2025年8月22日(金)〜24日(日)、山梨県は大阪・関西万博にてブースを出展しました。「山梨の魅力をまるごと体感!ハイクオリティやまなしフェス in 万博~富士山、フルーツ、美酒美食、水素技術であなたの五感を刺激〜」と題し、多彩な展示を披露。連日大きな賑わいを見せ、3日間で延べ7万人以上が来場しました。本記事では、ブースの企画・運営を担った山梨県 新価値・地域創造推進局 新事業・地域ブランド課の羽中田さんと杉野さんのお話を交えながら、展示の見どころや企画の舞台裏をご紹介します。
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関西の皆さんへ。山梨の魅力に出会える体験をお届け

出展会場となったのは、自治体や企業、団体の展示が行われるEXPOメッセ「WASSE」。今回の出展について、山梨県は西日本や海外の方々にも県の魅力を広く知っていただくチャンスと捉え、大きな期待を寄せていました。まずは展示を統括した羽中田さんに、今回の出展に込めた思いを伺いました。

羽中田「万博という特別な舞台なので、特産品をただ並べただけの物産展のような装いにはしたくありませんでした。山梨の魅力が伝わる体験を少しでも多く提供できるよう準備を進めてきました」
続いて、万博出展のPR施策を担当した杉野さんにも意気込みをお聞きしました。

杉野「子どもから大人まで幅広い世代に楽しんでいただきたいですね。そして、山梨に興味を持った方が『実際に行ってみよう』と思えるような仕掛けも用意しました」
味わう・触れる・見つける!五感で楽しむ山梨の取り組み

富士山の巨大なモニュメントを中心に広がる会場には、「山梨をまるごと体感する」をテーマにした展示が勢揃い。フルーツの試食や美酒の試飲、伝統工芸の体験コーナーなど、来場者の五感を刺激した各展示の見どころをご紹介します。
【味わう】フルーツ王国山梨ならではの試食体験

生産量日本一を誇るぶどうと桃を、それぞれ趣向を凝らして提供。ぶどうは大粒でジューシーな「甲斐キング」と、皮ごと食べられる風味豊かな「サンシャインレッド」「シャインマスカット」を団子のように串に刺して、手軽に食べ比べを楽しめるスタイルに。桃は「浅間白桃」を贅沢に使ったフルーツソースに仕立て、かき氷にかけて振る舞いました。
羽中田「なにより来場者の方々に楽しんでいただくことを大切にしていました。農政部とも相談しながら、フルーツの魅力が伝わるように見せ方や提供方法を工夫しました」
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【味わう】自然の恵みを堪能、多彩な試飲体験


ワインと果汁100%のぶどうジュース、ワインビネガーを振る舞いました。さらに、会場にはウォーターサーバーを設置し、山梨県自慢のミネラルウォーターも提供。自然の恵みを堪能できる試飲体験は多くの来場者から好評いただきました。


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【見る・聞く】雄大な自然を体感するイマーシブシアター

山梨県の観光名所や四季折々の風景を半球型スクリーンによる立体的な映像で表現。迫力ある映像と音響で来場者の心を引き込みました。富士山の雄大さを体感し、感動して涙を流した人もいたそうです。
羽中田「この映像はVRゴーグル用に調整し、県有施設などで体験できるようにする予定です。その他、万博会場で使用したコンテンツの中で活用可能なものは、県民の皆様にも還元していきたいと考えています」
【見る】未来を映す県産グリーン水素の展示

水素発生装置を展示し、モニターではNEO TOKYO PUNKSと取り組む水素事業を映像や漫画で紹介。専門的になりがちなテーマをわかりやすく伝え、「究極のクリーンエネルギー」の開発に積極的に挑む山梨の先進性を来場者に印象づけました。
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【見る】織物と宝飾。受け継がれる地場産品


1,000年以上の歴史を誇る郡内織物や、出荷額日本一のジュエリー製品など、山梨が誇る地場産業を紹介。「山梨にこんな織物があるなんて知らなかった」と驚く声や、展示を紹介する県職員と熱心に話し込む来場者の姿もあり、山梨の隠れた魅力を知ることができるブースとなっていました。
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【触れる】職人と一緒に挑戦!クラフト体験

印章篆刻や水晶研磨など、山梨の伝統的な地場産業を体験できるワークショップも大盛況。市川三郷町の六郷印章業連合組合、甲府市の詫間宝石彫刻の職人さんたちの指導の下、子どもから大人まで夢中になってものづくりを楽しんでくれていました。


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【巡る】万博と山梨をつなぐデジタルスタンプラリー

観光や地域PRに最新技術を活かす取り組みとして、NFT*を活用したデジタルスタンプラリーを開催。万博会場と山梨県内に設置されたスポットを巡り、専用アプリで4つ以上のスタンプを集めることで「リニア体験乗車券」等が当たる抽選に応募できます。この条件を満たすには、万博会場と山梨県の両方を訪れる必要があるため、万博来場者が山梨県へ足を運ぶきっかけとなることが期待されています。
杉野「万博に出展した3日間で約7,000件の取得履歴が確認できました。予想以上に多くの方が興味をもってくださり嬉しいです。万博が終わった後も、ゲーム感覚で楽しみながら山梨県に興味を持つきっかけになればと思います」
*Non-Fungible Token:代替不可能なデジタルデータ
▼スタンプラリーの詳細はこちら
山梨県 新事業・地域ブランド課|山梨&EXPO周遊デジタルスタンプラリー
会場を訪れた人々が感じた山梨の魅力
山梨のいろいろな魅力に触れた来場者の方からの感想をご紹介。その言葉からも、山梨への関心の高まりが伝わってきました。
大阪在住のご家族(30代の夫婦と小学生の子ども)
「毎年、家族で山中湖マラソンに参加しているので、何度か山梨には行っているのですが、織物が有名なのは初めて知りました。次に行くときは観光も楽しんでから帰ろうと思いましたね」
京都在住の親子(30代の母と小学生の子ども)
「息子が『泡がぶくぶく、電気がちかちかしてておもしろかった』と県産グリーン水素の展示に夢中になっていました(笑)。家族旅行で2度訪れたことがありますが、また行きたいです」
大阪在住の女性2人組(20代)
「富士山の展示が迫力があって印象的でした。まだ山梨に行ったことはありませんが、いつか行ってみたいですね。リニアモーターカーにも乗ってみたいです」
大阪在住の女性(30代)
「たまたま立ち寄ってワークショップに参加したのですが、ソラリスのワインが本当に美味しくて驚きました。フランスやイタリアのワインと並んで戦えると思います!」
出展前から話題に!SNSで仕掛けたコラボプロモーションとは

実は、万博への出展に先立ち、同時出展する愛知県・名古屋市や岡山県と連携し、SNS上でユニークなプロモーションを展開していた山梨県。X(旧Twitter)で実施した「#万博までしりとりする3県」や、岡山県に「果たし状」を突きつけるTikTok動画の投稿など、遊び心あふれる企画で出展前から多くの関心を集めていました。こうした企画の仕掛人だった杉野さんに、その背景や狙いを伺いました。
杉野「愛知県や岡山県とは『一緒に万博を盛り上げよう』と話をしていました。そこで、大きな負担をかけずに、それぞれの魅力を紹介できる方法としてXを活用したんです。特に、岡山県とはフルーツが共通の特産品だったこともあり、両県知事が舌戦を繰り広げる対決企画を実施。企画を盛り上げるため、『予告編』となるTikTok動画も制作しました。岡山県に対抗心を燃やす県職員は私が演じましたが、真剣さや熱量がかえって面白さにつながり、多くの方に楽しんでいただけたのではないかと思います。
また、アンケートでは、来場者の約6%がSNSをきっかけに訪れたと答えていました。数字としては小さいですが、「万博公式HPで知った」または「偶然通りかかった」方々が9割を占める中、事前プロモーションで山梨を知り、興味をもって来場してくださった方々がいたことがとても嬉しかったですね。取り組んでよかったと強く感じています」
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X(旧ツイッター)「#万博までしりとりする3県」
山梨県公式TikTok「山梨県が岡山県に果たし状を送った話」
山梨県公式TikTok「山梨県が岡山県に果たし状を送った話~決着編~」
3日間の盛り上がりを、山梨への旅につなげられるように

大盛況で幕を閉じた山梨県ブース。実際に運営した感想や手応えをお二人に振り返っていただきました。
羽中田「まずは数ある展示の中から山梨を選び、来場してくださった皆さんに感謝の気持ちを伝えたいですね。この3日間、多くの反響をいただけたのは本当に嬉しいことでした。同時に、山梨の豊かな魅力をもっと積極的に発信していかなければという思いが一層強くなりました」
杉野「来場者数や反響はどれも想定を大きく超えていました。整理券がすぐに配布終了してしまったり、人混みが絶えなかったりと多くの方に関心を持っていただけたことは本当にありがたかったです。この出会いをきっかけに、今後は、ぜひ山梨のぶどうや桃を手に取ってもらえたら嬉しいですね」
会場では多彩な展示を通じて、山梨を旅しているような気分を味わえました。しかし、豊かな自然や美酒美食、伝統の技は、やはり現地でこそ本当の良さを体感できるもの。実際に訪れれば、展示では出会えない感動が待っています。少しでも心を動かされた方は、ぜひ一度、山梨に足を運んでみてはいかがでしょうか。
文・小島 慎平、写真・朝岡英輔