水素エネルギー、AR、NFT。
最先端でちょっと難しそうな技術を、楽しみながらわかりやすく学ぶ体験型イベント「ARなぞときクエスト 天才水素博士のひみつ」が2024年3月9日、甲府市の「米倉山次世代エネルギーシステム研究開発ビレッジ(Nesrad、ネスラド)」で開催されました。
山梨県とNFTプロジェクト「NEO TOKYO PUNKS(NTP)」のコラボレーション企画の第2弾。
明るい日差しが降り注ぐなか、親子連れら約380人が普段訪れることのない最新の水素研究施設をまわり、水素に関するクイズに答えながらARやNFTを楽しみました。
※NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン):一つしかない本物であるという証明書つきのデジタルデータのこと。ブロックチェーンという技術が活用されている。
※AR(Augmented Reality、拡張現実):現実世界にバーチャルの情報を重ねて表示し、見えている世界を広げる技術・仕組みのこと。
INDEX
山梨県とNTPが再びコラボレーション
山梨県はWeb3.0を活用したPR施策として、日本有数のNFTプロジェクト「NEO TOKYO PUNKS(NTP)」とコラボレーション。
2023年3月に第1弾企画として、NTPが山梨県をテーマにしたオリジナル漫画を制作、インターネットなどで公開しました。漫画はSNSやメディアで話題となり、取り組みは広く知られました。
今回のイベントはコラボレーションの第2弾。
2023年3月に山梨県が強みとする水素・燃料電池の開発拠点として甲府市郊外に開所した「Nesrad」にて、親子で楽しめる体験型イベントとして開催されました。
Nesradでは「やまなしミライエネルギーフェス2024」も初めて開催され、水素で走るFCラジコンカートの操縦体験、水素・燃料電池ワークショップ、水素調理器で調理した飲食物の試食などが行われました。
「ARなぞときクエスト」とは?
「ARなぞときクエスト 天才水素博士のひみつ」は、第1弾の漫画とストーリーがつながっています。
2050年の日本においてメタバースを悪用する組織とたたかう「ネオ・トウキョウ・パンクス」に憧れる少年・カイは、パンクスのメンバーとの交流のあと、山梨県の水素・燃料電池技術に強く惹かれ、山梨県が生んだ天才水素博士の足跡をたどるうちに、とあるNFTを発見。
持ち主である天才水素博士の正体について迫っていく過程で、2024年に生きる子どもたちなどに手助けを求めるという設定です。
※メタバース:インターネット上につくられた仮想空間のこと。
参加者はイベントの特設Webページにアクセスし、ヒントをもとにNesrad敷地内を移動。
チェックポイントにあるパネルに書かれた「太陽光パネルで作った環境にやさしいエネルギーで、水から作る水素を何水素という?」といった水素クイズにスマートフォンで回答し、正解するとスタンプをゲットできるという仕組みです。
またチェックポイントでは、カメラをかざすとイラストが浮かび上がり、現実とCGを合体させたARも体験できました。
6カ所のチェックポイントを回ってスタンプを集め、特設ブースにたどり着くと、NTPのスタッフが特別な部屋に招待。
そこで未来をイメージさせるステージに立ってQRコードを読み込むことで、イベント限定の特別なNFTを受け取れます。
ARを使ったスタンプラリーというアイディアやストーリーはNTPが提案。
NTPの世界観を大事にしながら、複雑な仕組みはわからなくても気軽にデジタル技術に触れられるイベントとなりました。
380人が参加! 親子で水素クイズに挑戦、ブースには人だかり
イベントは予約なしでの当日参加も可能だったため、会場内に設置されたパネルを見て、「ARが体験できるんだって」「スタンプ集めてみたい!」と、たくさんの人がその場で参加。
各チェックポイントでは親子でクイズの答えを考えたり、不思議そうにスマートフォンを動かしてARを体験したりする姿が見られました。
この日は700人以上が来場。うち約380人がARなぞときクエストに参加しました。
一番にスタンプを集めてNFTをゲットした南アルプス市の小学2年の男の子は、「珍しいイベントだったから来てみました。謎解きが好きなので、水素クイズを解くのは楽しかった」とうれしそう。
また父親と一緒に参加した甲斐市の小学4年の男の子は「ARもNFTも知らなかったけど、水素ってすごいし、技術は進歩しているんだなって思いました」と話しました。
NTPのファウンダーでイラストレーターのNIKO24さんは、「今回のイベントは前回のコラボ企画の主人公だった少年・カイが成長した姿を描いています。カイが未来から送ったメッセージを参加者が受け取るという展開になっているので、参加した子どもたちにも自分の将来について考えてほしいと思っています」と説明。
また、「山梨県には素晴らしい水素技術があるので、コラボレーションでそのことをもっと多くの人に伝えていきたい。今回のイベントが、子どもたちが水素技術に興味を持つきっかけになったらうれしいですね。NFTやARも難しくてとっつきにくいと思われがちなので、子どもだけでなく大人にも新しい技術に触れてもらい、未来の世界に思いをはせてもらえればと考えています」と力強く語りました。
山梨県知事政策局地域ブランド推進グループの勝俣秀文さんは、「NTPさんがつくったストーリーは2050年が舞台です。山梨県は、2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロを目指して、県内全市町村共同による『やまなしゼロカーボンシティ宣言』を全国で初めて宣言しています。また、このNesradを世界的なイノベーション拠点にしたいと考えています。」
「このイベントを通じて、子どもたちがNesradで再生可能エネルギーを使ってつくられるグリーン水素の研究開発が行われていることを知り、『山梨ではこんなにすごいことをやっているんだ』と、誇りや憧れを抱いてもらえたらうれしい。こうした先進的な取り組みの認知拡大を図りながら、山梨の魅力やブランド価値を更に高めていきたいと思っています」としました。
水素やNFTは少しずつ認知されるようになってきましたが、多くの人にとってはまだまだ馴染みのない技術です。
でも私たちのこれからの生活を大きく変える可能性のあるものなので、まずは少しでも知ること、触れてみることが大事です。
今回のイベントでは気軽に新しい技術を体験できたため、参加された人たちはみんな楽しそうな表情をしていました。
全てのなぞを解いた子どもの中には、ゴール地点で待っていたスタッフに「天才水素博士の正体って僕のことだよね!僕科学が1番好きで、水素も好きだから勉強する」とうれしそうに言ってくれた子がいたそうです。
いつか参加した子どもたちの中から、未来の山梨、日本を支える研究者が本当に誕生するかもしれませんね。
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山梨県×NTP「コラボレーション企画HP」