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「おいしい未来へ やまなし」山梨県の地元食材を堪能する
山梨県といえば、富士山。富士山の周囲はもちろん、山梨県の大部分が自然あふれる緑の大地。質が良くて美味しい食材が獲れる(採れる)土壌がそろっています。もちろん料理に使う水も美味しい。山梨県では「おいしい未来へ やまなし」というコピーを掲げ、さらに品質を高める取り組みを重ねています。今回はそんな環境で育まれる山梨県の地元食材を活かした料理を試食レポートして皆様にお伝えします。
山梨県立フラワーセンター ハイジの村
今回訪問するのは「山梨県立フラワーセンター ハイジの村」(山梨県北杜市明野町浅尾2471)。ハイジの名の通り、名作『アルプスの少女ハイジ』の公式テーマパークです。
そこにいるだけで草、木、花から癒やしのエネルギーを全身で感じられる素敵な場所。ハイジの公式グッズがたくさん販売されており、おすすめはハイジの村オリジナルワイン「おんじの赤ワイン」(北杜市明野町産のシラー100%)。ラベルは可愛らしいハイジの村仕様です。
ここにしかない「ハイジの白パン」も必見。園内のロッテンマイヤーズカフェでは白パンにラクレットチーズとソーセージをサンドした「ラクレットホットドッグ」が村の名物です。 『アルプスの少女ハイジ』の舞台となったスイスを再現しており、ハイジがアルムおんじと暮らしたアルムの山小屋もあります。小屋の中にはアニメにもあった干し草のベッドまでありました。スイスの家庭料理として愛されているチーズフォンデュも食べられます。
ハイジの村にいるだけで大満足ですが、メインイベントは山梨県産の食材を味わうこと。 本来ハイジの村で、富士の介は食べられないのですが、今回は山梨県の美味しい食材を堪能していただきたいとのことで、「甲州ワインビーフ」「甲州地どり」といった山梨グルメといっしょにご用意いただきました。
山梨県のグルメをとことん体験する
まずは「甲州ワインビーフ」と「甲州ワイン」の登場です。まずは「甲州ワインビーフのポシェ」。これ以上無いくらいのやわらか食感とともに広がる奥深い旨味が絶品です。
「甲州ワインビーフのポシェ」は肉汁が豊富で、かつ香りが上質。ワインの搾りかすを食べて育ったため、フルーティーな風味が楽しめます。それを赤ワインとともにいただけば、まさにワインとワインのマリアージュ。お肉も赤ワインも香り高く、そこに豊富な肉汁と芳醇で心地よい渋味の赤ワインが出会うことで、幾重にも絡み合った奥深い旨味が楽しめる、抜群の相性。三重奏、四重奏、の奇跡のマリアージュです。
つぎは、山梨県の名産品をふんだんに使った「甲州地どりのディアブル」です。甲州地どりは広いスペースで放し飼いされ、じゅうぶんに運動をさせつつ120日間育てられた鶏。肉質がしっかりしているのが特徴で、今回はパン粉をまぶしてカラッと焼き上げた「甲州地どりのディアブル」としていただきました。
シェフから「身がしっかりしているのが特徴」と解説を受けた通り、食べ応えのある食感とともに、噛む度にどんどん放たれる旨味、そして抜群の香り。甲州地どりそのものの美味しさをじっくりかみしめられる料理でした。
「甲州地どり」のしっかりとした旨味と肉質には、甲州ワインの「赤」が抜群の相性。 お互いに支え合って、旨味や香りを高めていく組み合わせです。
マリアージュとはフランス語で「結婚」を意味する言葉。ワインと料理の場合、お互いの共通点が多いほど相性が良いとのこと。ワインと調味料の色、薫り、味わい、その3つの要素が大切です。山梨食材と山梨のワインの組み合わせを追及するのも良いですね。
さらに今回は、川越達也シェフが山梨食材を使用して考案した「やまなしナポリタン」もいただくことができました。
山梨県産素材にこだわった、やまなしナポリタンは「優しくも甘く、でも、しつこさを感じさせない仕上がりは素晴らしい」というのが、率直な感想。とことんマイルドで、食べ出したら止まりません。このレシピは公開されていますので、山梨県産の食材を用意すれば自分で作ることもできます。
山梨県の新しいブランド魚「富士の介」
つぎは「富士の介(ふじのすけ)」をふんだんに使った料理の登場です。
富士の介はキングサーモンとニジマスをかけあわせた新ブランド魚で、山梨県水産技術センターで誕生しました。山梨県内でしか作られていない、希少な魚です。 今回いただいたのは「富士の介フュメの梨北米サフラン手まり寿司」と「富士の介のミ・キュイ」。フュメとは出汁のこと、ミ・キュイはフレンチ等で半生を意味する料理用語です。
それぞれが美味しいキングサーモンとニジマスですが、その二つを掛け合わせた富士の介の身は美しく朱色で艶やか。旨味がたっぷりと含まれ、ほどよく脂も乗って、その食感はまろやかです。
一口サイズに丸めて仕上げられた「富士の介フュメの梨北米サフラン手まり寿司」は、サフランライスからほのかに薫るスパイスと、それを包む、富士の介特有のとろける口当たりのコンビネーションがたまりません。見た目も美しく、心が満たされます。
そして、食べるのがもったいないくらい美しい仕上がりの「富士の介のミ・キュイ」フォークを刺して持ち上げた時点から、柔らかい身がトロッとうなだれます。
ほど良い脂の乗りで、過剰に脂っぽくないのも素晴らしい。食べている最中は後を引く旨味を楽しませておきながらも、口の中でスーッと溶けていく後味は心地良く、記憶に長く残ります。
ニジマスを母親、キングサーモンを父親として交配したのが、富士の介ですが、実は卵を持たない魚なのです。栄養が卵にいくことがないので肉質が高品質に安定するのです。
「富士の介のミ・キュイ」とのマリアージュは甲州ワインの「白」。この組み合わせが最高でした。甲州種のぶどうが原材料の白ワインは鉄分含有量が少なく、魚介類との相性が抜群。上品で旨味の強い、富士の介がさらに引き立つ最高のペアリングでした。
山梨県の美味しい水だからこそ生まれた魚
「旨味が濃い!」と感じたのにはデータの裏付けがあります。富士の介を食べた人たちの官能評価を山梨県が公開していますが、ニジマスと比較して、「肉色が濃い」「うま味が強い」「脂がのっている」「舌触りがなめらか」との評価を受けていました。
また、「富士の介のほうが上品」と感じた人は67%もいた(*1)とのこと。清らかな水で育ち、地元の食材ゆえ鮮度が良いことが、上品な味の理由かもしれません。
その美味しさの根拠ともなるデータも公開されています。旨味成分がニジマスと比較して高いのです。 山梨県が公開しているデータによると、ニジマスと富士の介のうま味系遊離アミノ酸量を分析した結果、富士の介のほうが、アスパラギン酸、グルタミン酸ともに約1.6倍も高いことが分かりました。
*1 平塚 匡・三浦 正之「山梨県の新たな地域特産魚「富士の介」の肉質評価」
富士の介の美味しさには、山梨県の水も大きく関係しています。全国的に愛されている高品質なミネラルウォーターが湧く山梨県。さらにサケやマスなどの魚は冷たくてキレイな水を好むそうで、山梨県は富士の介を育てるには、最高の地といえるのです。
ハイジの村では、今回ご紹介したメニューをほぼ変えずにR3年のクリスマスディナーとして提供されたそうですが、一度に山梨の食材をこんなに食べられて贅沢だった、という声や、富士の介など、初めて食べた食材もあり、感激した、という声が聞かれたようで、山梨の食材の魅力を活かしたこだわりのあるメニューがお客様からは大変好評だったとのことです。皆様も山梨県が誇る美味しい食材を、是非山梨にお越し頂き、体験して下さい。(※ハイジの村ではクリスマスディナーの提供は終了しておりますのでご注意ください)。 また、県産の農畜水産物や富士の介の情報は「おいしい未来へ やまなし」特設サイトでも紹介していますので、ぜひご覧になってください。