山梨県二拠点居住推進センター(東京都千代田区)では、サテライトオフィスの設置やテレワークなどの形で山梨県内での事業展開を検討している皆さまの相談を受け付けています。相談内容は「サテライトオフィスを設置したいが、どこが良いか分からない」「山梨県の魅力を活用した事業を行いたい」「山梨県に進出するメリットを知りたい」など多岐にわたります。センターの担当者は「まずは気軽に相談してもらいたい」と話します。
今回、ハイクオリティやまなし編集部は、令和5年2月に山梨県内にサテライトオフィスを設置した都内のITベンチャー企業 代表の中西優介さん(37)の相談に密着しました。
中西さんは令和5年1月に二拠点居住推進センターへ相談。拠点設置に関する補助金の案内やアドバイス、サポートなどを受け、サテライトオフィス設置に至りましたが、新たな悩みが出てきたとのことです。東京にいるときのようにつながりをつくって事業を広げていくことに難しさを感じており、山梨への拠点設置をもっと有意義なものにしたいと考え、今回の相談に至りました。
対応したのは、二拠点居住推進センターの鈴木次長と佐々木主事。「東京都内と山梨県内の双方に拠点を持つメリットを活かし、もっと仕事や活動の幅を広げたい」という中西さんに、どんな話をしてくれるのでしょうか。(以下、敬称略)
INDEX
山梨県二拠点居住推進センターとは?
山梨県二拠点居住推進センターは、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴うテレワークの急速な普及などにより地方への関心が高まり、実際に地方へ拠点を移す動きが加速したことから、県内でのサテライトオフィス設置やテレワークを検討している企業等の相談窓口として、山梨県東京事務所内に設置されました。主に企業の誘致、そのためのニーズの把握、企業版ふるさと納税のPRを行っています。
二拠点居住とは
都市と地方の双方に生活と仕事の拠点を持つライフスタイルです。
平日は地方の良好な環境で生活しながらテレワークをし、必要に応じて都市で生活・出社する形式であり、平日は都市で生活・出社、休日は地方で趣味の時間を過ごす従来の「二地域居住」とは異なります。
山梨県二拠点居住推進センターでは、都市部と地方との二拠点での事業展開などに興味がある企業等と月20件ほど面談し、ニーズに合った補助金やイベントなどの情報をお伝えしています。
鈴木次長は「拠点設置などへの興味・関心にばらつきがあるのは当然です。『まずは話を聞いてみたい』という段階でも大歓迎ですので、少しでも関心があればお気軽にご連絡ください。対面でも、オンラインでも受け付けています。」と呼びかけています。
<二拠点居住推進センター>
・住所:〒102-0093 東京都千代田区平河町2-6-3 都道府県会館13階(山梨県 東京事務所内)
・電話:03-5212-9033
・FAX:03-5212-9034
中西さんの自己紹介~自然と温泉に魅せられ、令和5年、山梨に拠点設置~
東京都内で、ITベンチャー企業の代表をしている中西優介です。社員数名とともにアプリや決済システムの設計・開発をしています。全員フルリモートで仕事をしており、私もワーケーションのためにいろんな地域を車で訪れていたところ、富士山がきれいに見える、山梨の石和温泉の露天風呂に感動しました。
山梨は東京の自宅から車で約1時間半で行けるうえ、4LDKで月8万円というリーズナブルな物件(一軒家)も見つかったこともあり、さっそく拠点を設置しました。
現在は、東京と山梨の二拠点で仕事と生活しています。山梨では仕事の休憩時間に山や湖といった豊かな自然環境を満喫できるのが魅力的です。拠点の近くにはキャンプ場もあり、子ども向けの自然体験イベントや音楽イベントで、社員の喜ぶ顔を見るのがうれしいです。
山梨で人脈を広げて、活動の幅を広げたい
中西)山梨にサテライトオフィス設置をしましたが、地元の方々とのコミュニティや人脈をつくり、さらに活動の幅を広げたいと思っています。
センター)人脈を広げる機会としては、県外企業を対象とした県内でのワーケーションツアーを年4回開催しています。山梨県内で活躍されている企業や起業家などと意見交換ができ、参加者同士のつながりもできますので、この機会にぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
中西)山梨で活躍されている人や拠点設置に興味を持っている人同士の横のつながりができるのはいいですね。ぜひ参加してみたいです。
センター)地域のキーパーソンともつながりやすいと思います。
他にも、民間主導の取り組みですが、甲府駅前にあるコワーキングスペースや富士吉田市の富士山駅近くのコワーキングスペースでも異業種交流会が開催されています。
中西)なるほど、民間による交流会も面白そうですね。山梨県に拠点を置くだけでなく、交流の場に参加できると、山梨に関心がある人たちと一緒に地域を盛り上げていくことにつながりそうですね。
ワーケーションアツアーだけでなくオンラインセミナーも
山梨県では、現地を訪れるワーケーションツアーの他、オンラインセミナーも開催しています。
令和5年7月12日には、山梨へのオフィス移転等を検討する企業を対象にしたオンラインセミナー『強みを活かした事業開発 山梨の先端事例から考察する』を開催。
・地域資源を活かした商品企画や事業連携、研究開発など、新規事業を模索中の企業の方
・首都圏から地方へオフィス移転・サテライトオフィス設置などを模索中の企業の方
・山梨に興味・関心のある企業の方
を対象に山梨で起業した方や事業推進に取り組む企業などが登壇し、地域資源や自然環境を活かした経営のあり方、新規事業開発の実例などについて講演しました。
令和6年1月23日には、「地域資源や特性を活かした持続可能なまちづくり・事業開発とは?」というテーマでオンラインセミナーを開催しました。
最新情報は二拠点居住推進センターのページでも随時お伝えしています。
地元での採用、県の活性化、イベントの事業化…中西さんの山梨での目標
中西さんの会社では今後も山梨での活動をこれまで以上に強化していきたいと考えていると言います。
具体的な展望の一つとして地元の人材の雇用と育成を検討しているそうです。中西さんは山梨への拠点設置を通じて山梨県内のITの仕事の少なさを実感し、「山梨の若者が地元に残りながら、仕事をできる選択肢をつくりたい」と考えるようになったと言います。
また、中西さんは「今後、山梨の拠点を中心に、山梨の魅力を発信するWEB媒体やアプリの開発など、自分たちの得意分野で山梨の活性化に貢献したい」と話します。
一方、中西さんがこれまでやってきたシステム開発などの仕事とは違った事業も計画中です。令和5年には友人らを山梨に集めて自然体験や音楽イベントを開催。これを継続し、事業としてさらに本格的に展開していきたいと考えているそうです。