山梨に「自然保育」の拠点誕生! 愛宕山こどもの国リニューアル

イノベーション 自然環境
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最終更新日: 2024.02.09

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山梨に「自然保育」の拠点誕生! 愛宕山こどもの国リニューアル

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「自然のなかで子育てをしたい!」

そう思っても、都会からいきなり田舎に引っ越すのはハードルが高いもの。
だったらせめて保育園や幼稚園、日常生活で自然に触れてほしいと思っている親御さんは少なくないのではないでしょうか。

山梨県甲府市は周囲を山に囲まれていて、市街地から少し足を伸ばせば自然に触れられます。
その都市性と自然のバランスの良さから、移住先や二拠点居住先として注目を集めています。

そんな甲府市にある山梨県立「愛宕山こどもの国」が開園50周年を機に再整備され、2023年春にリニューアルオープンしました

遊具などが新しくなったほか、自然に囲まれたエリアは保育園や幼稚園の「自然保育の拠点」として活用されるようになりました。

そこで今回は山梨県への取材をもとに、愛宕山こどもの国のリニューアル内容や自然保育を推進する背景についてご紹介します。

開園50周年、多世代に愛された愛宕山こどもの国が大規模リニューアル

キャンプ場の展望広場からの眺望

愛宕山こどもの国は1971年オープン。
甲府駅から車で約15分と市街地からのアクセスがよく、巨大遊具や変形自転車などさまざまな遊びが楽しめるため、オープン当初から家族連れに大人気でした。甲府盆地を一望できることから、観光地としても知られています。

ところが近年は設備の老朽化が進み、安全上の問題から一部の遊具が使用禁止・撤去に。
市民からは遊具の入れ替えなどを求める声が上がっていました。

そこで山梨県は大規模な再整備を決定。
開園50周年となった2021年から約1年半かけて工事を進め、2023年4月にリニューアルオープンしました。

遊具を刷新!リニューアルのポイント

自由広場全景

愛宕山こどもの国は西側の「遊びと家族の交流エリア」と東側の「里山の自然体験エリア」に分かれています。

今回の工事では主に西側の遊具がある自由広場と、東側のキャンプ場が整備されました。

自由広場では古い遊具がすべて撤去され、斜面の傾斜を生かした大型の複合遊具、幅広すべり台、跳ねて遊べる「ふわふわドーム」、障がいの有無に関わらず誰もが一緒に楽しむことができる「インクルーシブ遊具」などを新たに設置。
地面は全面に芝生を敷いて、子どもたちが思いっきり駆け回れるようにしました。

また授乳室やキッズスペースを備えた管理・研修棟が新設され、中で工作体験もできるようになりました。
以前から子どもたちに人気だった水遊びができる池や変形自転車広場は、変わらず利用できます。

東側については、キャンプ場を再整備し、管理棟や炊事棟で用具の貸出やシャワーができるようにしました。
富士山や甲府盆地を一望できる広場も整備し、見晴らしは抜群です。

市街地からも近い抜群の立地、こどもの国を「自然保育」の拠点に

自然保育サポート事業の様子

今回のリニューアルで、愛宕山こどもの国は「自然保育の拠点」として位置づけられました。

幼児期という人生の初期の段階で自然に触れながら育つことは、足腰の強い丈夫な体を育むことはもちろん、社会性や自己肯定感の形成といった非認知的能力を育む有効な方法とされており、近年特に注目されています。

自然保育を推進する自治体も増えていて、山梨県では2020年から愛宕山こどもの国のリニューアル工事をしていない場所を使って「自然保育サポート事業」を始めています。

この度リニューアル工事が終わったことから、今後は自然体験フィールドとして整備されたキャンプ場を拠点として、より充実したプログラムが提供される予定です。

自然保育サポート事業とは

愛宕山こどもの国の園内で、専門スタッフが子どもたちに自然を生かした遊びを教え、保育活動を行うプログラムのこと。対象は保育所、幼稚園、こども園など。
具体的な活動内容は、参加を希望する団体と専門スタッフが一緒に考える。どんぐりクラフト、落ち葉のリースづくり、火起こし体験、森の宝探しなどのプログラムが可能。

山梨県が自然保育に力を入れる理由

自然保育でキノコを触る子どもたち

山梨県子育て支援局子育て政策課、主査の河西哲郎さんは、山梨県が自然保育に力を入れる背景について次のように話します。

「県では、未来を担う子どもたちの「生きる力」を育むため、2017年10月に制定したやまなし子ども・子育て支援条例でも、県が子どもの自然体験活動を推進していくことを規定しています。

また山梨県には富士山をはじめとした豊かな自然があり、自然に近い場所で子育てできることは、山梨県の魅力の一つです。そこを強化することは子育て世帯の移住増加にもつながると考えています。
県が2015年に移住や二拠点生活を考えている人を対象に行ったアンケート では、移住候補地を決めた理由で最も多かったのが『自然豊かな環境の良さ』でした。『自然の中での子育て環境の充実』という回答の割合も高かったです」

また愛宕山こどもの国を自然保育の拠点と位置づけたことについては、こう説明しました。

「甲府市にはショッピング施設や金融機関など、生活に必要なあらゆる設備が揃っていて便利です。一方で市街地であるがゆえに敷地が狭く、裏山などもないため、日常的に自然保育を行うことのできない保育施設も少なくありません。
愛宕山こどもの国は市街地からのアクセスがよく、古くから身近な里山として親しまれてきていることから、県が活動をサポートすれば、保育施設にとっても自然保育が取り入れやすいと考えました

「子どもの目がキラキラ輝いていた」。県外へのアピールで移住者増を目指す

自然保育でカエルを触る子ども

自然保育サポート事業は非常に好評で、初年度である2020年度は15園、620人(保育者、保護者含む)の参加でしたが、2022年度は28団体、1123人(保育者、保護者含む)が参加。
リニューアル直後の2023年5月は、1カ月で5団体、229人(保育者、保護者含む)が事業を利用しました。

保護者参加型の遠足などとして利用されることも多く、ほとんどは甲府市内の保育施設でしたが、県内の幅広い地域からの利用があったそうです。

利用後のアンケートでは「子どもの目がキラキラ輝いていた」「『やりたい』『知りたい』という好奇心のアンテナが立ち、主体的に行動をしていた」など、活動を通して子どもたちに変化が見られたという声が多く寄せられました。

また愛宕山こどもの国では、幼児向けに自然保育を行う指導員研修会も開催。研修を受けた指導員が県内のほかの地域、施設で自然保育を進めていくことで、草の根的に自然保育を広めようと取り組んでいます。

子育て政策課の河西さんは、「コロナ禍で子どもたちは保育現場でも日常生活でも、さまざまな我慢を強いられました。親も大きなストレスを抱えていたと思います。リニューアルした愛宕山こどもの国の自然の中で周囲を気にせずのびのびと遊んで、心を軽くしてほしい」と話します。

また今後については「愛宕山こどもの国についてSNSでの発信を強化したり、自然保育サポート事業について県内外の保育施設にアピールしたりしていくつもりです。『山梨県の自然保育』についてより多くの人に知ってもらうことで、サポート事業への参加や観光、移住促進につなげていきたいと思っています」としました。

https://atagoyama.yya.or.jp/

愛宕山こどもの国
https://atagoyama.yya.or.jp/

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