長い歴史を持つ民宿旅館「なとり屋」の三代目と、日本のさまざまな2番目の魅力を届ける協会の会長。そんな2つの顔を持つ、名取大介さん。一度は料理の修行のために南アルプスを離れたが、今は地元へ戻って「なとり屋」を継ぎ、南アルプスを盛り上げるためのチャレンジを続けている。そんな名取さんが思い描く、南アルプスの未来とは──?
PROFILE
ふるさと料理の宿 民宿旅館 なとり屋 三代目・日本No.2協会 会長 名取大介 さん
南アルプス市出身。甲州流手打ち蕎麦・竜王奥藤第五分店で12年間修行した後、民宿旅館・なとり屋の三代目に。南アルプス市内にある日本で2番目に高い山・北岳にちなみ、日本No.2協会を設立。その会長も務める。
南アルプスの麓で宿を営なみ、60年が経つというなとり屋。そのおもてなしや料理からは、飾らない温かさを感じる。
60年続く民宿旅館を父から受け継ぎ
三代目となった名取大介さん
山々に囲まれ、豊かで美しい自然が広がる南アルプス市。そんな南アルプス市の芦安地区で60年以上続く民宿旅館 なとり屋の三代目を務めるのが名取大介さん。「長男として生まれ、物心ついた頃にはいつかは自分がなとり屋を継ぐんだろうなと感じてました」。地元の高校を卒業後、旅館を継ぐため料理修行の道へ。蕎麦の名店・竜王奥藤第五分店で12年間修行を積み、二代目である父が亡くなったタイミングで南アルプスへ戻り、2018年から三代目を務めている。
なとり屋の魅力は、創業当時から大切に守られてきたおもてなしの心とふるさと料理。一番の名物は、もちろん名取さんの本格手打ち蕎麦。南アルプスのおいしい水が蕎麦のうまみをより一層引き立て、本家奥藤秘伝のタレを使用した鳥もつ煮との相性も抜群。蕎麦以外にも、四季折々の旬の食材をたっぷり使った料理が。たとえば、芦安名物・しょうゆの実。しょうゆの実は、大豆と麹を発酵させて作る芦安の伝統料理だ。年々作り手が減ってきているというが、なとり屋では名取さんの母・よし子さんお手製のしょうゆの実が味わえる。親子で作る芦安の味を目当てに、なとり屋を訪れるお客さんも多い。
甘じょっぱい味がくせになる鳥もつ煮。白いご飯にもあう。
鳥もつ煮そばセット。週末の日中限定で営業している食堂で食べることができる。
しょうゆの実は、名取さんの母・よし子さんが丹精込めて作っている。運が良ければ天日干ししている光景が見れることも。
南アルプスから全国に広がるNo.2の輪
なとり屋の三代目として毎日蕎麦を打つ傍ら、日本No.2協会の会長を務める名取さん。協会を設立したのは、南アルプス市にある北岳がきっかけだとか。
まちに「日本で2番目」があるって、めちゃくちゃすごいことじゃないで すか?でも、それを知らない人がほとんど。そこで日本全国の“2番目”を 繋いだら、もっと多くの人に南アルプスを知ってもらうきっかけになるか もと思い、動き出しました。
北岳だけじゃなく、日本にあるさまざまな2番目の魅力をもっと多くの人へ届けたいという思いを胸に、2022年2月2日に日本No.2協会を設立。まずは、全国で何かしらのNo.2を持つ自治体のドアをノックすることから始めた。設立して間もない頃は認知度が低く、相手にしてもらえないことも多かったそう。それでも地道に交渉を続け、今では日本で2番目に大きな湖・霞ヶ浦(茨城県かすみがうら市)や日本で2番目に古い時計台・辰鼓楼(兵庫県豊岡市出石町)などが独自で設けた認定制度へ登録されている。なかには、町長自らが「登録したい!」と連絡をくれた日本で2番目に小さな町・三宅町(奈良県三宅町)も。名取さんの「2番だっていい」という思いに共感する自治体や団体がどんどん増え、全国にNo.2の輪が広がっている。
玄関にはお手製のマップが。もちろん北岳には「日本第2位の山」と書かれている。
とにかくこのまちを盛り上げたい
名取さんは有志のメンバーとともに、冬のソトアソビを提案する「ASHIYASU WINTER BASH!!」などのイベントも主催。ツリークライミングや焚き火など、南アルプスならではの豊かな自然を活かしたワークショップは県外の方からも人気で、今年で5回目の開催を迎える。
年々、地域のみなさんや県外のお客さんからの認知度も高くなってきてうれしい。これからも南アルプスらしさを存分に活かして、このまちを盛り上げていきたいです!
さまざまなフィールドとスタイルで、南アルプスの魅力を発信する名取さん。TシャツにNo.2を背負った名取さんは、今日はどこでなにをしているだろう。
長い歴史を持つ民宿旅館「なとり屋」の三代目と、日本のさまざまな2番目の魅力を届ける協会の会長。そんな2つの顔を持つ、名取大介さん。一度は料理の修行のために南アルプスを離れたが、今は地元へ戻って「なとり屋」を継ぎ、南アルプスを盛り上げるためのチャレンジを続けている。そんな名取さんが思い描く、南アルプスの未来とは──?