赤ワイン醸造にこだわる山梨県「ドメーヌヒデ」で、やまなしジビエとのマリアージュを楽しむ

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最終更新日: 2024.02.26

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赤ワイン醸造にこだわる山梨県「ドメーヌヒデ」で、やまなしジビエとのマリアージュを楽しむ

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豊かな自然と、そこから生まれる美味しい食材が豊富な山梨県。脂の乗りと旨味のバランスが絶品なブランド魚「富士の介」、ワインの搾りかすをエサとして与えた味わい深い「甲州ワインビーフ」、薫り高い山梨ワインの数々、ほかにもたくさんの特産品があります。その美味しさの源は、豊かな自然環境と生産者の努力です。

今回はワイナリー「ドメーヌヒデ」(山梨県南アルプス市小笠原436-1)で、赤ワインとやまなしジビエを通じ、数々の山梨県の取り組みと魅力に触れました。

大型バスでドメーヌヒデへ向かう道中。どこを眺めても自然豊かな山梨県です

赤ワイン醸造に特化した、ドメーヌヒデ

ドメーヌヒデは、ぶどうの生産からワインの醸造、出荷までを一貫して行っているブティックワイナリーです。

白ワインやぶどうジュースなどは作らず、徹底して赤ワインに注力。公式サイトでも「南アルプスで高級赤ワインのみを造るドメーヌ」と断言していて、そのこだわりを感じます。

ドメーヌヒデの代表・渋谷英雄さんは、高品質な赤ワインを作るべく日本各地に出向き、水はけが良い最適な土壌を探したとのこと。畑の合計面積は約2ヘクタールで、東京ドームの2/5ほどの広さです。

また、栽培と醸造に全力を注ぎたいがゆえに、製造したワインの直売はしていないとのこと。徹底的にこだわって造りのみに集中するワイナリーです。

さて、東京からバスに揺られて山梨県へ。富士山がくっきりと見える敷地内にぶどう農園が一面に広がります。

ドメーヌヒデの広大な敷地内からは富士山が見えます
本来はぶどう畑として使われている場ですが、今回は山梨のジビエと赤ワインを堪能

心地よい風とおいしい空気を満喫していると、ふと美味しい匂いが漂ってきます。 やまなしジビエ料理の登場です。

ジューシーに焼けた鹿肉。ジビエの既成概念が変わるほど繊細で柔らかく、旨味濃厚
香ばしい鹿肉ソーセージも焼かれていました。スパイシーなテイストが食欲を盛り上げます

山梨県認定の「やまなしジビエ」

現在、山梨県ではニホンジカの生息数が増えており、農林業被害に繋がり、環境問題のひとつとして深刻化しています。そのような状況のなか、ニホンジカを天然資源として活用する方針とした山梨県は、上質な野生の鹿肉に対するジビエ認証制度を公式に開始しました。

基準をクリアした鹿肉は、やまなしジビエとして山梨県公式の認証マークの使用が許可されます。ショップや通販などで、やまなしジビエの認証マークが示されていたら、それは山梨県が認めた質が高い鹿肉を扱っていることを意味します。

実際に丹波山村で獲れたニホンジカを試食すると、野生動物と思えないほど、繊細かつ上品、かつ旨味が濃いのです。 特にモモ肉は噛めば噛むほど、旨味が溢れる肉汁が、無尽蔵と思えるほどに放出されます。 フルーティーなベリーソースとの相性も絶品です。

やまなしジビエは驚くほど柔らかく、芳醇な肉汁の質と量、そして肉の旨味がずば抜けています。その秘密はニホンジカが生まれ育った丹波山村の環境にありそうです。丹波山村は面積の約97%が山。自然あふれる山々のナラやブナの木の実を食し、多摩川源流の水を飲める、この環境が上質なジビエを育んでいるのでしょう。

捕獲された鹿は山梨県の認定施設で鮮度管理されており、一番美味しいタイミングで消費者がジビエ料理を楽しめるようになっています。

鹿肉を丁寧にそぎ落とし、鉄板でじっくりと焼いていきます。ぶどう畑に広がる煙が薫り高くて心地良い

ボタニカル循環型農業のワイン「神の畑」

やまなしジビエの美味しさに感動していると、運ばれてきたのが山梨県産のワイン。「ぶち」「神の畑」の2銘柄で、どちらも製造者はドメーヌヒデです。

最初にいただいた神の畑は、ボタニカル循環型農業で作られた赤ワインです。ボタニカル循環農法とは、化学農薬、化学肥料、動物性肥料をいっさい使用しない農法のこと。

酸化防止剤無添加だけではなく、素材のぶどうが育つ土壌にも注力しています。礫岩土壌の畑で育てることにより、ぶどうの根が水とミネラルを求めて根を伸ばし、深い味わいのワインになるそうです。

この赤ワインには、ドメーヌヒデ代表の渋谷さんが「桃花色に心が奪われた」と表現しているマスカットベーリーAが使われています。その原液は美しいピンクで、渋谷さんが心奪われたのも納得です。

一目惚れしたぶどうを、丁寧に衛生ジャケットを着用して、足踏みで破砕。この原液を自然酵母によって発酵させ、二年間樽で熟成させます。ビオワインのなかでも、ここまでこだわっているワイナリーはなかなか無いと思います。

神の畑をジビエとともに頂きました。口に含んだ瞬間に訪れるジビエと神の畑の融合。繊細なタンニンがとてつもなく深く、みずみずしさと鼻腔を駆け上がるスパイシーな燻製香が組み合わされます。

フレッシュ感とタンニンと芳ばしい燻製香の調和とジビエとの相性も抜群で、いくらでも食が進んでしまいます。

この猟師が名称の由来の「ぶち」。ジビエにバッチリ合って美味
味わい深いタンニンがたまらなく甘美な「神の畑」は、お肉の美味しさをさらなるステージへ昇華させてくれます
ぶどう畑で飲む赤ワイン

ジビエとの相性がばっちりな「ぶち」

次に頂いたのは「ぶち」。ぶち、という名称の由来は猟師を意味する「鉄砲ぶち」が由来と言われています。しっかりと力強い重厚なカベルネ・ソーヴィニヨンの果実感を感じさせておきながら、後味は爽やか。後から追いかけてくるスモークウッドの香りが心地良いです。このスモークウッドの香りは「ナラ」の樽由来で、ワインの熟成と、鹿が食べるものにも共通点があったのです。

「ぶち」とともにジビエの赤身ベリーソースがけをいただきました。ベリーソースが赤ワインと同じ果実由来の食材として、ジビエと赤ワインをつないでくれて、滋味深い旨味を堪能できました。

美味しいワイン土壌と4パーミル・イニシアチブ

赤ワインに欠かせないぶどう畑の土壌の話も画期的でした。ワインの美味しさを追求するだけではなく、ドメーヌヒデでは「4パーミル・イニシアチブ」に沿った地球温暖化対策を行っています。

4パーミル・イニシアチブとは、世界の土壌表層の炭素量を年間0.4%増加させれば人間の経済活動によって増加する大気中の二酸化炭素を実質ゼロにできるという国際的な取り組みのことです。

4パーミル・イニシアチブは、2015年に国連気象変動枠組条約締結国会議でフランスが提案し、日本の都道府県として初めて山梨県が参加。4パーミル・イニシアチブに取り組む農業団体や農家の認証制度を開始するなど、山梨県は4パーミル・イニシアチブを推進しています。「神の畑」は4パーミル・イニシアチブ認証制度の認証を受けたワインです。ドメーヌヒデでも、4パーミル・イニシアチブを実践しています。剪定(カット)したぶどうの枝を炭化してバイオ炭にします。バイオ炭とは、生物資源を材料とした、生物の活性化および環境の改善に効果のある炭化物のことを指します。バイオ炭を土壌に施すと、大気中の二酸化炭素(炭素)を土壌に貯留することができます。また、土壌に炭素を貯留する取り組みとして、堆肥の活用や畑に草を生やしたまま管理する草生栽培も行っています。

木々の枝には炭素が吸収されているそうです
実際に剪定枝を焼いてバイオ炭にする工程の一部を見学させてもらいました
乾燥した剪定枝を専用の炭化器で燃やすと、煙の発生が少ない
火が消えればバイオ炭のできあがり。これが地球環境の改善に役立ちます

また、ドメーヌヒデではバイオ炭とぶどうの搾りかすを混ぜたものを「ワインアース」と命名しています。堆肥(特殊肥料)として販売しているそうです。ワイナリーとして地球環境にやさしい取り組みを全力で行っています。

ドメーヌヒデがぶどう栽培で実践しているバイオ炭の施用など、土壌に炭素を貯留する取り組みは、山梨県が4パーミル・イニシアチブとして認め、ワイナリーとしては初の認証となりました。

「おいしい未来へ やまなし」のサイトでもアニメーション動画などで4パーミル・イニシアチブを紹介しています。ぜひご覧になってください。

おいしい未来へ やまなし 「サスティナブルな未来」

まだまだあるドメーヌヒデのこだわり

ドメーヌヒデの環境に対する探求は、まだまだあります。コロナ下での社会見学支援に関心の高いメンバーもおり、農業体験のみならず、SDGsや4パーミルについて学習しつつ地球温暖化について考える環境教育の受入も大歓迎とのこと。これからの世代に持続可能な取り組みを伝えていきたいと熱心に語ってくださいました。

今回取材を通じて、なぜ山梨県のグルメが美味しいのか、その理由を知ることができました。自然あふれる大地の山梨県。その素晴らしい環境でさらなる良質な食材の追求を続けており、これからの山梨県のグルメにはより期待が広がります。まさに「おいしい未来へ やまなし」ですね。

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