、おみやげ品の販売があり、食事処もあります。また、5名以上の予約制でゆば作り体験も可能です。お店の外では、オリジナルの豆乳ソフトクリームも食べられます。身延山久遠寺の総門から車で3分ほどなので、参詣の前後に立ち寄るのもおすすめですよ。
食事処「清流」ゆばづくしメニュー
店内の食事処「清流」では、定食や丼もの、1品料理など、ゆばのさまざまなメニューが食べられます。ふんだんにゆばを食べられるぜいたくさは、製造所ならでは。他ではなかなか食べられないゆば料理がありますよ。私がゆばのおいしさを再発見したのは、ここでの食事でした。県外の旧友が遊びに来たとき、「ゆばが食べたい」とのことだったのでランチに訪れたら、思いがけず初めてのゆば料理を体験することとなり、驚きました。
メニューの中でも、私の個人的おすすめは「松花堂御膳」。ゆばは、ほぼ全小鉢に使われていて、刺身、煮物、揚げ物、そして茶碗蒸しやおすましにも使われています。どれもゆばなのに、料理によって食感や口当たり、温度感が違うと、全然別のものに思えるのが不思議です。特にゆばの揚げ物は、食べる機会が少ないと思うので、ぜひ食べてみてください。衣はサクッとしていて、中はふんわり。揚げることで大豆の旨みが引き立ち、噛み締めたくなるおいしさです。食べる前は、揚げ豆腐っぽい感じなのかと想像していましたが、全然違っていました。
「清流」という定食もおすすめ。豆乳鍋もついていてちょっとボリューミーな定食です。
「清流」の定食の中でも、ゆば田楽は特におもしろい一品だなと思います。見た目は豆腐田楽っぽいのですが、食感は崩れる感じではなく、ふわっとした弾力があって、良い意味で想像を裏切られる感じ。大豆の甘みと味噌タレの組み合わせが絶妙です。他にも、平日限定のゆば天丼、土日限定のゆばカレーと限定メニューもあります。また、定食だけでなく1品料理もあるので、ちょっと食べてみたいなという人も入りやすいですよ。
お支払いは前払いのチケット制です。
ゆば商品は食感や風味が多様!
おみやげ販売のスペースでは、ゆば商品も販売されています。
まずおすすめは、「清流」。やわらかさや大豆の味わいなどのバランスがちょうど良くて、一口食べたらまた一口と、思わず箸が進みます。
食べてみて、ダントツに「好き!」と感じたのは「みのり」。より濃厚な豆乳で作っているとのことで、食感はとろとろ。スプーンで食べるのが良いです。甘みがしっかりと感じられて、口の中でじっくり味わって食べたくなるゆばです。
「れいほう」は、食感が病みつきになる商品。しっかりと豆乳の水気を落として引き上げたゆばを、丁寧に折りたたんで仕上げています。テカっとした舌触りや、噛み締めたときの層の歯切れ感が気持ちよくてクセになる商品です。
この他にも、ゆばの商品や、おから、お店で作っている豆乳なども販売されています。ゆばを使った「ゆば子ちゃんコロッケ」も人気です。(ただし、日曜限定販売。現在は製造お休み中で、4月から再開とのこと)販売されているゆばの商品は、食事処のメニューでも使われているので、買う前に味わいたい人はぜひ食べてみてください。
購入後は、保冷剤として冷凍のおからを付けてくれるのもうれしいです。
テイクアウト
濃厚な豆乳ソフトクリーム
お店の外で販売している、豆乳ソフトクリームもおすすめ。なめらかな口当たりに、豆乳の濃厚な香りがふわりと鼻を抜けます。コクはありつつも後味は軽く、甘さが口にベッタリと残らないので、ランチでお腹いっぱい食べたあともぺろっと食べてしまいました。
ゆば体験
できたてゆばを持ち帰り
5名以上で要予約になりますが、ゆば作り体験もできます。
私もここで体験をさせてもらったことがあるのですが、ゆばをすくうのには、ちょっとコツがいります。豆乳の甘い蒸気が充満する中、コツをつかみながら、どんどんゆばをすくっていくのは楽しかったです。
できたものは、お持ち帰りできますよ。
ゆばの里の施設情報
みのぶ ゆばの里
住所:山梨県南巨摩郡身延町相又425-1
営業時間:ゆばの館(ゆば・特産品)9:30~17:30
食事処「清流」11:00~17:15 (※昼休憩1時間 ※ラストオーダー16:45)
定休日:毎週火曜日、年末年始(12月31日~1月1日)
電話番号:0556-62-6161
ウェブサイト:https://www.minobuyuba.jp/
ゆば工房五大
挑戦し続ける熟練職人の工房
ゆば工房五大は、ゆば作りへのずば抜けたこだわりと熟練職人の確かな技術を土台に、ゆばの可能性を探りながら新しい商品を生み出し続ける直売所です。
ゆばの原料は、厳選した国産大豆と地下50mから汲み上げた身延の天然水。大豆を丁寧に洗って、浸す段階からこの天然水を使い、30年以上の経験を持つ職人たちが、ゆばを日々仕込んでいます。生で味わうものはもちろん、「ゆばでここまで?」と思うような商品展開もこちらの魅力。こじんまりとした店内に、多彩な商品が並び、まるでゆばのテーマパークに来たかのような気分になります。
ここでは、数ある商品の中から、特におすすめのものを紹介します。
生ゆば商品
大豆・水にこだわった繊細な手仕事の品
まず、生ゆばの商品から紹介します。「生ゆば」とは、シンプルに作られた王道ゆばのことで、そのまま刺身で食べられることから、お店では特にこのように呼んでいるそうです。
まずおすすめは、「しだれゆば」。舌触りはやわらかくてなめらか。口に含むと、大豆のうまみがそっとほどけていくような、繊細で上品な味わいです。工房のゆばの魅力を凝縮したような商品です。
次に、ぜひ知ってほしいのが「角ゆば」。「ゆばは薄いもの」というイメージをひっくり返す、画期的な商品です。一見、お豆腐のような見た目ですが、食べるとモチっとした弾力感のあとに、とろける食感。大豆の甘みがふわっと広がって、思わず頬がゆるみます。
角ゆばの厚みは、マスの中に一枚一枚ゆばを丁寧に重ねることで作り出しているのだそう。特許を取得していて、こちらでしか作っていないものです。わさび醤油などと一緒に、まずはぜひ生のまま食べてみてください。
気軽に食べたい人は、角ゆばと同じ製法で作られたカップゆばもあります。一人で食べ切れるサイズなので、スプーンですくってプリンみたいに食べられます。
味は大豆だけでなく、黒大豆やピーナッツなどもあり、それぞれ濃厚で素材の旨みがしっかりと感じられます。
厚めに張ったゆばのふっくら感と重なった層の歯応えを楽しめる「福ゆば」や、薄いゆばを丁寧に折りたたんだコシのある「折りゆば」もあります。
新商品の「とろりゆば」も。こちらはゆばと専用のかけるだしがセットになったコラボ商品。だしは、江戸時代から続く老舗のだし専門店「日本橋八木長本店」が、工房のゆばに合わせて作ったもの。だしは別売りもしていて、やさしい味わいがゆばとよく馴染みます。
惣菜系の加工商品は変わり種商品が多数!
生ゆばを使って作られた変わり種のラインナップが多いのも魅力です。
特に好きな商品が「ゆばまん」。たっぷりとゆばを使った具たくさんの中華あんも、もっちりとした皮もお店の自家製で、ほっとする味わいです。冷凍販売ですが、店頭で温めてもらって、すぐ食べることもできます。
他にも、温めるだけで食べられるレトルトの「ゆば丼」や、家で揚げる用の「ゆばクリームコロッケ」、生姜やにんじん、椎茸と煮含めた「ゆばのしぐれ煮」、にんにくなどが入ったペペロンチーノ風の「オリーブオイル漬け」などがあります。
角ゆばを使った商品もあり、味噌漬けにしてスモークした「角ゆばスモーク」や、和風クリームコロッケのような味わいを楽しめる「ゆばフライ」があります。
スイーツ商品 おいしい驚きの品
なんと、ゆばのスイーツもあります。
特に、おもしろいのは「ゆばジェラート」。ミルクではなく豆乳を使っていて、中にはゆばがそのまま入っています。軽やかな甘さながら、濃厚でなめらかな味わいで、ところどころ入っている細かいゆばのツルッとした食感がアクセント。
少し待って、柔らかくなってから食べるのがおすすめです。
他には、ゆばを作る際にできるおからを使ったクッキーやケーキもあります。ケーキは、身延町産のあけぼの大豆のおからを使っていて、しっとりとしたパウンドケーキです。
ゆば工房五大の施設情報
ゆば工房 五大
住所:山梨県南巨摩郡身延町帯金3705-1
営業時間:平日・土9:00~18:00、日・祝祭日9:00~12:00
定休日:日・祝祭日午後
電話番号:0556-62-3535
ウェブサイト:https://www.yuba-godai.jp/
Read more 後編へ続く!
PROFILE
フーリー編集者・ライター クシダユリ
南山梨の情報を発信するフリーペーパー『南山梨 HuMaN』の制作を手掛け、早川町の広報誌などにも関わっています。地域に密着したコンテンツ制作を通じて、地元の魅力を広めることに情熱を注いでいます。