民間のキーマンが語る、山梨での新たな挑戦を支える仕組みとその舞台裏

イノベーション
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最終更新日: 2026.03.02
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民間のキーマンが語る、山梨での新たな挑戦を支える仕組みとその舞台裏

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最終更新日: 2026.03.02

山梨県では、県内の企業や団体、金融機関、行政等が連携し、山梨での挑戦を支援する新事業共創プラットフォーム「TRY!YAMANASHI!」を展開しています。

今回の「やまなしイノベーションストーリー」では、支援者としてプラットフォームを牽引するコアメンバーにフォーカス。自らも事業に取り組みながら、その知見や人脈、活動拠点など、さまざまなリソースを提供することで、スタートアップをはじめとした熱意ある挑戦者たちを支えています。

お話をうかがったのは、株式会社アルプス 代表の金丸滋さん、株式会社グッドウェイ 代表の藤野宙志さん、株式会社ジブラボ 代表の桐山祐輔さんの3名。「挑戦することで得られる人脈・経験」や「山梨ならではの支援の厚み」などについて、それぞれの視点から語っていただき、イノベーション支援の実像をひも解いていきます。

山梨での挑戦を支える3人のキーマン

写真左から藤野宙志さん、金丸滋さん、桐山祐輔さん。

――まずはみなさんのご経歴と、新事業共創プラットフォーム「TRY!YAMANASHI!」(以降、新事業共創プラットフォーム)における役割を教えてください。

金丸さん(以下、敬称略):山梨出身です。高校進学を機に上京し、30歳でUターンしてからはずっと山梨を拠点に活動を続けてきました。現在は、県内で外食や小売店、公共施設などを展開する株式会社アルプスの代表を務めながら、山梨県ニュービジネス協議会の専務理事も兼任しています。

新事業共創プラットフォームでは、およそ200社が所属する協議会のつながりを活かした「挑戦者と県内企業のマッチング」や「業界におけるキーマンの紹介」など、主に人脈づくりの部分をサポートしています。また、スタートアップと一緒に共創すること自体が純粋に好きなので、自社のリソースを使って実証実験の拠点を提供したりすることもあって。面白そうな取り組みには、肩書きや所属関係なく携わるようにしています。
 

桐山さん(以下、敬称略):静岡県浜松市出身です。2019年に甲府市と浜松市との2拠点生活をはじめて、2020年に甲府市へ移住してきました。現在は、甲府駅前のコワーキングスペース「CROSS BE」の運営をしながら、地域ブランディングを手がける株式会社ジブラボを経営しています。

新事業共創プラットフォームにおける私の役割は、活動拠点の提供と、新事業共創プラットフォームに挑戦してくれる人の母数を増やすことです。CROSS BEには日々さまざまな起業家やビジネスパーソンがいらっしゃるので、そこで新事業共創プラットフォームの概要や挑戦するメリットを伝えたりしています。
 

藤野さん(以下、敬称略):山梨は出身地ではありませんが、母の実家が北杜市にあり、子どもの頃から縁のある場所です。経歴としては、証券会社や外資系取引所、金融ITサービス企業などでキャリアを重ね、2010年に金融・IT業界に特化した情報メディア「GoodWay」の運営会社を東京で設立しました。2018年からは山梨での活動も本格化させ、現在は山梨中央銀行の地域DXアドバイザーや山梨大学客員教授も務めています。

これまで培ってきた県内外のネットワークを活かして、新事業共創プラットフォームに挑戦する人を見つけてくるのが私の役割の一つです。同時に、都内に拠点を持っている立場として、東京の経済圏と山梨をつなぐ橋渡し役も担っています。

バラバラだった支援がひとつに。新事業共創プラットフォーム誕生の背景

――新事業共創プラットフォームの成り立ちをお聞かせください。

金丸:2020年頃にはすでに県内の民間企業の間で「スタートアップを応援しよう」という機運が高まっていました。

藤野:ちょうどコロナ禍で誰もが思うように動けず、東京に出ていた人たちも山梨に戻ってきた時期でしたね。学生たちの間では、やりたいことを自力で実現するために団体を立ち上げる動きが出てきていて、私も資金提供をしたり、拠点となるスペースを一緒に使ったりしながら、伴走支援していました。

金丸:当時、支援の場に顔を出すメンバーはだいたい同じで、取り組みが重なることも少なくありませんでした。どうせならバラバラに支援せず、体制を整えようという話は何度もあったのですが、民間企業だけではなかなか実現できなくて。どうしようか悩んでいたときに、県庁職員の方が新事業共創プラットフォーム「TRY!YAMANASHI!」の話を持ってきてくれたんですよ。こうして、民間と金融機関、行政の支援者たちが挑戦者を“よってたかって支援”(※)する、現在のプラットフォームが生まれました

※よってたかって支援・・・山梨県の支援事業や支援者間で使用されている用語。複数の組織がそれぞれの強みを持ち寄り、重なり合うように支援するという考え方です。

藤野:行政の仕事は縦割りになりがちですが、山梨県の職員の方々は行動力や想いもあって、所属や立場を越えた横のつながりがかなり強いと感じています。それは市町村レベルでも同じで、地元の伝統企業とスタートアップを掛け合わせるような取り組みが生まれていたり、県の事業に市町村が参加したり、その逆のパターンがあったりもする。さらに金融機関も含めて「みんなでこの地域の挑戦を支えていこう」という空気感があります。

桐山:私が知る限り、こういった環境が最初から用意されている地域は、他になかなかないと思っていて。民間、金融、行政のすべてから、人脈と知見を持つキーマンが一つの場に集まっているなんて、すごいことですよね。新しい挑戦をしようとしている人にとっては、とても有利な環境だなと思います。

顔の見えるつながりが当たり前。オンリーワンになれる場所、山梨

――支援をする立場から見て、山梨にはどのような特徴がありますか?

藤野:端的に言えば、「一人ひとりの解像度が高い」ということですね。山梨県は県土も経済圏もコンパクトで、総人口は約80万人。県庁所在地の甲府市でも20万人弱という規模です。数字だけ見るとマイナスに思われがちですが、私はむしろプラスに捉えています。一人ひとりがどんなスキルを持っていて、何をしていて、誰とどうつながっているのかが見えやすい地域なんですよ。

金丸:藤野さんと同じように、私も「人の少なさ」と「コンパクトさ」こそがメリットだと思っています。例えば、挑戦者の悩みを解消するために紹介する際、企業名ではなく「金融といえばこの人」「実証実験ならあの人」と、個人名でつなげられるんですよね。顔の見える関係が当たり前なので、話が進むスピードも速い。それに実証実験でデータを取る場合もフィールドがキュッと絞られているからこそ、精度の高いデータが得られるケースも多いと思っています。

桐山:同じ業界・業種のライバルも本当に限られますよね。だから、イノベーティブなことに挑戦すればオンリーワンを目指しやすいし、県代表みたいな立ち位置も狙いやすい環境だと感じています。一度そのポジションをつくれれば、将来的には全国や世界に挑んでいくうえでも大きな追い風になるはずです。
それから、山梨はメディアとの距離が近い。目新しい取り組みはすぐに取材してもらえるのも挑戦者にとって大きなメリットだと思いますね。

コア会議とチャレンジピッチ。二つの場が挑戦者を成長させる

――新事業共創プラットフォームの枠組の中で、みなさんが支援を始めるまでの流れを教えていただけますか?

藤野:支援スキームの中で、私たち支援者が主に関わっているのが「コア会議」と「チャレンジピッチ」の2つ。コア会議は一般には公開されていないクローズドな場です。商工会や銀行、教育・研究機関など、さまざまな分野から集まった支援者たちの前で、事業計画や目指す未来をプレゼンしてもらいます。加えて、いま抱えている悩みや課題も含めてじっくり話を聞きながら、どんな支援が考えられるのかを整理していく。ある意味、本音の壁打ちができる場所になっていると思います。

金丸:もしここに参加せずに事業を動かそうとすると、各金融機関にアポを取って、事業の相談に行き、県庁の担当部署も自分で探して……と、相当な手間がかかってしまいます。その点、コア会議には山梨県で事業を進める上で欠かせない県庁の担当者や、金融機関・民間企業・団体のキーマンが一通り揃っているので、事業計画をしっかり伝えてもらえれば、その場で共創できそうな企業や事業者を紹介してもらえたり、会議の後に各メンバーが個別に動いてくれたりもする。必要な窓口と一気にやりとりできる場なので、ぜひうまく使ってもらいたいと思いますね。

桐山:支援者たちの前に立って相談するのは正直ちょっと勇気が必要ですが、それぞれの視点からフィードバックをもらえること自体がすごく貴重ですよね。私自身も挑戦者としてプレゼンしたことがあるので、その価値は身をもって実感しています。

金丸:むしろ立ち上げて間もない時期こそ、厳しい指摘が大切だと思っていて。詰めが甘い部分はきちんと伝えて、もう一度考え直すきっかけにしてもらう。そうした場になるように意識して臨んでいます。

――チャレンジピッチについても教えてください。

藤野:チャレンジピッチは、コア会議を経てブラッシュアップした内容を発表する場です。目的としては共創パートナーと出会うこと。オンライン配信も行っているため、幅広い方に認知を広げることができます。

桐山:ピッチの持ち時間はたった5分なので、伝えることをまとめるのは正直大変です。ただ、事務局が手厚くサポートしてくれるので安心していただければと思います。まだ自分ではうまく言葉にできていない想いがあれば、一緒に言語化してくれる。ピッチでは事業内容を説明するだけじゃなく、「なぜその事業に取り組むのか」「どんな課題意識を持っているのか」といった背景を熱意をもって伝えることが大切です。相手に伝わる言葉に落とし込むのは簡単ではありませんが、一度言語化できてしまえば、どこへ行っても自分たちの事業や想いをブレずに説明できるようになる。それだけでも、このピッチに挑戦する価値は十分にあると感じています。

最大のメリットは「存在を知ってもらえること」。人とつながる支援が、長く続く

――新事業共創プラットフォームには、どのような方に挑戦してほしいですか?

桐山:想いも志もあって、やりたいことや進め方も決まっている。ただ、「自分のリソースだけだと時間がかかりそう」「最後のひと押しが足りない」と感じている人にこそ来てほしいですね。また、この新事業共創プラットフォームの一番の価値は、その場で学ぶこと以上に「山梨のキーマンたちに自分の存在とアイデアを知ってもらえること」だと思っています。コア会議やチャレンジピッチに登壇すると、後追いで支援が生まれてくるんですよ。

――「後追いで支援が生まれてくる」とは、具体的にどのようなことが起きるでしょうか?

桐山:ピッチは、地域での挑戦に興味のある多くの関係者の方に見ていただけます。そのため、「あの事業って、今どうなっているんですか?」と時間が経ってから声をかけてもらえることがあるんですよ。そこで状況をお伝えすると、持ち帰って社内検討してくださったり、必要な部署につないでくれたりする。結果として、責任者の方と直接話せる場をつくっていただいたことが多々あります。

藤野:まさに新事業共創プラットフォームに挑戦する醍醐味のひとつですよね。その事業領域に詳しい事業者や、公的機関の中でも話を聞いてくれそうな担当者など、今のステージで出会うべき相手と自然につながっていける。「自分だけでは届かなかった人たちとつながれる」という点が、この場に挑戦するいちばんわかりやすいメリットと言えるのではないでしょうか。

次の一歩に山梨という選択肢を。支援者たちからのメッセージ

――最後に山梨で挑戦を考えている方たちへメッセージをお願いします。

桐山:山梨には、まだたくさんの地域課題が眠っていると思っています。だからこそ、地域の課題解決に挑むビジネスモデルを試すには、すごく相性のいいエリアなんですよ。それに、地域課題の多くは全国の市町村でも共通しているので、ここで手応えが得られた取り組みなら全国に展開していきやすいはず。私たちも行政も“よってたかって支援”していくので、もし何か構想が浮かんでいるなら山梨で一度試してみてください。

藤野:県の支援制度や民間の支援者ネットワークが整いつつある山梨は、挑戦者の成長を勢いづける強力なスタート地点になり得ると思っています。だからこそ、「山梨から全国へ挑戦するんだ」「経済で山梨に貢献するんだ」といった気概がある起業家には、新事業共創プラットフォームを大いに使い倒してほしいですね。また、個人的に応援したいと思うのは、山梨に愛情を持って向き合える起業家。経済合理性だけでは判断せずに、地域や暮らしに寄り添いながら、その良さを活かして価値を生み出していく。そんな温かさを持った人も来ていただけたら嬉しいです。

金丸:挑戦者の方々に伝えたいのが「一社の千歩よりも、千社の一歩」という言葉です。社会課題が次々と顕在化する今、「このままじゃいけない」と感じている人は多いはず。では、誰が社会を変えていくのか。それは中小企業やスタートアップといった地域に根差したプレイヤーたちだと考えています。一握りの大企業が千歩進むよりも、同じ方向を向いた千社が一歩ずつ踏み出すほうが大きな力になる。だからこそ、失敗を恐れず、まずは小さくても一歩を踏み出してほしい。うまくいかなくても、その経験は必ず次の打ち手のヒントになります。山梨であなたが踏み出すその一歩が、やがて千社の一歩と重なり、社会を少しずつ良くしていく。そんな流れを一緒につくっていきましょう。

詳細:新事業共創プラットフォームTRY!YAMANASHI!オンライン相談窓口

文・小島 慎平、写真・加藤 甫

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