エシカルとは?エシカル消費の考え方や、山梨の取り組みを紹介

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最終更新日: 2024.09.13

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エシカルとは?エシカル消費の考え方や、山梨の取り組みを紹介

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「エシカル(ethical)」は倫理的という意味の言葉であり、環境問題や社会問題に配慮し、より良い社会の実現を目指す考え方・行動を指す言葉として広く使われています。

近年は「消費活動における倫理的な選択」という意味で使われることが多く、環境・人・社会などに配慮した選択肢が増えることにより、地球にやさしい暮らしを実現しやすくなりました。

この記事では「エシカルとは何か」「エシカル消費の考え方」などについて説明します。

エシカルとは

エシカルは「倫理的」という意味の英語「ethical」から派生した言葉です。
人、環境、社会に配慮した持続可能な方法で行動することを意味し、近年は「消費活動における倫理的な選択」という意味で使われることが多い言葉です。

この「消費活動における倫理的な選択」とは、どんな行動を指すのでしょうか。以下に、エシカルな選択の例を挙げてみます。

  • リサイクル製品やリユース製品を選ぶ
  • 公正な労働条件、フェアな労働環境で作られた商品を選ぶ
  • 動物福祉や環境保護を考慮した商品を選ぶ

消費活動は単なるモノの購入ではなく、自分たちの暮らし方や社会を形作る重要な行為の一つです。 倫理的な選択をすることで、より良い社会の実現に貢献できるのです。

山梨県には、人、環境、社会に配慮し生産されたエシカル農畜産物が多くあります。詳しくは「やまなしのエシカルな取り組み事例」で紹介します。

エシカルとCSRの違い

エシカルと似た言葉に「CSR(Corporate Social Responsibility)」があります。
エシカルが「消費者の行動」を指すことに対し、CSRは「企業の取り組み」を指す点が異なります。

CSRは企業が利益を追求するだけではなく、地域社会への貢献や人権尊重を考慮した経営をおこなうことです。消費者の倫理的な意識が高まる中、CSRは企業イメージの向上につながることもあり、積極的に取り組む企業が増えています。

エシカルとサステナブルの違い

「サステナブル」もエシカルと似た意味で使われる言葉です。
エシカルもサステナブルも、人や環境への配慮を重視し、より良い社会を目指すための考え方であることは変わりません。

ただ、サステナブルは、持続可能な安定した未来を実現するための俯瞰的な見方であることに対し、エシカルはサステナブルを実現するための個々の取り組みと言えます。

エシカルとSDGsの関係

SDGsにおける17の目標

SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語では「持続可能な開発目標」を指します。

SDGsは2015年に国連で採択された国際目標であり、17のゴールと169のターゲットから構成。貧困や飢餓、ジェンダー平等、気候変動など、多岐にわたるグローバルな課題を解決することを目指しています。

SDGsは国際社会全体で取り組むべき課題と目標を示していますが、エシカルは「個人ができる具体的な行動」を示しています。その中でも、SDGsの目標12 「つくる責任つかう責任」はエシカルに深く関係している項目です。

「つくる責任つかう責任」は、単に物を消費することだけでなく、その製品が「どのように作られ、どのように消費されているのか」を考え、より良い社会の実現に貢献することを目指しています。

例えば、目標12では以下などの指標が定められています。

  • 先進国がリーダーとなり、持続可能な消費と生産の10年計画を実行する
  • 小売店や消費者が捨てる食料の一人あたりの量を半減させる
  • リサイクルやリユースをおこない、ごみの発生量を大きく減らす

これはエシカルの考え方における「フェアトレード製品の選択」「食糧不足への貢献」「リサイクル品の選択」などにつながります。SDGsを実現するためには、生産者と消費者が力を合わせて、持続可能な消費のしくみを作り上げていく必要があります。

エシカル消費とは

エシカル消費とは「社会や環境に与える影響を考慮しながら購入する製品・サービスを選択すること」を指します。エシカル消費の基準となる要素は以下のとおりです。

  • 基準1:環境
  • 基準2:人
  • 基準3:社会
  • 基準4:地域
  • 基準5:生物

基準1:環境

1つ目の基準は「環境」です。
地球環境に配慮し、資源の有効活用・環境汚染の低減などに貢献できる製品を選ぶことがエシカルな消費につながります。

環境につながるエシカル消費には、以下のケースが考えられます。

  • 生産過程で有害物質を使用せず、自然環境への負担が少ない製品を選ぶ
  • リサイクル製品、リユース製品を選ぶ
  • エコマーク、レインフォレスト・アライアンス認証、FSC®認証などのマークがついた製品を選ぶ

基準2:人

2つ目の基準は「人」です。
フェアトレード製品や、労働条件の改善・人権尊重などに貢献できる製品を選ぶことがエシカルな消費につながります。

人につながるエシカル消費には、以下のケースが考えられます。

  • 生産者に適正な賃金が支払われているフェアトレード製品を選ぶ
  • 長時間労働や危険な作業環境などのない、人権が尊重された環境で作られた製品を選ぶ
  • 性別、年齢、国籍、性的指向など、あらゆる人々が平等に扱われることを目指す企業の製品を選ぶ
  • LGBTQに理解がある、障害者を支援しているなど、ダイバーシティを推進する企業の商品を選ぶ

基準3:社会

3つ目の基準は「社会」です。
社会貢献活動に積極的な企業の製品を選ぶことがエシカルな消費につながります。

社会につながるエシカル消費には、以下のケースが考えられます。

  • ボランティア活動をサポートする企業の製品を選ぶ
  • エシカルファンドを利用する
  • 児童労働や強制労働がおこなわれていない製品を選ぶ

基準4:地域

4つ目の基準は「地域」です。
地域の活性化に貢献する企業の製品を選ぶことがエシカルな消費につながります。

地域につながるエシカル消費には、以下のケースが考えられます。

  • 直売所などを利用し地元の商品を地元で購入する、地産地消を心がける
  • 地域通貨を利用する
  • 地域の伝統工芸品や地域特有の製品を選ぶ
  • 空き家を活用したプロジェクトに参加する

基準5:生物

5つ目の基準は「生物」です。

生物の多様性を守る活動をおこなう企業や、アニマルウェルフェアを推進する企業の製品を選ぶことがエシカルな消費につながります。また、動物実験など、開発の段階で動物に不要な苦痛を与えない製品を選ぶこともエシカル消費につながる選択の一つです。

生物につながるエシカル消費には、以下のケースが考えられます。

  • サステナブルシーフードを選ぶ
  • アニマルウェルフェア認証を受けた畜産品を選ぶ
  • 動物実験をおこなっていない製品、動物由来の素材を使用しない製品を選ぶ

やまなしのエシカルな取り組み事例

ここまで、エシカルとSDGsの関係や、エシカル消費などについて説明しました。ここからは、山梨県のエシカルな取り組み事例を紹介します。

アニマルウェルフェア認証制度

「アニマルウェルフェア」とは、「家畜が生まれてから死ぬまでの間、なるべくストレスを感じない、自由で快適な環境のもとでの飼育を目指す」という考え方のことを言います。家畜のストレスを軽減することで、安全な畜産物の生産や生産性の向上につながると言われています。

「黒富士農場」は、甲斐市にある養鶏場。黒富士農場では鶏舎での平飼いや広い放牧場の設置などを実践しており、鶏のストレス軽減に努めています。また、天然の湧き水や発酵飼料を与えるなど、鶏のことを第一に考えた取り組みを進めています。

山梨県は2021年9月、全国の自治体で初めてアニマルウェルフェア認証基準を定め、「やまなしアニマルウェルフェア認証制度」を策定。牛、豚、鶏など家畜ごとに認証基準が設定されており、黒富士農場はもちろん認証を受けています。

4パーミル・イニシアチブ

「4パーミル・イニシアチブ」とは、土壌中の炭素を1年あたり0.4%増やしていく活動のことを言います。土壌中に炭素を増やすことで、人間が排出する二酸化炭素とプラスマイナスゼロにできるという考え方で、地球温暖化の抑制につながるとされています。

南アルプス市のワイナリー「ドメーヌヒデ」はこの4パーミル・イニシアチブに賛同し、ワインの原料となるブドウを植物由来の堆肥のみで栽培。果樹園で切られた枝を炭化させて肥料にすることで、二酸化炭素を炭に閉じ込め、地球温暖化防止につなげようという試みです。

山梨県は全国の自治体で、この「4パーミル・イニシアチブ」に初めて参加。2021年5月には「やまなし4パーミル・イニシアチブ農産物等認証制度」を制定し、4パーミル先進県として全国に先駆けて活動しています。

4パーミル・イニシアチブの取り組みは県内全域に拡大しており、今年は都市部の小売店約40店舗において、やまなし4パーミル・イニシアチブ認証農産物を販売するほか、イオン店舗も独自にフェアを実施しています。

4パーミル・イニシアチブについては、以下の記事もぜひ参考にしてください。

▼参考URL

地球環境にやさしくて「複雑な味」のワインができた! 炭素を土に埋め込む「4パーミル」のトップランナー・山梨の現場を行く – やまなし in depth

やまなしジビエ

「やまなしジビエ」とは、山梨県の認証基準をクリアしたシカ肉のことを言います。山梨県内で適切な衛生管理・処理をおこなうシカ食肉処理加工施設を「やまなしジビエ認定施設」と指定し、認定施設で認証基準を満たしたシカの肉を「やまなしジビエ」として認証しています。

山梨県ではニホンジカによる農林業の被害など、環境問題が深刻化。山梨県はこのニホンジカを天然資源として活用することを決め、2017年7月にジビエ認証制度を策定しました。

富士河口湖町など県内各地にジビエ食肉加工施設があり「ジビエによる地産地消」として、おいしいシカ肉を食材として飲食店に提供しています。山梨県もジビエに関する動画作成やフェア開催など、さまざまな取り組みを進めています。

エシカルウェディング

「エシカルウェディング」とは、結婚式にエシカルの考え方を取り入れたウェディングのことを言います。以下にエシカルウェディングの例を挙げます。

  • 地産地消の食材を取り入れた食事を提供する
  • 自然素材のアイテムやフェアトレード製品を取り入れる
  • その人の考え方や置かれている環境にとらわれず、自分たちらしい結婚式を開催する

山梨県にはエシカルウェディングが可能な古民家ホテルがあり、自然や古民家をそのまま生かした結婚式を挙げられます。村の間伐材を利用して折敷(おしき・村伝統の角盆)を再現した祝い膳で、村で採れる野菜や魚など地場の食材を使用した料理を味わえます。

▼参考URL

エシカルウエディング

ひとりひとりがエシカルな取り組みを実践しよう

山梨県は2021〜2025年まで「第2次山梨県消費者基本計画」を実施しており、「エシカル消費(倫理的消費)の促進」を重点施策の一つとしています。

また、「やまなし農業基本計画」では、4 パーミル・イニシアチブやアニマルウェルフェアの取り組みによって生産された商品を「エシカル・プレミアム」とし、他産地との差別化を図るべくプロモーション活動を展開していく予定です。

山梨県では、エシカルにまつわるさまざまな取り組みが進められており、そのどれもが全国に先駆けたものです。私たち一人ひとりが、エシカルな消費や行動を意識することで、より持続可能な社会の実現に近づけるでしょう。

山梨は、美しい自然と豊かな文化を守りながら、より良い未来へと繋がるよう歩を進めています。

▼参考URL

第2次山梨県消費者基本計画

やまなし農業基本計画


▼関連URL

山梨県の農畜水産物ブランド「おいしい未来へ やまなし」

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