一人ひとりが輝ける社会に。
多様性やジェンダーレスを尊重する現代において、めざすべき理想の姿です。
特に、家庭を持ちながら仕事を続けていくことについては関心が集まります。みなさんはどうされているのでしょうか。
山梨県北杜市の光学機器メーカー「オキサイド」(https://www.opt-oxide.com/)で働く名取美智さんも、子育てと両立しながら好きな仕事を続けてきた一人。オキサイドではパートから正社員に登用され、現在では管理職を務めています。
輝き方は人それぞれ。一人ひとりがそれを見つけていくには、自分自身の頑張りに加え、社会全体で「輝き方の選択肢」を増やしていかねばなりません。名取さんのお話を聞いて、ヒントを得ました。
INDEX
結婚を機に地元へ オキサイドではパートから正社員に
株式会社オキサイド管理本部総務グループで統括マネージャーをしている名取美智と申します。
夫と高校2年生の長男、中学3年生の次男、両親、そして愛犬と一緒に暮らしています。
山梨県北杜市の出身です。高校卒業まで地元・北杜市で育ち、大学進学を機に上京し、その後1991年に新卒で大手通信会社に就職しました。当時はバブルのにおいが残っていた時代で、どこか野心家な若者が多かったように思います。私もその一人だったような…。
都内で仕事を続けていましたが、夫の勤務地が山梨県で、結婚を機に32歳の時に前の会社を辞めて地元へ戻りました。私がいた会社には当時、山梨への転勤はなかったため、「仕方ないか」と。その後地元で職を探していたところ、オキサイドでパートを募集していたので応募し、採用していただきました。
当時は正社員が10人もいなくて。最初は時給800円のパートでしたが、2ヶ月が経った2003年10月からは正社員に登用していただき、営業職に就きました。職探しをしている時に「なかなか正社員で雇ってくれるところは少ないんだな」と感じていたので、とてもありがたかったのを覚えています。
営業を始めてからは毎日が勉強の日々でした。私は文系なので、最初は光学に関する知識は当然乏しく、周りの同僚に聞きながら学んでいきましたね。
オキサイドには私のようにパートから正社員になった人が他にも大勢います。男女問わず、文系も理系も関係ありません。これは今に始まったことではなく、創業当初から、一人ひとりの個性を会社が丁寧に見てくれて評価してくれていたからだと思います。
社風の中にも、パートだからこの仕事とか、社員だからといった型にはめるようなことはありません。良い事例かどうかわかりませんが、内定辞退された方が「やっぱりオキサイドで働いてみたい」となるケースもあります。 とても風通しがよく、働きやすい会社に巡りあえてよかったです。
働きやすい今の職場から感じること
オキサイドにいて感じる働きやすさですが、私自身に照らしてみると、子育てをしている社員にとってはとてもやさしく、理解のある会社だと思います。
例えば、子供が体調不良で学校から急に呼び出されたという場合、「中抜け」はもちろん、急なお休みであってもチームで仕事をしているので周りでカバーしてくれます。
ウィズコロナとなり、屋外ではマスク不要、海外の水際対策も緩和されてきましたが、学校ではまだ発熱がある場合は出席はできません。こういった場合、保護者はテレワークで仕事をしながら家事や子どもの体調に気を配ることができます。テレワーク規程もいち早く作られ、対応できている会社だと思います。
私の会社の同僚には、北杜市の「ファミリー・サポート・センター」(https://www.city.hokuto.yamanashi.jp/docs/1735.html)を利用している社員もいます。市の研修を受けた「協力会員」と呼ばれるスタッフが、1時間単位で代わりに子どもを預かってくれる事業です。子育てワーカーにはとても良い制度だと思っています。「ほんの少しだけ預かってほしい」という時にとても頼りになります。私が働き始めた頃は、まだ若かったので、このような目線を持ち合わせていませんでした。
「助け合い」って本当に大事だと思います。一人じゃどうにもならない時って家庭でも仕事でもあります。社会に求められているのは、こうした時に頼れる選択肢や体制を増やしていくことではないかと思います。オキサイドでは、こうした助け合いの風土があるので、とても働きやすいですね。
家庭で言えば、基本的に料理は好きなので、子どもたちのお弁当や家族の夕食の支度は私がやることが多いですが、同居している夫や親もサポートしてくれています。おかげで、今も仕事を続けられています。私のよき理解者です。
家族で食べる分のお米を作っています。両親と一緒に畑仕事をしているので、季節ごとの野菜を収穫し、食べています。最高においしいです。作りすぎて、時々会社に持っていって、食べるのを手伝ってもらっています(笑)。
物差しにとらわれず、輝き方を見つける
実は、オキサイドに入ってから、2005年と2008年にそれぞれ長男と次男を授かりました。
当時はまだ会社に育休という制度はありませんでした。長男を産んだ後に私が体調を崩してしまい、一度はやむを得ずオキサイドを退職したんです。
ですが、下の子が3歳になった頃、社長から「名取さんがよろしければ戻ってきませんか。働き方は相談できますよ」と声をかけてもらいました。自分を必要としてくれている、そして、一人ひとりのことを考えてくれているのだと感じられて嬉しかったです。最初の2ヶ月はまたパートとして働き、2011年4月から営業企画職の正社員に登用されました。2018年からは事業戦略本部のマネージャーに昇格。2019年に同組織の統括マネージャーを経て、現在は管理本部の統括マネージャーに任命され、会社の管理系の仕事に携わっています。
オキサイドでは、常にワクワクしながら仕事をしています。本当に色々なことを経験させていただきました。営業だけではなく、地元の学校への採用業務や社内の仕組みづくり、社史編纂やイメージ動画の制作にも関わることができました。また、2021年4月には東証マザーズ市場(現在は東証グロース市場に移行)に上場し、上場の鐘を鳴らすことができました。
一人ひとりに合った働き方やライフプランって全然違いますよね。
私の場合、オキサイドが一人ひとりをきちんと見てくれる会社だったのでとても助けられましたが、こういう会社が増えると少しは働きやすい世の中になるのかな、と思います。
「男性だから」「女性だから」という考え方や見方をしないのもオキサイドの良いところだと思います。輝き方は人それぞれなのですから、一人ひとりが輝き方を選び、それを認め合える社会になってほしいですね。
〈取材後記〉
山梨県でも2022年度から、男女共同参画社会の形成に向けた専門部署が立ち上がりました。
県が掲げる理念は、特定の生き方を肯定したり押しつけたりするものでなく、全ての人の個性が尊重され、お互いに「輝かせ合う」社会をつくることだそうです。オキサイドは県の進むべき道を照らしてくれる存在といえるのではないでしょうか。