山梨には魅力あふれる地場産業製品がいっぱい。名産品として有名なワインや日本酒だけでなく、ジュエリーや織物、伝統工芸品など、毎日の暮らしを彩る素敵なものばかりです。
この記事ではやまなしの地場産業製品を、写真付きで詳しく解説しています。実際に製品に触れて楽しめる施設も紹介しますので、ぜひご一読ください。
INDEX
やまなしの代表的な地場産業
山梨には、以下の代表的な地場産業があります。
- ワイン
- 日本酒
- ジュエリー
- 織物
- 山梨県指定の郷土伝統工芸品
ワイン
山梨県は約80社のワイナリーが集まる、日本を代表するワイン産地。国内のワインの約3割は山梨県で生産されています(出典:国内製造ワインの概況 | 国税庁)。
山梨ワインのおもなブドウ品種は「甲州」と「マスカット・ベーリーA」。
「甲州」を使ったワインは柑橘を思わせるすっきりとした味わいで、和食に合うと言われています。「マスカット・ベーリーA」を使ったワインはイチゴのような香りを持ち、渋み・酸味が少なく軽やかな味わいだと言われています。
▼地理的表示「GI Yamanashi」とは
山梨ワインが高い評価を受けている一つのしるしとして、GI「山梨」があります。
「GI」は「地理的表示」を意味するGeographical Indicationの略称。
お酒の地理的表示は「産地が表示通りであること」「一定の基準を満たした品質であること」を示すため、産地からの申し立てにより国税庁が指定します。「GI Yamanashi」は2013年7月、ワインとして初めて地理的表示の指定を受けました。
指定を受けているワインは、ラベルに「GI Yamanashi」の表示があります。
日本酒
名水の地・山梨で造られた日本酒は、ワインと同様にGI「山梨」を取得。山梨県は全国の自治体で唯一、2種類の酒類でGIの指定を受けています。
GI YAMANASHIの日本酒は、同じくGIとして認められている全国の日本酒の中で唯一、仕込み水の「水系」を限定していることが特徴。GI山梨は6つの水系から採取する水で造られており、採取地によって違った味わいを醸し出しています。
GI山梨の日本酒は、ラベルに「GI山梨ロゴマーク」の表示があります。
加えて、GI山梨の中からさらに厳しい条件を満たした日本酒について、山梨県原産地呼称日本酒管理委員会は「山梨の酒」として認定。認定を受けた日本酒のみ「山梨の酒」と表示することが可能です。
ジュエリー
「山梨県で宝石が採れるの?」と思う方もいるかもしれません。
実は、山梨は下記のようにあらゆるジュエリー製作工程が揃う、世界的にも珍しい集積産地です。
- 原料の調達
- ジュエリーの企画やデザイン
- 原石の研磨加工
- 貴金属加工
- 国内外での流通
産地ブランド「Koo-fu(クーフー)」や「甲州貴石切子」などの山梨ジュエリーは、オリジナルの素材と高度な加工技術が人気を集めています。
また、山梨県には、国内唯一である公立のジュエリー専門学校「山梨県立宝石美術専門学校」も。次の山梨ジュエリーの担い手となるべく、学生がジュエリーについて日々学んでいます。
織物
山梨県の東部・富士五湖(郡内)地域は、全国でも有数の織物産地です。
やまなしの織物は、江戸時代に独特の光沢や風合いで人気を集めた絹織物「甲斐絹(かいき)」がルーツ。甲斐絹の技術は「郡内織物」「ふじやま織り」など名前を変えて受け継がれ、現在も親しまれています。
山梨県指定の郷土伝統工芸品
山梨県には、県指定の「郷土伝統工芸品」が13品目あります。
- 日常生活に寄り添った品で、主な製造工程が手仕事であること
- 伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、伝統的な技術・技法により製造されていること
この2つの条件を満たしたものを、山梨県知事が「山梨県郷土伝統工芸品」として認定しています(参考:伝統工芸品・風土が生み、歳月が育む)。
現在認定されている13品目の山梨県郷土伝統工芸品のうち、さらに3品目は国の伝統的工芸品の指定も受けています。
▼甲州水晶貴石細工
甲州水晶貴石細工は、水晶をはじめとするさまざまな宝石に彫刻を施し、入念に研磨する伝統技法で造られています。
甲州水晶貴石細工は、国の伝統的工芸品の指定も受けています。
▼甲州手彫印章
手彫印章は、御岳山系で水晶鉱が発見・発掘されたことから始まりました。現在は水晶などの貴石のほか、ツゲや水牛、木類、石材などが使用されています。
手彫印章は、国の伝統的工芸品の指定も受けています。
▼甲州印伝
甲州印伝は、山梨県に400年以上前から伝わる革工芸品。鹿の革に漆で模様を付ける独特な加工方法で、さまざまな革製品が作られています。
甲州印伝は、国の伝統的工芸品の指定も受けています。
▼山梨貴宝石
山梨貴宝石は、熟練した職人が何通りもの工程を経ながら水晶の原石を磨いて生み出す、美しい貴宝石です。
▼西嶋手漉和紙
西嶋手漉和紙は、武田信玄の任により誕生した和紙。さまざまな技術や素材の改善を経て生み出され、墨色の独特な発色やにじみ具合、筆ざわりが特徴です。
▼甲州雨畑硯
甲州雨畑硯は、約300年前に早川上流で発見された「雨畑真石」と呼ばれる石材を原料とする硯。墨おりが良いのが特徴で、実用品としてだけでなく、芸術作品としても高い評価を得ています。
▼市川大門手漉和紙
市川大門手漉和紙の起源は、平安時代に遡ります。中世末には武田家の御用紙として、江戸自体には幕府の御用紙として発展しました。
▼甲州武者のぼり・鯉のぼり
甲州武者のぼり・鯉のぼりは、江戸時代から変わらない技法で、当時の下絵を利用して手作業で染め上げられています。
甲州武者のぼりには「我が子が武田信玄公のように強く大きく育ってほしい」という願いが込められています。
▼富士勝山スズ竹細工
富士勝山スズ竹細工は、富士山2合目付近に自生しているスズ竹を利用して作られています。江戸時代以前から作られていたと言われ、現在に至るまで原料・技法まで作り手に受け継がれています。
▼甲州鬼瓦
甲州鬼瓦は、南アルプス市若草の加賀美地区で江戸時代中期から作られています。伝統技法を用いて手作業で作られ、家内安全・商売繁盛などのお守りとして好評です。
▼甲州大石紬織物
甲州大石紬織物は、綿織物と紬織物の良さをあわせ持ち、独自の風合いがある織物。河口湖周辺で1000年以上前から作られていた織物に改良が重ねられ、現在の大石紬が完成しました。
▼親子だるま
親子だるまは、子どもをおなかに抱えたユニークなスタイルのだるま。子どもにヒゲがあるのは「親よりも立派になってほしいという親心」が込められていると言われています。
神棚に上げたとき拝む人と目が合うように、親だるまの目が少し下を向いて作られています。
▼甲州花火
甲州花火は、2023年3月に新しく加わった13品目めの郷土伝統工芸品。
武田信玄時代の「のろし」が起源と言われ、江戸時代には町衆から花火師が生まれたことで発展しました。
やまなしの地場産業製品に触れられるスポット
やまなしの地場産業製品に触れられるスポットをご紹介します。
山梨県地場産業センター「かいてらす」
かいてらすは、山梨の地場産業製品を集めた施設。
記事で紹介したワイン、日本酒、ジュエリー、織物製品、郷土伝統工芸品のほか、ほうとうや山梨銘菓などのおみやげも購入できます。
ほうとう、富士桜ポーク、信玄鶏など、さまざまな山梨の味を楽しめるレストランも併設されています。
山梨ジュエリーミュージアム
山梨ジュエリーミュージアムは、ジュエリーのほか、宝飾産業の歴史や技術を紹介している施設。
土日祝は加工・研磨・水晶美術彫刻などの職人による実演や、職人に指導を受けながらのジュエリー製作を体験できます。
身延町西嶋和紙の里
身延町西嶋和紙の里は、郷土伝統工芸品である西嶋手漉和紙に触れられる施設。
自分で漉いた和紙でうちわを作る体験ができるほか、和紙を使った製品を扱うショップや、和紙の歴史についての展示などがあります。
富士大石ハナテラス
富士大石ハナテラスは、河口湖・大石公園に隣接する商業施設。
特産品の織物生地を使ったネクタイやハンカチを扱うショップ、伝統工芸品「印伝」をメインに扱うショップのほか、和紙のおみやげや山梨の果物を使ったカフェなど、山梨を感じられるお店が並びます。
「公益財団法人 やまなし産業支援機構」の紹介
「やまなし産業支援機構」は、新規開業や新分野への進出、事業の多角化など、経営革新を推進する個人や中小企業に支援をおこなう公益財団法人です。
やまなしの地場産業の発展には、山梨の文化を伝え続けるひとりひとりの力が不可欠です。
困りごとなどがあれば、一度相談してみてください。
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▼関連URL:やまなし産業支援機構