2019年に「ワイン県」宣言をした山梨県は、ワインを起点に産業・農業・地域社会の持続に向けて、ワイン造りにおいても”持続可能な開発”に取り組んでいる企業やワイナリーと共に歩んでいます。ここでは多くの取り組みの中から、地産地消の「やまなしジビエ」とワインのトピックスをご紹介します。
INDEX
01.ワイン県やまなし
山梨県は日本ワイン発祥の地であり、その生産量及びワイナリー数は日本一を誇る日本を代表するワインの生産地です。山梨県のワイナリーは早くから日本固有品種のぶどう「甲州」(白)や「マスカット・ベーリーA 」(赤)を育てることに注力し、ワインの完成度を高めてきました。
近年、その動きはさらに加速し山梨県内の地域・畑ごとに秀逸な香味を感じさせるワインが続々と誕生。今や世界のコンクールでも数々の賞を受賞するなど注目を集めています。
日本ワインの評価が世界的に高まっているいま、山梨ワインのさらなる発展を図るため、山梨県では2019年8月に山梨「ワイン県」を宣言しました。
02.「やまなしジビエ」
山梨県では、シカによる枝葉の食害や剥皮などの林業被害や農作物の掘り起こしなどの農業被害が頻発。令和元年度の被害総額は1億3700万円にも上り、深刻な状況となっています。県では地元猟友会などと連携し、生態系に配慮し頭数を管理しつつ、 年間約1万6000頭の捕獲や駆除を行ってきました。
そこで、”害獣”として扱われているシカを地域資源に変え、貴重な恵みを余すところなく有効活用すべく、平成29年度にジビエの安心・安全を担保する独自の認証基準「やまなしジビエ(シカ肉)認証制度」を創設。シカ肉をジビエ料理や加工品などの素材として活用した特産品づくりや町おこしなどに活かす取り組みを進めています。
山梨県/やまなしジビエ
https://www.pref.yamanashi.jp/nou-han/gibier/gibier_fair2020.html
山梨県/令和3年度 やまなしジビエ料理コンテスト応募レシピ一覧
https://www.pref.yamanashi.jp/nou-han/gibier/gibier_recipe.html
03.「やまなしジビエ」と「山梨ワイン」のマリアージュ
ジビエはワインとの相性が良いことから、山梨の地域資源であるワインとのペアリングを提案しています。「やまなしジビエ」と「山梨ワイン」をともに消費していくことで、地域の産業・農業、自然環境の持続と良好な関係づくりを目指します。
山梨育ちのジビエを県産のワインと共に!人気店のおすすめ料理を紹介/富士の国やまなし観光ネット 山梨県公式観光情報
https://www.yamanashi-kankou.jp/special/gibier.html
山梨県内で「やまなしジビエ」と「山梨ワイン」のペアリングが楽しめる飲食店をピックアップしてご紹介します。
1.ブラッスリー山梨(甲府市)
ソムリエの資格をもつオーナーシェフのアドバイスを受けながら山梨県産ワインをグラスで多種類楽しむことができるフレンチレストラン。山梨の食材にこだわり、それぞれに最適な調理法によって”山梨フレンチ”を創り出しています。
県産鹿肉の低温ローストと県産馬のカルパッチョ
山梨県産のベーリーAでマリネした鹿肉を3時間以上かけてオーブンでしっとりと低温ローストし、シンプルに鹿肉のうま味を味わえる一皿。
シャトーマルス
穂坂三之蔵メルロー&カベルネ2017
山梨県北西部に位置する韮崎市穂坂町三之蔵の自社農園と穂坂地区契約栽培農家より収穫された良質のメルローとカベルネ・ソーヴィニヨンを中心にブレンドし、フレンチオーク樽による長期樽熟成。力強いふくらみのある味わいが特徴のワインです。
施設詳細│ジビエ&ワイン ブラッスリー山梨
https://www.yamanashi-kankou.jp/taste/gourmet/porta/84758.html
2.CAFÉ&WINE TROLL(甲府市)
甲府の中心街にあるカフェ&ワインバー。イタリアンをメインとした料理はオーナー自ら育てた有機野菜や山梨の食材を活かしたものを多く取り揃えています。昼はカフェスタイル、夜はバースタイルで中心街を楽しませています。
鹿肉のランプステーキ
柔らかい部分をロゼ色に焼き上げ、素材の味を引き立てる塩、山わさび、マスタード、バルサミコ酢などで味わうボリューム満点の一品。
シャトーメルシャン
鴨井寺シラー2018
山梨県中東部に位置する山梨市鴨居寺地区にある水捌けの良い”鴨居寺ヴィンヤード”にて収穫された凝縮感のあるシラー種を100%使用。黒コショウのようなスパイシーなニュアンスをお楽しみいただけます。
施設詳細│CAFÉ&WINE TROLL
https://www.yamanashi-kankou.jp/taste/gourmet/porta/93441.html
3.TOYOSHIMA(富士河口湖町)
予約困難な富士河口湖町の名店。シェフであり、猟師、農家、養蜂家と多彩な顔をもつオーナーシェフの豊島雅也さんが絶品ジビエ料理を提供しています。
パテアンクルート
ディナーコースの前菜の一例。鹿肉、鴨肉、クマ肉のパテをパイ生地で包み焼き上げ、旬の野菜を添えて仕上げる。
カンティーナ ヒロ
Partenza Yama Sauvignon
イタリア語で出発の意味をもつ「Partenza」は、カンティーナ ヒロのワイン造りの原点で、山梨市牧丘町にある標高750mの畑で収穫されたヤマ・ソーヴィニオン種のワインです。山ぶどう系の野性味が感じられ、タンニン、酸が豊富なフルボディータイプ。
施設詳細│TOYOSHIMA
https://www.yamanashi-kankou.jp/taste/gourmet/porta/40505.html
04.ジビエを食べるためのワイン「ぶち」
赤ワイン醸造にこだわる山梨県「ドメーヌヒデ」で、やまなしジビエとのマリアージュを楽しむ | High Quality Yamanashi – ハイクオリティやまなし
https://hq.pref.yamanashi.jp/tourism/jajp-kikaku003/
味わいのすべてをジビエに合わせた”猟師ワイン”「ぶち」
山梨県北東部に位置する丹波山村では、猟師のことを「鉄砲ぶち」と呼びます。その狩猟の村丹波山村が生んだ猟師のジビエワイン「ぶち」は、カベルネの力強い濃厚な味わいの中に香るスモークウッド(ナラ)のほのかな香りが特徴です。荒々しい丹波山村の山を駆け巡り、ナラやブナの木の実を食し多摩川源流の水で育った健康的な丹波山村の鹿のお肉と相性抜群のワインです。
「ぶち」を造っているのは、南アルプス市のブティックワイナリー「ドメーヌヒデ」。
畑がある南アルプス市は年間降水量が少なく「月夜にも灼ける」と言い伝えられているほど雨が降らない乾燥地帯。オーナーの渋谷英雄さんは「日本ワインの作り手の 100 人」にも選ばれ、また環境省登録の環境カウンセラーとしても活動している人物です。
また「ドメーヌヒデ」では、ワインの搾りかすとぶどう枝の炭から有機肥料を作り、剪定枝のゴミと二酸化炭素の排出量削減につなげる「4パーミルイニシアティブ」に取り組んでいます。「4パーミルイニシアティブ」は、国際的なSDGsの取り組みのひとつで、日本では山梨県がトップランナーとしてリードしています。ドメーヌヒデは2021年9月に県内ワイナリーで初めて「4パーミルイニシアティブ」認証を受けました。
丹波山ジビエワイン ぶち │ タバジビエ – 通販 – Yahoo!ショッピング
https://store.shopping.yahoo.co.jp/tabagibier/wine01.html
赤ワイン 南アルプス 日本ワイン ドメーヌヒデ
05.ワイン県ならではのSDGsの取り組み
年間1万トン以上廃棄処分されるワインの絞りかす「ワインパミス」を食品・化粧品に!
ワインパミスとは、主にワインの醸造工程で残るブドウ果皮・種などのことです。県内だけでも年間1万トン以上を廃棄処分していたワインパミスに着目し、 ワインパミスを原料としたペーストやパウダーを山梨県で開発。
ポリフェノールはワインの2~6倍、ワインには移行しないオレアノール酸という栄養成分も含まれているなど、ワイン以上の可能性を秘めているワインパミスを、料理や食品だけでなく化粧品やサプリメントにも加工しやすい状態にすることで、廃棄処分していたワインパミスが循環型社会の新たな資源になるよう取り組んでいます。
ワインパミスを取り扱っている株式会社中村商事の事業活動例
- 化粧品・サプリメント原料
毛髪にハリ・コシを与える成分に着目した「ワインパミスシャンプー」や「ワインパミストリートメント」ほか、化粧品やサプリメントを開発 - 食品添加物
ワインパミスをワイナリー別、また葡萄の品種ごと仕分けペースト状やパウダー状に加工。「カベルネソーヴィニヨンのカレー」や「甲州種のクッキー」などワイン好きの方に銘柄を選べる楽しさを提案 - エコフィード
ワインパミスを与える事で、鶏はポリフェノールを含む玉子を産むほか、牛・豚・羊は糞尿の臭いを軽減今後は養魚サーモンなど多様な家畜でのテストも予定 - 染料
ワインの品種ごとに色合いが違う特性を活かし、山梨県の伝統工芸である和紙で名刺を作成。(洋服の染色も今後予定) - バイオ燃料
ワインパミス蒸留しアルコール濃度を高め、また微細藻類をパミスで培養し油を抽出
ワインパミス RE-WINE オンラインストア|中村商事|山梨県都留市
日本酒の副産物をブドウ畑に活用。
山梨県東部の「郡内」エリアにあり、日本で唯一日本酒とワインを造っている日本酒蔵「笹一酒造」では地元山梨県産米を自社精米した過程の副産物「米ぬか」をブドウ畑の肥料として二次利用しています。自然由来の肥料として活用することによって環境に配慮した栽培方法です。
「笹一酒造は日本酒造りとワイン造りに本気で取り組み、山梨ならではの酒文化とそこに融合された手造りの高品質な酒造りをしています。」と話すのは五代目当主の天野怜さん。
350年以上続く日本酒造りで育まれた醸造技術と、山梨の歴史あるワイン造りの伝統技術が融合された笹一酒造ならではのサスティナブルな取り組みを行っています。
笹一酒造
景観・産業文化の継承
老舗からマイクロワイナリーまで多種多様な約90のワイナリーがある山梨県は生産量・ワイナリー数ともに日本一を誇っており、「ワイン県」ならではの特色ある緑豊かな景観と日本ワイン造りの歴史と文化を大切にしています。特にワイナリーの多い勝沼エリアなどでは、美しいぶどう畑が広がり「ワイン県」に来たことを訪れた人に実感させます。
近代産業遺産「宮光園」では日本ワインの醸造の歴史を学ぶことができるほか、隣接する「シャトー・メルシャン ワイン資料館」は、現存する日本最古の醸造場が資料館になっており、「現存する最古の日本産ワイン」も収蔵。
ソムリエ試験を直前に控えた受講生も多く訪れるこの地の魅力を次世代にも引き継げるよう 、官民が一体 となって様々な取り組みを行っています。
宮光園 | 甲州市
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