※山梨県では、「上質で心おどる美酒・美食体験」として、豊かな自然環境やたゆまぬ挑戦と努力から生まれるお酒や農畜水産物を素材にした美酒・美食の魅力を五感に訴えかけていくプロモーションを行っております。
本記事はその一環で、食の未来が見えるウェブマガジン「料理王国」とのコラボレーション記事になります。
豊かな自然に恵まれた山梨県は食材の宝庫。
ジビエや地鶏、豚肉、そして「甲州ワインビーフ」も山梨県を代表する肉のひとつです。
この「甲州ワインビーフ」を使った料理技術塾セミナー「月曜シェフ塾」が、「東京會舘 レストラン プルニエ」松本浩之シェフを講師に行われました。
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レストラン・ホテル業界の発展を支える「ソトワールクラブ」では、若手料理人を対象にした料理技術塾セミナーを開催しており、それが「月曜シェフ塾」。プロの料理人、主にフレンチ、イタリアンレストラン、ホテル勤務者、将来シェフをめざす方から既にシェフになられている方まで幅広い方々を対象に、試食をまじえて、調理技法を勉強する料理講習の場です。
3月11日(月)、「多彩な肉料理の調理法 魅力あるソースを学ぼう!」をテーマに、「東京會舘 レストラン プルニエ」料理長の松本浩之シェフを講師に迎えて開催されました。
会場となったのは、東京・駒込にある香川調理製菓専門学校。
日本のフランス料理界の第一線で長年活躍されている松本シェフの技術や知識を間近に学べるとあって、熱気に包まれた会となりました。
この日の料理は、「有塩バターでムニエルにしたフランス産リー・ド・ヴォー ベーコン風味の空豆とロワイヤルソース」「仔羊背肉のロースト 春野菜添え ジュ オ ナヴァラン」「ローストビーフ」の3品。
いずれも、肉の特性を見極め、適した調理法が求められます。
「ローストビーフ」では、山梨県が誇る食材のひとつ、「甲州ワインビーフ」が使われました。「甲州ワインビーフ」は名前が示すように、ワインを搾った際に残るブドウの搾りかすを飼料の一部に加えて育てたもので、肉質がきめ細かく、ほんのりとした甘みがあるのが特徴です。
この「甲州ワインビーフ」をどう使えば、極上の「ローストビーフ」が作ることができるのか、そのコツを惜しみなく披露してくださいました。
INDEX
シンプルな料理ゆえ、ひとつひとつの工程を確実に
この日、デモンストレーションで使われたのは、「甲州ワインビーフ」のサーロイン8kg。どんとした塊は、いかにも肉を感じさせる、それだけで豪華なものです。
「ローストビーフ」はホテルやクラシカルなレストランでは定番の一品として愛されてきた料理です。おいしく作るには、バリバリに外を焼き、内側の肉汁を泳がせることがポイントと、松本シェフ。
そう言ってしまえば簡単そうに聞こえ、確かに「ローストビーフ」の材料は、肉と塩だけですが、そのシンプルさゆえごまかしがきかず、シェフの力量がより試されます。
「ローストビーフ」作りは、肉が届いたところから始まります。作る5〜7日前には仕入れ、保鮮紙で肉全体を包み、毎日取り替えます。これは、肉の余分な血やドリップを保鮮紙に吸収させて取り除くため。うまみを閉じ込めるための血抜きともいえます。
常温に戻して、脂を落としたら、成形して紐で縛り、塩をまぶしてフライパンで焼きます。このときの塩はたっぷりと。脂の面から、全体にしっかり焼き色をつけます。
次に、脂の面を下にして、130℃のオーブンで芯温31℃まで火を入れます。アルミホイルで覆い1時間ほど休ませたら、紐を外して脂と筋を取り除き、表面をサラマンダーで軽く焼き固めます。これは、肉汁があふれ出るのを防ぐため。それからスライスして提供します。
デモンストレーションで使用した「甲州ワインビーフ」の部位はサーロインでしたが、リブロースを使う場合や、調味料に塩だけでなく黒胡椒も使う場合など、丁寧に教えてくださいました。
グレービーソースで、肉を無駄なく使う
「ローストビーフ」という料理は「ローストビーフ」を作るだけで完成ではありません。グレービーソース、レフォールと一緒になって初めて、おいしさが味わえる料理です。肉本来の旨味、余った肉や肉汁を使ったグレービーソース、ピリッとした辛味のレフォール、これらが三位一体となって料理として完成します。
講座では、グレービーソース、レフォール、そして付け合わせとして欠かせないヨークシャー・プディングの作り方も教えてくださいました。
「ローストビーフ」での肉の可食部は、実は半分ほどです。あとはどうするのか。捨てるわけではありません。グレービーソースの材料になるのです。なので、無駄のない料理ともいえます。
西洋料理にこそ「甲州ワインビーフ」は適しています
クラシックなフランス料理に敬意を払い伝統を守りつつも、日々料理に向かう中で生まれた発想や時代感を取り入れ、料理を進化させてきた松本シェフ。
2019年より「東京會舘 レストラン プルニエ」の料理長に就任してからは、毎日「ローストビーフ」と向き合っていらっしゃいます。
「甲州ワインビーフ」を「ローストビーフ」に使った印象をこのように語ってくださいました。
「何よりサシと赤身のバランスが優れています。『甲州ワインビーフ』はサシが多く入っていないからこそいい、ともいえます。というのも、フランス料理やイタリア料理、つまり西洋料理では、いくらでも食べたい牛肉が合います。それは赤身の比率が高い肉なんですね。そしてただ赤身ならいいわけではなく、適度なやわらかさも欲しいところです。とりわけ、肉の質が前面に出る『ローストビーフ』はそれが顕著ですから、『甲州ワインビーフ』はいいなと感じました。
また、年齢を重ねてくると、なかなか脂がつらくなってきます。そういう方にも、赤身の多い『甲州ワインビーフ』は適しています」。
試食でいただいたローストビーフは、しっとりとして適度な歯応えがあり、肉の旨みを存分に感じさせるものでした。そのおいしさには、「甲州ワインビーフ」が一役買っていることは間違いありません。
山梨県の食材を紹介する料理王国のポータル、「美酒・美食王国やまなし」についてはこちらを。