山梨県では、スタートアップとの共創や支援が盛んに行われています。その成果として、令和6年3月7日に「STARTUP YAMANASHI OPEN INNOVATION PROGRAM 2023」と「第5期TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業」の成果発表会が合同開催されました。
当記事では各事業の概要とともに、当日行われた2つのトークセッションの内容を紹介します。これからスタートアップとの共創に取り組んでみたい山梨県内の企業、山梨県内を実証実験のフィールドにしたいと考えているスタートアップの方は、ぜひご一読ください。
INDEX
「STARTUP YAMANASHI OPEN INNOVATION PROGRAM 2023」とは
「STARTUP YAMANASHI OPEN INNOVATION PROGRAM 2023」は、山梨県とともに県内企業が全国のスタートアップとの共創を目指すオープンイノベーションプログラムです。山梨県内の企業から課題として解決したいテーマを発表し、今年度は4社の共創アイデアを採択しました。
共創アイデアごとに山梨県と株式会社eiiconが伴走支援を実施。オープンイノベーションによる新たな県内事業の創出を図りました。
今年度採択された企業と取り組み内容は下記のとおりです。
【株式会社山梨放送】 募集テーマ:山梨の地域活性につながる地域メディアとしての新たな価値創造 採択企業:エンゲート株式会社 提案タイトル:「世界初!スポーツの試合放送を通じて、スポーツファン⇒地域ファンへ転化する地域活性化モデルの創出」 |
【株式会社メイコー】 募集テーマ:真空技術を活用した新たな価値創出 採択企業:株式会社wash-plus 提案タイトル:「衣類における減圧乾燥機の開発」 |
【株式会社内藤ハウス】 募集テーマ:人手のいらない次世代物流倉庫の創出 採択企業:eyeForklift株式会社 提案タイトル:「荷さばき(入出庫・検品・棚卸)作業効率化と次世代物流倉庫の設計」 |
【株式会社アルプス】 募集テーマ:飲食店における省人化・無人化に向けた共創 採択企業:TechMagic株式会社 提案タイトル:「自動調理ロボットを用いた飲食店の共創」 |
トークセッション「はじめての事業共創。本音トーク」
「STARTUP YAMANASHI OPEN INNOVATION PROGRAM 2023」の成果発表会では『はじめての事業共創。本音トーク』をテーマにトークセッションが行われました。山梨県内の企業4社が、スタートアップとの共創で得られたことや今後の展望などを語りました。
モデレーターは、株式会社eiicon執行役員Enterprise事業本部・公共セクター事業本部管掌、村田宗一郎氏。登壇企業は、株式会社山梨放送・株式会社メイコー・株式会社内藤ハウス・株式会社アルプスです。
トークセッションの様子を紹介しますので、これからスタートアップとの共創に取り組みたいと考えている山梨県内企業の方は、ぜひ参考にご覧ください。
スタートアップとの共創に取り組んだ理由
村田氏:皆さん、なぜスタートアップとの共創に取り組もうと思ったのでしょうか?
株式会社山梨放送(以下、山梨放送):インターネットが主流の時代になり、テレビとラジオだけでは厳しい状況になってきました。新しい事業で山梨を盛り上げていく際に、すでに山梨県内の企業がやっている取り組みと競争になるのは避けなくてはなりません。
それからグループ企業のため、新しいアイデアをグループ内で取り組んでいるケースもよくあります。
これらのことを踏まえ、山梨県外に目を向けて一緒にやっていただけるスタートアップを探したほうが、新しいものが生まれるのではないかと思い参加しました。
株式会社メイコー(以下、メイコー):近年、市場の偏りによって受注体系のバランスが崩れており、新しい事業を考えていかなければならないと考えておりました。スタートアップとのマッチングを通して新しい事業に挑戦できる点が我々の目的と一致したため、参加しました。
株式会社内藤ハウス(以下、内藤ハウス):時代の流れも早くなっていて、自社の建築事業の力だけでは社会課題の解決がしづらくなっています。社会課題を解決したいスタートアップの想いや情熱に触れたことがきっかけになり、オープンイノベーションに参加しました。
株式会社アルプス(以下、アルプス):当社は10年ほど前からスタートアップとの共創に取り組んでいます。理由は、僕自身が日本一・日本初・山梨発といったことが大好きだからです。
しかし、日本一や山梨発を叶えようとすると自社リソースだけでは実現できないので、ほかと組む以外に選択肢がありません。必然的に一緒に取り組む相手を探し、いつの間にか共創を始めていたという感じです。
共創を進める中で起こった困難をどう乗り越えたか
村田氏:皆さん、危機感や想いを持って共創に取り組まれたと思います。実際に取り組んでみて難しさを感じたり、壁にぶつかったりしたのではないでしょうか。その困難をどのように乗り越えたのか聞かせてください。
メイコー:当社には古い会社体質が残っていて、外からの意見を取り入れることは多くありませんでした。そのため、オープンイノベーションに対する社内理解を得るところが難しかったです。
社内からは「それやる意味あるの?」「具体的な内容をしっかり説明しなさい」といった声がありました。でも、これから共創してつくり上げていくものですし、実現するかわからない夢物語の部分も含まれているので、そこを突っ込まれても回答に困りましたね。
村田氏:社内から反発が起きたとき、どのように話を進めたのですか?
メイコー:資料と共に、wash-plusさんから聞いた熱い想いや今後の展望などを加えて上申しました。パートナーになって一緒に進めていくことが自社にもプラスになると説得しました。
取り組みを半年間進めてきて、少しずつ社内の理解度が上がってきています。それは、スタートアップとの共創の可能性を見いだせたからだと思います。
内藤ハウス:当社は社長との距離が近いので、スタートアップと何かやってみたいと話したら「やってみろ」と。スムーズに始まり、社内でも進めやすかったです。
当社が初めにぶつかった壁は、誰に何を届けたいか明確にできなかったところです。明確なビジョンを掲げるまでが難しかったですね。
村田氏:外部パートナーと一緒に進めていく難しさは感じましたか?
内藤ハウス:難しさはあまり感じませんでした。最初に明確なビジョンを決めていたので、それに合わせてスタートアップ15社に集まっていただきました。その中で同じような課題を抱いているeyeForkliftさんという最高の一社を選べたかなと思います。
村田氏:共創するうえで「どこでもいいから集まってくれ」というように進める企業が多いのも実情です。初めの段階で明確なビジョンを描くこと、社長を巻き込んで後押しを得ることが壁を乗り越える大きなポイントだと感じました。
共創に取り組んできて今思うこと・気づき
村田氏:スタートアップとの共創に取り組んできて今思うことや見えてきた可能性、気づきをお伺いしたいと思います。
山梨放送:今、こうしてエンゲートさんと進めていること自体が楽しいです。これから取り組みをもっともっと広げていきたいという目標を持てているところもあります。
我々の場合はざっくりしたテーマで募集をして、全国のスタートアップ約40社から手を挙げていただきました。ミーティングの中で、外から見た山梨放送の課題や期待感もわかって良かったです。
今回は長くやっていきたいということでエンゲートさんを選びましたが、ほかのスタートアップでも「あのイベントと相性がいいのではないか」といった発見がたくさんありました。そういう意味では、まだまだ新しい挑戦がこれから広がっていくように思っています。
村田氏:山梨放送さんは、いろいろな企業と一緒に協業型のイベントを実施している印象があります。今回進めていく中で、協業と共創の違いを感じるところはありましたか?
山梨放送:普段のイベントや番組は、すでにゴールが見えている状態で始めます。共創はゼロに近いところからスタートして一緒につくり上げていくので、まったく違ったものになると思います。
村田氏:メイコーさんは、スタートアップと共創して思うことや気づきはありますか?
メイコー:スタートアップの熱量の高さやスピード感には、大いに驚かされました。それに我々が動かされたところは大きかったと思います。スタートアップとのマッチングから生まれるビジネスの可能性に気づけたので、今後も取り入れていきたいです。
村田氏:業界や考え方、文化が違う方と一緒に仕事をしたからこそ新たな気づきが得られ、社内にいい循環を起こせていると感じました。共創に長く取り組んでいるアルプスさんから見て、気づきはありますか?
アルプス:うちの場合、スタートアップが持っている技術・テクノロジーをどこかで知って「うちで使えるね」という発想にはならないんですね。僕が「これをしたい」っていう妄想を、実現できる技術を持っているところはないか探しに行く感じです。僕の妄想実現のための相手探しが共創だなと思っています。
村田氏:妄想は、いつ、どのようにやっているのですか?
アルプス:常に妄想していますね。「これをこうして、ああなったら面白い世の中になるんじゃないかな」なんてことを思い描いています。
立場上、県内企業に「お前のとこでやったら面白いかもよ」と言って、スタートアップの紹介もやっています。紹介した先で新しい取り組みの実現も起きているので、他社の妄想も面白いですね。
村田氏:内藤ハウスさんは、いかがですか?
内藤ハウス:我々は物流業界に絞ったんですけども、業界のことを深く知れるところは非常にありがたかったです。
たとえば話題になっている「物流2024年問題」は、ドライバーに焦点が当たっていることが多いです。しかし問題を掘り下げてみると、根本は荷主のほうにある。そこを何とかしないと、ドライバーの労働環境改善にはつながらないということをeyeForkliftnの野正社長から教わりました。
業界で起きている課題を学び、今やるべきなんだと実感が湧きました。
これからオープンイノベーションを始める方へのメッセージ
村田氏:オープンイノベーションに参加された皆さんから、これから取り組む県内企業の方へ向けてメッセージをお願いします。
山梨放送:ここまで短期間のうちに、ゼロに近い状態から積み上げて来られた点では、非常に面白い経験をさせていただきました。取り組みを成功させて、山梨発の新しいビジネスで山梨を元気にしたいと考えています。
今回で得た知見をもとに、今度は山梨県内の企業の皆様と一緒に何かができればいいなと思っております。
メイコー:本当にオープンイノベーションに参加できてよかったと思います。我々が持っている技術の可能性を見い出していただいたのは大きなメリットです。
オープンイノベーションに参加しようか迷っている県内企業の方がおられましたら、勇気を出して一歩踏み出してやってみてください。一緒に山梨県内の企業を盛り上げていきましょう。
内藤ハウス:スタートアップと関わりたいと思ったら、まずeiiconさんに声をかけてください。手取り足取り指導してくれます。
まず勇気を出して行動に表してみることが大事ではないでしょうか。私の場合は、物流の問題に何とか貢献したいなという想いを行動に表してみました。
企業の力が社会を変える原動力になると思います。皆さんと一緒に、山梨県をもっと魅力ある県にしていきたいですし、その結果、子供たちが将来に希望を持てるような山梨県になっていくことを願っています。
アルプス:時代の流れが早い中で、自分で調べて研究していたら追いつけません。知見や技術を持っている人に聞く・組む・一緒にやることが絶対必須だと思います。そういう意味でもオープンイノベーションへの取り組みは、必須だと思っています。
自社の課題だけの妄想では満足できない体になっていますので、皆さんの会社のことを教えていただけたら妄想代行もいたします。会社の未来像などを妄想して、一緒にスタートアップを探すこともやらせていただきたいなと思っています。
村田氏:本当に素晴らしいお話を聞かせていただき、ありがとうございました。このメッセージが、これからオープンイノベーションを始める方の後押しになればと思っています。共創の輪が広がり、山梨発のビジネスが地域課題を解決できるよう、当社でも支援してまいります。
第5期TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業とは
「TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業」とは、最先端技術やサービスを有するスタートアップ企業等に対し、山梨県全域において実施する社会実証プロジェクトを全面的にサポートする取り組みです。令和3年度より実施し、今回は5期目の成果発表が行われました。
山梨県はスタートアップ企業等に対し、下記の支援を実施しています。
①最大750万円の経費支援(補助率4分の3) ②山梨県全域において実証実験のフィールドマッチング支援 ③産学官金連携のオール山梨体制で実証実験の伴走支援を行う |
最大750万円の経費支援は、全国トップレベルです。詳しい事業実績や採択企業の取り組みは、下記のページをご覧ください。
TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業|やまなし未来創造インフォメーションサイト
トークセッション「スタートアップが本音で語る!山梨の可能性とTRY!YAMANASHI!」
第5期TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業の成果発表会でもトークセッションが行われました。テーマは『スタートアップが本音で語る!山梨の可能性とTRY!YAMANASHI!』。
山梨県外のスタートアップが、山梨での実証実験から学んだことや事業展開の可能性を語りました。地元金融機関である山梨中央銀行からも担当者が参加し、県外スタートアップの定着に向けての支援策などを話されました。
トークセッションに登壇したのは下記の4名です。
- 有限責任監査法人トーマツ地域未来創造室 中尾謙太氏(モデレーター、本事業運営主任)
- 株式会社マリスcreative design 代表取締役 和田康宏氏(第4期採択企業 視覚障がい者の単独歩行支援システムの開発)
- 株式会社山梨中央銀行 主任 小田切耀平氏
- 山梨県庁知事政策局 リニア未来創造・推進グループ政策補佐 齊藤浩志氏
山梨県のフィールドで実証実験したいと考えている山梨県外のスタートアップの方は、ぜひご一読ください。
「TRY!YAMANASHI!」を経験して良かったこと、支援の魅力
中尾氏:「TRY!YAMANASHI!」を経験して良かったことや山梨県が実施した支援の魅力を教えてください。
和田氏:半年間の「TRY!YAMANASHI!」で山梨県にお世話になって、事業が進んだと感じています。特に、県庁の方々がスタートアップ側に立ってサポートしてくださったのがすごく嬉しかったです。
我々は実機の立ち上げに必死になっていて、数値的なところや実証実験までの計画を系統立てて考えることが後回しになっていました。資料作成や計画を立てるサポートをしていただけたのは、とてもありがたかったです。
6ヶ月間、一体感をもってやらせていただき、いい成果を出せたと思っています。
中尾氏:「TRY!YAMANASHI!」に参加するスタートアップの皆さんから「一体感」の声はよく出ますね。和田さんはいろいろな地域で展開されていますが、ほかと比べて山梨県は具体的にどう違いますか?
和田氏:やはり県庁の方々がすごく協力的なところは、ほかの地域にはない特徴です。
実証実験の場所を検討する際、開発に注力していて現地に行けなかったんですね。そのとき県庁の方々が候補地を動画とともに紹介してくださって非常に助かりました。ここまで手厚くサポートしてくれる自治体は、あまりないように思います。
齊藤氏:社会課題を何とか解決しようという想いでスタートアップは取り組んでいます。スタートアップの掲げる課題は行政にとっての課題でもあるので、そこへ我々が入り、支援するのは当然のことだと思います。
山梨県としても課題解決する意義のあるものを採択しているので、一生懸命に支援していくのが役割かと思っています。
中尾氏:県の職員がガチで動くのは「TRY!YAMANASHI!」の名物とも言えます。県外スタートアップの方、ぜひ第7期以降でチャレンジしていただければと思います。
山梨県を起点とした事業展開の可能性
中尾氏:今後、山梨を起点とした事業展開をどのようにしていくのか、ぶっちゃけ話を聞きたいと思います。
和田氏:我々の事業で言うと、開発はまだ初期段階。事業化にはもう少し時間が必要です。次の実証実験もやらせてもらいたい気持ちはありますが、中身をアップデートしてやれることを増やしていかなければ今回と同様になってしまいます。
次の取り組みまでに期間が空くと、せっかく構築してきた関係性が薄くなるのではないかという心配があります。システムが完成した際には山梨でローンチすることも考えていたので、構築した関係の維持をどうしようかと考えていました。
我々の場合、山梨県の認定VC制度に運良く応募でき、採択いただきました。今年度が初めての募集で応募期間が短かったので少し諦めていましたが、たまたま認定VCの会社とつながることができ、「TRY!YAMANASHI!」のことを話したら後押ししてくださって。実証実験が終わってから間もないうちにつながりがつくれたので、本当に嬉しかったですし、安心できました。今後に向けての地固めができたように思います。
齊藤氏:山梨県の産業労働部スタートアップ・経営支援課のほうで新たに始まった「資金調達サポート事業」というものがあります。認定VCの方々が出資したところに、山梨県も一緒に資金を提供する仕組みです。
実証実験サポート事業は、山梨と関係のあるスタートアップをどれだけたくさん増やせるかが大切です。しかし、6ヶ月という短期間のうちに関係が築ききれないところもあります。実証実験サポート事業で人や組織をしっかりつなげる作業をして、その次、もうちょっと前に進もうとしたときのサポートを産業労働部とも連携しながら、継続支援で提供できたらと思っています。
スタートアップは何を望み、県内企業は何ができるのか
中尾氏:今回、運良く資金調達のタイミングに恵まれたというお話でしたが、仮に資金調達がなかった場合、どうなっていたと思いますか?
和田氏:まだ次の実証実験の段階に来ていないので、資金調達がなかった場合は正直、少し関係性が遠のいていたかなと思います。我々は開発に注力するあまり、山梨でどう動いていこうか頭が回っていないところがあって。実証実験が終わったあとの関係性構築は、おそらく何も進んでいなかったのではないかと感じます。
中尾氏:「TRY!YAMANASHI!」だけではなく、山梨県内での共創促進にも共通する課題を代弁いただきました。では齊藤さん、事業の社会実装に向けてどのようにお考えですか?
齊藤氏:今回の第5期も含めて、今まで35社の皆さんを採択させていただきました。スタートアップ支援をやりながら思うのは、地域へ無理矢理に押し込めたくないということです。
スタートアップの皆さんが成長する機会の提供が我々の役目ですので、どんどん入ってきてもらって、どんどん成長してもらうことが大切です。採択させてもらったスタートアップの皆さんが、山梨でまた「こういうことをやりたいんだけど」と言ってくれるタイミングでご支援するのがいいのかなと思っています。
本音は山梨で事業展開してもらいたいし、拠点を設けてもらいたい気持ちですが、それをすぐに求めるのは少し違うかなと。長期的な目線でお付き合いしていくことが大事かなと思っています。
中尾氏:タイミングや企業フェーズによって関わりたいときがあると思います。またチャレンジしたいとなったとき、窓口がないと困るのではないでしょうか。小田切さん、地銀としてできることはありますか?
小田切氏:地域のさまざまな事業者様との接点が一番多いのは地方銀行だと思います。たとえば、スタートアップが山梨で何かやりたいときに関係してくるのが県内企業になるので、それぞれをお繋ぎする役割ができるといいのかなと日々考えています。
中尾氏:山梨中央銀行さんに県内企業をつないでほしいと思ったら、どこへ連絡したらいいですか?
小田切氏:スタートアップの取り組みやオープンイノベーションに関する専用窓口は、まだ設けておりません。ただ、山梨中央銀行として各種イベントに参加しているので、その際にネットワーキングしていただくことは可能です。
あと甲府駅北口に「Takeda Street Base」という交流拠点があります。相談したいときには、ふらっと立ち寄っていただくといいのかなと思っております。
中尾氏:あと聴講者の中から県内企業の方に話を聞いてみたいと思います。
県内企業の参加者:スタートアップ側にとってやりたいことをやらせてくれる、企業やお店などの場所があればいいと思うんですよね。県内企業として話が来たら協力させてもらっていますが、そういう気持ちでいることが伝わらなかったら意味がありません。
その役割を山梨県庁が果たしていると思うんですね。しかも一緒にどっぷり浸かって支援していると。ここまでやってくれる県は珍しいので、スタートアップ側にこの良さをアピールすることが大切だと思います。
中尾氏:ではスタートアップの方にも聞いてみましょう。実証実験をされて今後の展開を考えていらっしゃるかと思います。県・金融機関・県内企業に対して望むことを教えていただけますでしょうか?
スタートアップの参加者:県庁の方がいろいろ支援してくださるのは、この半年間で本当に感じられたことでした。ただ、対象者が狭く深くのアプローチのように思います。もう少しライトに、松竹梅みたいな感じで支援の幅を用意してもいいのかなと考えていて。竹・梅レベルの支援が充実すると、もっと気軽に、より多くのスタートアップが山梨で実証実験をやってみようと思える流れがつくれると思いました。
中尾氏:事業採択の形ではなく、もっと柔軟にスッと行って相談したりお互いに出会えたりする場があるといいですね。斎藤さん、小田切さん、いかがですか?
齊藤氏:まさにやらなければいけないと思いつつ、できていないところでもありました。ライトに相談できる場の必要性は僕も常々思っていたので、どういう形になるかわからないですが、そういう機会はぜひつくりたいと思っています。
小田切氏:スタートアップと県内企業の皆様が出会える機会は少ないと感じています。どちらかというと、県内企業の方にスタートアップと言っても、あまりピンと来ないのではないでしょうか。少し自分自身から離れた存在のように感じる方のほうが多いのかなと思っています。
金融機関としてスタートアップと県内企業の方を集めて、おつなぎできるイベントを企画中です。少しずつ山梨県の皆さんとも協力しながら、スタートアップと県内企業との取り組みを盛り上げていけたらと思っております。
中尾氏:スタートアップと県内企業が出会える場所が増えることを期待しています。皆様、貴重なご意見・ご感想を聞かせていただき、ありがとうございました。
まとめ
活発な意見が飛び交う2つのトークセッションでした。「STARTUP YAMANASHI OPEN INNOVATION PROGRAM」「TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業」によって、今後もさまざまな新しい取り組みが誕生していきそうです。
県内企業の方はスタートアップとの共創に、県外スタートアップの方は山梨県での実証実験に、ぜひ挑戦してみてください。