「サステナブル」という言葉をご存知でしょうか?
サステナブルは「sustain(持続する)」と「able(可能な)」の2つをかけ合わせた言葉で、「持続可能な」という意味があります。
「サステナブル」は、今後の人々の暮らしや地球のあり方を考えていくうえで、生活から切り離せない重要な概念となりつつあります。
私たちに今できることは何か。日々の生活にサステナブルな商品を取り入れていくことの大切さをまとめましたので、ぜひご一読ください。
INDEX
サステナブルな商品とは
サステナブルな商品とは「商品の生産・販売・利用・廃棄」の全過程を通して、地球環境や社会経済の持続可能性に配慮した商品のことを言います。
山梨県では後述の通り、畜産物・農産物について独自のサステナブル認証を制定。全国の自治体に先駆けたさまざまな取り組みを推進しています。
サステナブルな商品ってどんなもの?
サステナブルな商品かどうかは、前述の通り「地球環境や社会経済に配慮しており、かつ持続可能なものか」という点で判断します。
▼地球環境の観点から考えるサステナブルな商品の例
- オーガニック、自然由来の素材で作られている
- 繰り返し使える
- リサイクル素材で作られている
- 地域社会の環境に配慮されている など
▼社会経済の観点から考えるサステナブルな商品の例
- 多様性に配慮されており、どんな人でも利用できる
- 児童労働や強制労働によって作られた商品ではない
- 商品の製造に関わる人の「製造環境の安全」「生活そのもの」が保証されている
- フェアトレード商品 など
サステナブル商品の認証制度
商品がサステナブルであるという証しのひとつに「認証制度」があります。
ここでは、いくつかの認証制度を紹介します。
FSC認証
FSC認証は、適切な森林管理を認証する国際的な制度。
「自然環境の保全」「労働者の権利の保護」「地域社会への適切な配慮」などが守られている森林から生産された製品を消費者に届けるための仕組みです。
FSC認証のマークがついた製品は、もととなる木材が「違法な伐採」「人権を侵害しての伐採」「遺伝子組み換え樹木」などでなく、上記のように適切に管理された森林からのものであると保証されています。
▼関連URL:Forest Stewardship Council
山梨県は日本で一番大きなFSC認証の森を有しており、自然環境や地域社会に配慮しながら、サステナブルな森づくりを進めています。(FSC®C012256)
国際フェアトレード認証
フェアトレード(Fairtrade)とは、直訳すると「公正・公平な貿易」という意味。「経済的弱者である途上国」と「経済的強者である先進国」が対等な立場で取引をおこなう貿易の仕組みのことを言います。
「生産者や労働者の生活向上を図る目的で、途上国で生産された原料や製品が適正な価格で取引されている」ことを保証するのが、この「国際フェアトレード認証」です。
▼関連URL:フェアトレードジャパン
有機JAS認証
有機JAS認証は2001年にスタートした認証制度。農薬や化学肥料を使わずに作られた農産物や、それを原料とした加工食品であることを証明するマークです。
商品に「有機」「オーガニック」と表示する場合、必ず有機JAS認定を取得し、有機JASマークを表示しなければなりません。
▼関連URL:有機食品の検査認証制度:農林水産省
レインフォレスト・アライアンス認証
レインフォレスト・アライアンス認証は、サステナブルな農業をより推進していくための認証制度。認証された製品やその原材料は「持続可能性の3つの柱(社会・経済・環境)」をもとにした厳しい要件を満たす必要があります。
認証マーク付与の対象商品はコーヒー、チョコレート、バナナなど多岐に渡ります。
▼関連URL:レインフォレスト・アライアンス
MSC認証 / ASC認証
「MSC認証」「ASC認証」は、どちらも水産物に関する認証制度。
MSC認証は「天然の水産物に対する認証」、ASC認証は「養殖の水産物に対する認証」という違いがあります。
▼MSC認証
MSC認証の「MSC」は「Marine Stewardship Council(海洋管理協議会)」の略称。
MSCの厳格な規格のもと、環境や水産資源に配慮された、サステナブルな漁業で獲られた天然の水産物に対する認証です。
通称「海のエコラベル」と呼ばれています。
▼関連URL:MSC認証
▼ASC認証
ASC認証のASCは「Aquaculture Stewardship Council(水産養殖管理協議会)」の略称。
水産物の養殖において、海洋環境に負担をかけず労働者や地域にも配慮された、サステナブルな養殖水産物に対する認証です。
▼関連URL:ASC Japan
やまなし独自のサステナブルな認証制度
山梨県が独自に創設した「サステナブルな認証制度」をご紹介します。
▼やまなしアニマルウェルフェア認証制度
アニマルウェルフェアは「家畜が生まれてから死ぬまでの間、なるべくストレスを感じない快適な環境下での飼育を目指す」という考え方のこと。
安全な畜産物や生産性の向上につながると言われています。
山梨県は2021年、全国の自治体で初めてアニマルウェルフェアの認証制度「やまなしアニマルウェルフェア認証制度」を創設。持続可能な畜産を推進しています。
▼やまなし4パーミル・イニシアチブ農産物等認証制度
4パーミル・イニシアチブは、土壌中の炭素を1年あたり0.4%増やす活動のこと。
土壌中に炭素を増やすことで、人間が排出する二酸化炭素の影響を帳消しにできるという考え方で、地球温暖化の抑制につながると言われています。
この4パーミル・イニシアチブには世界中で699団体(2022年3月現在)が加盟しており、山梨県は日本の自治体で初めてこれに参加。
2021年5月には「やまなし4パーミル・イニシアチブ農産物等認証制度」を創設し、全国に先駆けて活動しています。
サステナブルな商品の具体例
ここではサステナブルな商品の具体例を紹介します。
サステナブルな食品
▼株式会社桔梗屋
山梨を代表する和菓子「桔梗信玄餅」を販売する桔梗屋は、工場内でこの桔梗信玄餅をはじめとしたお菓子の詰め放題をおこなっています。
扱っているのは「賞味期限12日のうち、残り半分を過ぎた商品」や「包装に失敗した規格外の商品」など、通常であれば売り物にならないが味は変わらない、という商品。詰め放題サービスを実施することで、フードロス削減に取り組んでいます。
▼株式会社オプティム「スマート米」
株式会社オプティムが生産者と協力し栽培しているのが、テクノロジーを駆使した「スマート米」。
「ドローンによるピンポイント散布で、農薬利用を最小限に抑える」といったソリューションの活用や、AIによる生育状況の管理などをおこなうことで、安定した収穫量と品質の確保が可能に。地球環境にも生産者にもやさしい米づくりを目指しています。
サステナブルな雑貨・日用品
▼&CRAFTS「木製品」
「&CRAFTS(アンドクラフト)」は、拠点である山梨県産のFSC認証⽊材を使⽤したブランド。
箸や箸置き、つまようじ入れなどのキッチンまわりの小物を中心に、やまなし産のサステナブルな木製品を製造・販売しています。
▼SuperBee「ミツロウラップ」
100%オーガニック素材の布にミツロウを染み込ませて作られたミツロウラップ。
ポリエチレンラップなどの代わりに利用することで、プラスチックの削減が可能になります。
ミツロウは抗菌力が高いため、冷蔵庫で保存する野菜を包んでおくと長持ちします。
サステナブルなファッション
▼H&M「オーガニックコットン / リサイクルコットン」
ファストファッションブランド「H&M」が製品に使用するコットンは、すべてサステナブルなものを調達しています。
例えばオーガニックコットンを利用することで、コットンの栽培に必要なエネルギーや水を90%以上削減することが可能に。ほかにも、古着回収ボックスで回収された衣類で作られるリサイクルコットンを使用することで、ゴミの削減を推進しています。
▼ピープルツリー
ピープルツリーはフェアトレード専門ブランド。衣料品を中心に、日用雑貨や食品などの企画・製作・販売をおこなっています。
扱う衣料品の素材はフェアトレードにこだわるだけでなく、例えばコットン製品は8割以上のアイテムでオーガニックコットンを利用するなど、地球環境に配慮したものづくりをおこなっています。
サステナブルな家具・家電
▼コクヨ株式会社「yuimori(ユイモリ)」
コクヨが2023年1月にスタートしたサステナブルブランド「yuimori」。
高知県の森林組合と森林保全活動をおこない、そこで育まれた木材をはじめ、国産木材を活用するべく立ち上げられた木製家具ブランドです。
適切に廃棄できるよう利用する金属は最小限にとどめるなど、地球にやさしい家具づくりを目指しています。
▼ミーレ・ジャパン株式会社「洗濯機 / 乾燥機」
ミーレはドイツに本社を置く家電メーカーです。
同社の洗濯機は全モデルで「自動容量検知システム」を搭載しており、投入された衣類の量に対し、必要最低限の水と電気のみ使用する仕組み。
乾燥機もエネルギー消費を最低限に抑え、限られた資源の利用という点において、地球環境にやさしいシステムになっています。
サステナブルな住まい
▼ZEH(ゼッチ)
これからの住宅のトレンドと言われる「ZEH」。
「net Zero Energy House」の略で「エネルギー収支がゼロ以下の家」のことを言います。
- 太陽光発電による電力の創出
- 家の断熱性向上
- エネルギー設備の効率化
などの方法によってエネルギーを生み出し、消費するエネルギーを上回る住まいをつくり出します。
▼株式会社Sanu「SANU 2nd Home」
「SANU」はセカンドホームのサブスクリプションサービス。
豊かな自然の中で気軽にセカンドホームを利用できると好評なSANUは、
- 建設の際に釘や接着剤を極力使わないことで、木材をパーツとして解体可能
- 収益の一部で植林を実施することで、カーボンネガティブを実現
など、サステナブルな取り組みの上で作られています。