「出産を控え、自治体からどんな支援を受けられるのか知りたい」
「子どもがもうすぐ小学校に上がるが、保育園のときのように預かってくれるサービスはあるのか知りたい」
など、行政が主導する子育て支援の内容について、子育て中はさまざまな疑問が生まれます。
この記事では、行政が実施している子育て支援の内容を成長フェーズごとに分けることで、いま受けられるサービスがすぐわかるようにしました。また、山梨県を例に取って、特色ある自治体独自のサービスも紹介しています。
子育て支援の内容を知ることで、育児への心理的な負担・経済的な負担を軽減できる可能性が高いので、ぜひ読んでみてください。
INDEX
出生時〜乳児期(1歳未満)で受けられるおもな子育て支援
行政がおこなう子育て支援は、成長フェーズに合わせてさまざまなサービスがあります。
ここでは、出生時〜乳児期(1歳未満)に受けられるおもな子育て支援をご紹介します。
出産育児一時金
「出産育児一時金」は、公的医療保険(国民健康保険、勤務先で加入する組合健保や協会けんぽ など)の被保険者や被扶養者が出産したとき、1児につき42万円が支給される制度。出産にまつわる費用負担を軽減する目的があります。
以下の場合は40.8万円になります。
- 「産科医療補償制度」に加入していない医療機関等での出産
- 妊娠12週(85日)以降、22週未満の出産
手続き等、詳しくは産院に確認してください。
乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業) / 養育支援訪問事業
「乳児家庭全戸訪問事業」は、生後4ヵ月を迎えるまでにすべての乳児の家庭を訪問する事業です。
- 子育て中の親の孤立化を防ぐ
- 助けが必要な家庭を、適切な行政サービスにつなげる
といった目的のもと、子どもが健やかに育つ環境整備をお手伝いします。
「養育支援訪問事業」は、
- 乳児家庭全戸訪問事業などによって、支援が必要と認められた児童や保護者
- 出産前に支援が必要と認められた妊婦
などに対しての支援が目的。養育に関する相談や指導をおこないます。
児童手当制度
「0歳から中学校卒業までの児童を養育している方」に支給されるのが児童手当です。
「手当により家庭生活が安定することで、子供の養育環境に貢献する」という考えのもと、父母もしくはその他の保護者に支給されます。
児童の年齢 | 児童手当の金額(1人あたり/月額) |
---|---|
3歳未満 | 一律15,000円 |
3歳〜小学校修了前 | 10,000円(第3子以降は15,000円) |
中学生 | 一律10,000円 |
児童手当の支給は請求した月の翌月分からとなり、遡っての請求は認められません。子どもが生まれたら、すぐに(出生から15日以内)手続きすることをお勧めします。
育児休業給付金 / 出生時育児休業給付金
「育児休業給付金」は、雇用保険加入などの条件を満たして育児休業に入るパパ・ママに支給される、いわゆる「育休手当」と呼ばれる給付金。休業前の1日あたり賃金の67%×日数(181日目以降は50%)の金額が支給されます。
一方「出生時育児休業給付金」は、基本的にパパを対象とした給付金(※養子の場合、ママも受給できます)。出生児育児休業(産後パパ育休)を取得し、一定の要件を満たした場合に支給されます。
自分が対象になるか等、詳しくは勤務先等に確認してください。
参考:
乳児期〜幼児期(小学校入学前)で受けられるおもな子育て支援
ここでは、乳児期〜幼児期(小学校入学前)に受けられるおもな子育て支援をご紹介します。
地域子育て支援拠点事業
常設の施設・児童館等に子育て拠点を設け、地域として子育て支援の充実をはかる取り組みが「地域子育て支援拠点事業」。
地域の役割の変化や、少子化・核家族化の進行など、子育て環境は大きく変わってきています。子育て中の親の孤独感を払拭して地域全体で寄り添うため、自治体が子育て拠点を設置し、育児にまつわる支援をおこなうことを目的としています。
- 育児中の親子の交流の場の提供
- 子育てに関する相談や援助
- 子育て関連情報の提供
- 子育てに関する講習等の実施
地域子育て支援拠点では、上記のような事業をおこなっています。
利用者支援事業
「利用者支援事業」は、子育て家庭・妊婦・ママが地域の子育て支援事業や保険・福祉等の機関をスムーズに利用できるよう、情報提供や助言、体制づくりをおこなうための事業です。
利用者支援事業には、下記の3つの事業類型があります。
- 基本型
- 特定型(保育コンシェルジュ)
- 母子保健型
▼基本型
基本型には「利用者支援」「地域連携」の2種類の事業があります。「利用者支援」では、子育て家庭からの相談ごとのヒアリングや、子育て支援事業を利用する際のアドバイスなどをおこないます。
「地域連携」では、地域の関係機関との連携・体制づくりなどをおこないます。
▼特定型(保育コンシェルジュ)
特定型は、おもに市町村の窓口で保育サービスに関する相談を受け、情報提供や利用のための支援をおこないます。
窓口には専任職員(利用者支援専門員)が必ず1名以上配置されています。
▼母子保健型
母子保健型は、保健師をはじめとした専門職が、市町村の保育センター等で母子保健や育児に関する相談などに応じる窓口です。子育て家庭を継続的に把握し、支援プランの策定などもおこないます。
参考:
幼児期〜小学生以降で受けられるおもな子育て支援
ここでは、幼児期〜小学生以降で受けられるおもな子育て支援をご紹介します。
ファミリー・サポート・センター
ファミリー・サポート・センター(ファミサポ)は、子ども(乳幼児・小学生などの児童)を預ける人と預かりたい人をマッチングしてくれる相互援助組織。
預ける人は「依頼会員」、預かりたい人は「提供会員」と呼ばれ、ファミサポのアドバイザーが間を取り持ち、連絡・調整をおこなってくれます。
ファミサポは「地域における育児の相互援助活動」を目的としており、病児預かり・緊急時の預かり・ひとり親家庭等の支援など、多様なニーズに対応します。
参考:
放課後児童健全育成事業等(放課後児童クラブ など)
「放課後児童クラブ」は、いわゆる「学童保育」のこと。働いているなどの理由で昼間家に保護者がいない家庭の子ども(小学生)を、放課後に小学校の空き教室や児童館などで過ごせるよう、遊びの場・生活の場を提供してくれる事業です。自治体が運営しているケースと、民間企業・社会福祉法人などが運営しているケースがあります。
共働き家庭の増加と比例して、登録児童数も年々増加。現在は140万人近い子どもが放課後児童クラブに登録しています(令和4年5月1日現在 / 厚生労働省調べ)。
参考:
児童館・児童センター等
児童館・児童センターは、18歳未満すべての児童を対象とした福祉施設。
「地域における児童の健全な遊び場を確保すること」のほか、健康を増進すること、情操を高めることを目的としています。
子育て支援における自治体ごとの特色
子育て支援の内容は、自治体ごとにさまざま。特色ある子育て支援を打ち出し、若いファミリー層の移住を促進するという狙いもあります。
ここでは山梨県を例に取り、山梨県独自の子育て支援サービスをご紹介します。
山梨県は、第二子から保育料無料(条件あり)
第2子以降の保育料が3歳まで無料になる山梨県(3歳以降は、国の「幼児教育・保育の無償化」制度のもと無料)。
適用には、
- 世帯の第2子以降の子ども(生計を同一にする第1子がいる)
- 住民税の所得割課税額が169,000円未満(世帯年収が約640万円未満)
などの条件がありますが、第2子以降の保育料を3歳まで無料にした自治体は、山梨県が全国初です。
参考:
山梨県のファミサポは公共の施設で預かってくれる
通常「ファミサポ」は、ファミサポ提供会員の自宅で子どもを預かってくれるのが一般的。山梨県のファミサポは「自治体の交流センターや市役所といった公共の施設で預かってくれる」という大きな特徴があります。
室内公園のようなファミサポも多く、保護者からは「広い施設で子どもがのびのびと遊べる」「開放的な空間で複数の提供会員が見守ってくれるため、安心して利用できる」など、多くの喜びの声が寄せられています。
▼関連記事
子育て支援に関連する補助金・給付金など
子育て支援に関する補助金・給付金は、児童手当を除き一般的に以下のようなものがあります。
- その自治体独自の支援制度に基づく補助金
- 低所得世帯に限定した給付金
- 社会環境の変化などによる国からの臨時給付金(感染症などの想像し得ない出来事・災害・不況などにより悪化した家庭経済の救済)
国や自治体から支給される補助金・給付金は、手続きをしないと入金されないものも少なくありません。どんな補助金・給付金があるのか、自分は対象になるのか、まずはお住まいの市町村に確認してみてください。
子育て支援パスポートとは
「子育て支援パスポート」とは、地域の協賛企業・店舗が子育て世帯に対して、
- 各種割引・優待サービスの提供
- 乳幼児を連れた外出の支援
などを実施してくれる事業のことです。
自治体から子育て世帯に発行された「子育て支援パスポート」を店頭で提示することにより、利用者はサービスを受けることが可能に。子育て世帯の経済的負担の軽減や、社会全体で子育て家庭を支えるという目的があります。
参考:
子育て支援の都道府県別紹介ページ
都道府県の子育て支援についてまとめました。
北海道・東北地方
北海道 HAGUKUMU
青森県 のびのびすくすくホームページ
岩手県 岩手県子育て応援ポータルサイト【いわて子育てiらんど】
宮城県 子育て支援情報サイト「みやぎっこ広場」
秋田県 いっしょにねっと。
山形県 やまがた子育て応援サイト
福島県 すくすくひろば
関東地方
茨城県 いばらき結婚・子育てポータルサイト
栃木県 とちぎの子育て情報サイト 笑顔いっぱい
群馬県 ぐんま子ども・子育て未来プラン
埼玉県 子育て支援情報 – 埼玉県
千葉県 子育て支援課/千葉県
東京都 子育て支援
神奈川県 子育て支援情報サービスかながわ
中部地方
新潟県 子育て・青少年 – 新潟県ホームページ
富山県 とみいくフレフレ
石川県 石川県・市町の子育て支援制度
福井県 子育て支援 | 福井県ホームページ
山梨県 やまなし子育てネット
長野県 子育て支援・結婚支援/長野県
岐阜県 ぎふっこカード
静岡県 ふじさんっこ子育てナビ
愛知県 愛知県子育て支援ポータルサイト|あいち はぐみんNet
近畿地方
三重県 三重県|みえ 子ども スマイルネット
滋賀県 県の子育て支援情報 |滋賀県ホームページ
京都府 子育て支援情報 未来っ子ひろば/京都府ホームページ
大阪府 子ども・家庭 – 大阪府/福祉・子育て
兵庫県 兵庫県/子育て・家庭
奈良県 奈良っ子はぐくみ課/奈良県公式ホームページ
和歌山県 わかやま子育て支援ポータルサイト
中国地方
鳥取県 子育て支援情報/とりネット/鳥取県公式サイト
島根県 てごしてしまね | 子育て
岡山県 おかやま子育て応援サイト「こそだてぽけっと」
広島県 広島の子育てポータル イクちゃんネット
山口県 こども・子育て応援局こども政策課 – 山口県ホームページ
四国地方
徳島県 とくしま はぐくみネット
香川県 「子育て県かがわ」情報発信サイト
愛媛県 きらきらナビ
高知県 こうちプレマnet-妊娠・出産・子育て応援サイト
九州・沖縄地方
福岡県 子育て支援 – 福岡県庁ホームページ
佐賀県 子育てし大県“さが”
長崎県 ながさき子育て応援 ココロンネット
熊本県 子ども未来課 – 熊本県ホームページ
大分県 大分県子育て支援ポータルサイト 子育てのタネ
宮崎県 すくすくみやざき みやざき子育て支援ポータルサイト
鹿児島県 鹿児島県/子育て支援
沖縄県 子育て支援課/沖縄県