コロナ禍後、リモートワークが普及したことで「職場にしばられない、自由なライフスタイル」が注目されるようになりました。
都市から地方へ戻ったり、便利な生活を捨ててあえて不便な暮らしをしてみたり。性別や年代を問わず「自分らしさ」を探し求める人が増えています。
そんな中で、いま広がりを見せているのが「二拠点居住(にきょてんきょじゅう)」、つまり都市と地方に2つの拠点を持つ生活です。
この記事では、『「二拠点居住」とはどういったもので、どんなメリットやデメリットがあるのか?』を整理しつつ、首都圏からの居住先として人気の「山梨県」について、特徴や行政の支援、具体的な生活の事例までを詳しくご紹介していきます。
また、山梨県では山梨に拠点をつくりたい企業や個人からのご相談を受け付けています。対面のほか、オンラインでのご相談にも対応しています。
以下にその事例もご紹介しておりますので地方との二拠点居住にご興味がある方は是非参考にしてください。
INDEX
二拠点居住とは
「二拠点居住」とは、”都市”と”地方”のように2つの地域に住まいを持ち、それぞれを行き来するライフスタイルのことです。
二拠点居住は、休暇で年に少しだけ過ごす「別荘」とは違って、頻繁に往来して”両地域で暮らす”のが特徴です。
たとえば平日は利便性の高い都市で働き、休日は地方で自然に囲まれた生活を送るというように過ごします。ニュアンスは異なりますが「二地域居住」「二拠点生活」「デュアルライフ」とも呼ばれます。
ここ数年、リモートワークの普及やスローライフ思考の高まりもあり、最近ではリタイア後の世代や富裕層だけでなく、若い現役世代の間でも広がってきました。現在では推計で617万人もの人が二拠点居住をしており(※)、コロナ禍以後は、ますますその関心を強めています。(※出典:2020年不動産流通経営協会「複数拠点生活に関する基礎調査」)
二拠点居住のメリット・デメリット
二拠点居住のメリットとは
二拠点居住には、たとえば以下のようなメリットがあります。
- 都市と地方の「両方のメリット」が得られる
- 「多様な価値観」を身につけられる
- 「大都市一極集中」や「地方の過疎化」といった社会問題の解決に貢献できる
- 自然災害への備えになる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
都市と地方の「いいとこ取り」ができる
まず一番大きいのは、都市と地方の「両方のメリット」を得られる点です。
たとえば、
・ショッピングや高度な医療といった「生活の利便性」に関わるところは都市の生活で補う
・自然や文化、趣味やアクティビティといった「心の豊かさ」に関わるところは地方の生活で補う
というように、いわば「各地域のいいとこ取り」をした生活を送ることができます。
「地方でのびのびリフレッシュして過ごしたいけど、都心の便利な生活も捨てがたい」。そんなぜいたくな悩みも、二拠点居住なら実現できてしまいます。
「多様な価値観」を身につけられる
それぞれの生活拠点ごとに交友関係を築けたり、文化や風習を学べたりできるのも二拠点居住の大きなメリットです。
たとえば、都市でビジネスを学んで自身のキャリアを高める一方、地方ではコミュニティに参加して人や文化と深く交流したりといったこともできます。
こうして身につけた「多様な価値観」や「広い見識」は、人生を豊かにしてくれるはずです。
「社会貢献」ができる
現代の日本では、人口の大都市一極集中や、それにともなう地方の人口減少・後継者問題が大きな課題になっていますが、二拠点居住はこうした地域の問題を解決する「社会貢献」にもなります。
最近では、都市で身につけた知識や技術を活かした若者が地方で起業するケースも増えていて、新しい地域経済の活性化として期待されています。
つまり、二拠点居住は「自己実現しつつ、世の中のためにもなる」ライフスタイルでもあるのです。
自然災害への備えにもなる
二拠点居住は、「いざ」というときの備えにもなります。
たとえば自然災害。2つの地域に住まいを持っていれば、片方が大きな被害に巻き込まれても、もう一方に避難することができます。
また、都市と地方それぞれの防災対策を学べるのもメリットだといえます。それぞれの被災パターンや、ライフラインの確保方法、対処の特性などを一通り把握することで、あらゆる災害に対して適切な対応ができる知識や技術が身につけられます。
二拠点居住のデメリットとは
二拠点居住にはたくさんの魅力がある一方で、デメリットもあります。
いきなり行動を起こす前に、以下に挙げるような点についてしっかりと考えておかねばなりません。
- 金銭的な負担が大きい
- 移動の負担が大きい
- 住まい選びが大変
- 手続きや契約まわりが大変
こちらも詳しく見ていきましょう。
金銭的な負担が大きい
まず大きな懸念になるのが「金銭的な負担」です。
2つの住居を維持し、かつ行き来をすることになりますので、当然お金がかかります。
費用の例を挙げると、住居の購入/賃貸費用、家財道具の購入費用、管理費、保険費、光熱・水道費、交通費などがあります。
シェアハウスにすれば抑えられる費用もありますが、自身もしくは家族だけで過ごしたい場合には、これらの費用がそのまま乗っかってくることになります。
それぞれどのくらいのお金が必要なのか、事前に見積もって、予算内に収まるか確認しておくことが大切です。
移動の負荷が大きい
お金だけではありません。2つの住居を行き来する「時間や体力」の問題もあります。
あまりに住居間の距離が離れすぎていたり、アクセスしづらい位置関係にあったりすると、移動だけで時間と体力がなくなってしまいます。そうなればだんだんと行き来するのが億劫になり、年に数日しか滞在しない「別荘」になってしまいかねません。こうなっては本末転倒です。
かといって距離が近すぎても二拠点居住の意味がありませんので、自身や家族の時間・体力を考慮しつつ、ちょうど良い場所を探す必要があります。
住まい探しが大変
自分が暮らす家を探すのですから、「お金」や「移動の負荷」のバランス以外にも考えねばならないことがたくさんあります。
たとえば、物件の立地や建物の状態、間取り、周辺環境などなど。こういったところまで細かく考慮していくと、なかなか条件にあう物件が見つからず、始める前に探し疲れてしまいがちです。特にファミリーで二拠点居住をする場合には、子供の教育やパートナーの仕事の都合もふまえて物事を決めていかねばなりませんので、さらに条件が厳しくなります。
ですから、事前に家族全員で、移住の計画や要望をしっかり整理をし、譲れる点と譲れない点を合意をしておく必要があります。
手続きまわりが大変
無事に家が決まったあとも、契約・管理まわりの手続きをいろいろとやらねばなりません。
具体的に想定されることを挙げると、住居の購入/賃貸契約にともなう書類のやりとり、住宅保険の契約、光熱費やインターネットなどの各種ライフラインの契約、住民票の届け出、家財道具の手配、周辺住民への挨拶などが考えられます。
また、住みはじめた後も、両方の家を管理していかねばなりません。銀行口座やクレジットカードをわけたりする場合には、その手配や手続きも必要になってきます。
これもシェアハウスを使えばいくらか負担を軽くはできますが、プライベートを大切にしたい場合は、どうしても向き合わねばならない課題だと言えるでしょう。
二拠点居住の移住先として山梨県が人気の理由
ここまでを読んで、「二拠点居住は魅力的だけれど、現実的な問題が色々あるなあ…」「思ったより大変そうだなあ…」と感じられたかもしれません。
そんなときに、拠点先の候補として検討してみてほしいのが「山梨県」です。
山梨県は、もともと二拠点居住しやすい場所であることに加え、移住希望者への支援事業にも力を入れるなど、二拠点居住をスタートするのにぴったりな環境が揃っています。特に首都圏との二拠点居住であれば、ご紹介してきたデメリットのほとんどを解消することができます。
こうした住みやすさが評価されて「移住したい都道府県ランキング(※)」では2020〜21年にかけて連続でベスト3位に入賞しています。(※出典:宝島社『田舎暮らしの本』読者アンケート)(※出典:宝島社『田舎暮らしの本』読者アンケート)
どんなところが優れているのか、以下で詳しくご紹介していきます。
居住にかかる費用が抑えやすい
まず挙げられるのが、居住にかかる費用を抑えやすいことです。
農村地区に行くと賃貸は少なくなりますが、山梨県の平均地価は47都道府県中11番目(※1)に安く、1坪あたり3万円程度で入手できる土地も多くあります。そのため、住宅の建築費用も安価にセーブできます。(※出典:土地代データ「公示地価都道府県ランキング・2022年)
また、生活にまつわる支出の少なさ(※)を見ても、食糧費で全国16位、家具や家事用品では17位と、平均以下にセーブできる項目も少なくありません。(※2出典:総務省「統計でみる都道府県のすがた2022」)
もちろん居住する地域や、生活スタイルによって費用感は変わってきますが、山梨県なら全体的に費用を抑えた暮らしが送れます。
アクセスが良く、首都圏との往来の負荷が少ない
首都圏から山梨県へは、鉄道や自動車、バスなどいろいろなルートでアクセスができます。
特に、東京都心から山梨県内までを約2時間程度で結ぶ「JR中央線・中央本線」や「中央自動車道」は、二拠点居住における移動をグンと楽にしてくれます。また近い将来には「リニア中央新幹線」も開通が予定されていますから、ますます首都圏と山梨県の往来はスムーズになっていくことでしょう。
豊かな自然の暮らしやすい環境が整っている
山梨は豊かな自然が魅力の県の一つです。
富士山を筆頭に、富士五湖、忍野八海、昇仙峡などの景勝地が多くあり、大自然の中で悠々とした生活を送ることができます。
気候についても穏やかなのが特徴で、一年を通して晴れの日が多くて過ごしやすいですし、積雪量も山岳地域としては少なめで、生活がマヒしたり、何メートルもの高さの雪かきに追われたりといったこともめったにありません。
また食べ物にも恵まれており、フルーツ王国として「もも」や「ぶどう」の生産量は日本一を誇りますし、地元の野菜や山菜で作る「ほうとう」は絶品。土地も豊富で農業や家庭菜園もはじめやすいため、自分で野菜を作って暮らすこともできます。
教育や文化の施設・体制も充実している
山梨県は子育て環境にも定評があります。
保育園や学校といった教育設備はもちろん、大きな公園や美術館もたくさんあり、スポーツ、アクティビティからアートまで子どもたちと一緒にさまざまな体験をすることができます。
また山梨県は、全都道府県に先駆けてクラスの人数を少なくする「少人数教育」を取り入れているのも特徴です。児童一人一人にきめ細やかな指導を行い、学習と生活の両面から子どもたちの成長を支えています。
2021年には、都道府県では全国初となる「公立小学校1年生25人学級」もスタートさせています。
移住希望者へ向けた支援が充実している
山梨県は、二拠点居住を検討している方々の支援に注力しています。
県や各市からは、移住を考えている方へ向けた「補助金制度」や「支援事業」が多数展開されていますし、二拠点居住について学ぶセミナーや、体験ツアー交流会なども頻繁に開催されています。
こうした支援を活用することで、デメリットで挙げた「金銭的な負担」や「住まい探し」「手続きや契約まわり」の大変さを大きく減らすことができるでしょう。
また、法人や県内での起業を考えている方向けの助成金制度も用意されています。ビジネスを考えている方にもピッタリの環境になっています。
以下、支援の例をリンクでご紹介します。
※2023年3月時点のものです。すでに終了したものも含まれますので、詳細は最新の状況をご確認ください。
移住の支援金制度
ほか各市町村でも同様の交付金事業が展開されています。
移住支援・就業マッチングサイトも用意されているのでご覧ください。
勉強会や相談会
法人・ビジネス向けの助成制度
どんな暮らし?山梨県の二拠点居住の事例
「なるほど、山梨が居住先として人気の理由はわかった。でも実際の暮らしはどんな感じなんだろう?」
そう思われた方へ向けて、山梨県との二拠点居住の実例を「単身者」「夫婦」「ファミリー」と3つのリアルケースでご紹介します。
二拠点居住の先輩たちがどのように山梨で暮らしているのか、ぜひ追体験してみてください。
※他にもいろいろな事例があります。「やまなし二拠点居住・移住ストーリー」を公開していますのであわせてどうぞ。
単身者の事例:都内の会社員が甲府との二拠点居住を始めて変わったこと
2021年に単身で山梨県甲府市と東京都内での二拠点居住をスタートさせた女性の事例です。
二拠点の場所として甲府を選んだ理由や、二拠点居住をはじめてからの「暮らしのリアル」が語られています。
「地域になじめなかったらどうしようとか、出社の頻度が以前のように多くなったら続けられないかも、とか。なのでいきなり完全に移住するのではなくて、二拠点居住から始めようと思いました。その方が私にとってリスクが少なく、無理のないかたちだったんです。
人とつながり、まちとつながる!都内の会社員が甲府との二拠点居住を始めて変わったこと
「山梨でいろいろな人と出会ったことで、営業の商談でもいい感じに肩の力が抜けるようになりました。山梨で出会う人たちは、友だちと遊ぶだけでなく仕事も一緒にするなど、仕事と遊びの境目がないのがいいなと思っていて、私も“積極的公私混同”を進めようとしているところ。実際に、大好きな山梨に仕事を通して貢献したい、という想いから今期の個人目標を設定して、活動しています」
人とつながり、まちとつながる!都内の会社員が甲府との二拠点居住を始めて変わったこと
夫婦の事例: 週末農業をしながら、東京との二拠点生活を実践
山梨県身延町で週末農業をしながら、東京との二拠点生活をしているご夫婦のエピソードです(YouTube動画)
東京でも自然が豊かな八王子市の高尾に住みつつも、より自然を求めて山梨県で築100年の古民家を取得。週末に山梨でどんな暮らしをしているのか。「週末型の二拠点生活のリアル」がわかります。
のんびり田舎暮らしっていうのでは僕はないんです。もうやることがいっぱいで。畑もしょっちゅうやらないといけない、彫刻も掘る、キムチも作る、ピザも焼く。レコードも聴く。
TRY!YAMANASHI! × 週末農業【二拠点居住編】
もうぎっしりやりたいことを十分堪能するっていうことが、ここ(山梨)ではできています。
たとえば都会で焚き火ができますか?庭でキャンプができますか?そういったものを全部、田舎の暮らしでは当たり前のようにできる。
東京にいるときと夫婦の立ち位置が違うんです。山梨の家は夫の家なので、夫が本当に何から何まで主導なんですね。(中略)夫はすごくよく動いてくれて。家にいるときよりもすごい働き者です。東京のうちだと「あれ、こういうこと今までやってくれたっけ?」って思うようなことを、こちらの家ではよくやってくれるので。またそういう意味では新鮮かな。
TRY!YAMANASHI! × 週末農業【二拠点居住編】
ファミリーの事例:二拠点居住で叶える自分らしい暮らしと子育て
こちらは都会暮らしに疲れ、山梨県都留市へUターン移住。山梨での結婚・出産を経て、東京都内とのゆるやかな二拠点居住を送っているご家族のエピソードです。
二拠点居住によって叶えられた、「自分らしい暮らしと子育てのリアル」が綴られています。
すぐ東京へ戻るのはもったいない気がしたし、東京で暮らしていくイメージも湧かなくて。正直に夫に話したら、『じゃあ二拠点でいいんじゃない?』って。それで私は都留、夫は東京に拠点を持ち、お互いに行き来する週末婚のような二拠点居住になりました
二拠点居住で叶える自分らしい暮らしと子育て、Uターンで見えた故郷の魅力
二拠点居住のメリットは、“田舎はインプット、都会はアウトプット”と場所を使いわけられることかもしれません。何もない自然の中でぼうっとしていると、アイデアが浮かんでくることも多い。二拠点で、都会に仕事などでアウトプットする場があれば、よりインスピレーションが湧きやすくなる気がします。
二拠点居住で叶える自分らしい暮らしと子育て、Uターンで見えた故郷の魅力
おわりに:まずは相談してみませんか
以上、二拠点居住とはどういったもので、どうして山梨県が居住先として人気があるのかを詳しくご紹介してきました。
山梨県は、
- 暮らしのお金や移動の負担を抑えやすい
- 自然が豊かで、気候も穏やかで暮らしやすい
- 移住希望者への支援体制が充実している
- 素敵な二拠点居住を実践されている先輩がたくさんいる
…というように、特に首都圏との二拠点居住を考えると魅力的な環境が整っています。
興味を持ったら、まずはセミナーや相談会で話を聞いてみることからはじめてみませんか。
山梨県では、無償で市町村の担当者と個別相談をしたり、二拠点居住・移住者の生の声を聞いたりすることができます。
支援を活用いただくことでデメリットが軽減し、二拠点居住に向けた一歩を踏み出せるようになるはずです。
詳しくは山梨県二拠点居住・移住総合WEBメディア「Y-charge」をご覧ください。